ピノ・グリとかピノ・グリッジョとか呼ばれる白ワインの葡萄。ルーマニア産のシャドネーのキッチンワインを嘗て厳しく批評したが、今回は同じ販売元のピノ・グリジョを試す。相対的であるが、予想を超える出来栄えであった。価格は同じ€1.99なので、この評価の違いは甚だ大きい。しつこさも癖も無くて飲み応えがある。確かに調べてみると、イタリアのそれよりもアルザスのそれに近いと書いてある。
つまり文化圏からピノ・グリッジョと命名してあるが、味はむしろピノ・グリに近い。そしてアルザスでは、これをトカイ・ダルサスと、ハンガリーの高名なワインを意識して呼んでいる。そしてこの葡萄種をドイツでは、グラウワー・ブルグンダーもしくは1711年にそれを見つけたヨハン・ルーランダー氏の名に因んでルーレンダーと呼ぶ。ブルゴーニュでは、これをカべルネ・ブランに近いと云うだけで、何よりもアルザスの名産として扱う。お互いに他の地域に原産や特徴を譲り合う大変珍しい例である。挙句の果ては、米オレゴンでこのワイン生産の発展を挙げている。プァルツは、バーデン地方に並んでこの葡萄の産地であるが、名前からブルグンダー地方には敵わないと、誰もがそのように謙虚に考えている。
味は、もともと酸味が強いが秋には糖化してしまうので、どちらかといえば押し付けがましい。葡萄の皮の色も名のとおり灰色から紫色になる。
参照:ルーマニアのシャドネー [ ワイン ] / 2004-11-22