Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

悪夢の特命潜入員

2005-09-01 | 雑感
こんな夢を見た。こうして始まるのが、黒澤明監督のオムニバス形式の「夢」と云う映画だった。そのシナリオほど興味深いものかどうかは疑わしい。前日に、偶々辿りついた原子力発電反対のBLOGを見てから、眠りに付いたのがいけなかった。

ある東欧にある原子力発電所に潜入している。ルーマニア・ブルガリアからトルコにかけての様である。国際査察機関から特命を受けて居るのだ。

反応炉の上部の氷柱の様に下がるパイプの列の下で作業をしていた時である。隠し持っていたガイガーカウンターが反応し出した。その反応炉塔は如何にも旧式で建物が多層式になっていて、分厚い防御壁の外側で必要以上に多くの人々が、点検や保守を全て手作業で行っている。

何事も無かったように皆は働いているが、急いで避難しなければ酷く被爆してしまう。軽金属の足場を綱渡りのよう、急いで殆んどぶら下りながら降りて行く。しかし特命の性質上目立った行動は出来ない。出来る限り防御壁に向かい合いながら、被爆しない安全な経路を選ぶ。

大きなタービン状の機械の前に20人近くの作業員が働いていた。すると突然、警報が鳴り出した。幾分パニックになりながらも、少し落ち着くと従業員たちはマニュアルにあるように定められた避難路へと整然と急ぐ。そちらへ行くと致死量の放射能を浴びる事になるのは分かっているのだが、なす術は無い。人の流れに逆らいながら、ガラス張りのリフトに乗り込み一気に下の階へと降りる。

複合建造物のガラス張りのロビーの上へと出たが、折からの事故で多くの人がごった返している。それを避けて、一端地下へと降りて、物資の搬送の為の経路にあるパイプを伝って建物の外へと出た。そこに止まっているトランクのタンクに忍び込み、ゲートを何事も無く通過して敷地を後にする。

郊外の広い草原には交通機関は無く、そのままトラックのタンクに潜んで進むと、大きな河口に出た。向こう岸の人気の無い奇怪な工業地へと向って、ベルト・コンベーアが長く伸びている。これに走るトラックから飛び移って大きな河を渡る。

その巨大な流れと言い、水の黒色と言い、両岸の堅く要塞のように固められた岸壁と言い、絶望的な風景である。肝を冷やしながら、何とか対岸へと渡りつくと、いつの間にか、必死で摑まっているコンベーアーは、街の上を走るモノレールに変わっていた。

市街地をこうして走っていると目立つ。人気の無いところで急いで飛び降りる。そこから、少し行くと町の中心のポツリポツリと人のいる大きな広場に出た。すると遠方から小さなブロンドの女の子が近づいて来て、老夫婦に買ってもらったキャンディーを自慢するのである。

燦燦と光が降り注ぐ、長閑な広場で、何事も無かったかのように人々は午後の日常を満喫している。放射能から逃れなくてはいけない。飛行機に乗って、逸早く遠くへ飛ばなければいけない。


後になってから、ユン・イサンの音楽を急に思い出した。
コメント (6)
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