独選挙のTVデュエルが、シュレーダー首相とメルケル女史の間で行われた。結局一回だけ催されて18日の投票を待つ事になる。今週末に投票があるとすると、CDUとFDPで辛うじて過半数を獲得出来るらしいが、SPDが復調傾向にありまだこれからである。事前の郵便投票も多く、同番組でも早速の投票を呼びかけていた。
予想以上に好印象を残したというメルケル女史だが、問題点が多く見付かる。政治家としての力量よりも、物理化学を学んだものとして「バイオを化学会社BASFの手に」授けるような発言は明らかにおかしい。「食料品への利用を否定」なども非常に俗受けする表面的な表現で、営利企業の研究者の判断に委ねるような態度は批判されるべきものである。同様に原子力発電も「ケースバイケース」で判断していくとなると危険この上ない。理学徒としての学識を疑う。こうなると、「連邦首相になるほどに、一人の女性として立派に遣って来た」というのが白々しく響く。
教育だけでは得られない知的判断力とその智恵に疑問を抱かせた挑戦者に対して、演説上手な首相は前回とは大きく違い、髪の色の染料も黒々しており大変若々しく頼もしい。嘗て無いほどの好印象を残した。特にトルコへの対応をイラクから中近東への世界的視野に置いて論じるところは、欧州社会主義グリーバリズムを信奉する一流の学者の雰囲気さえある。その論理性は、左派に配慮した印象である。
財政策やフェミニズムについては、改めて纏めないといけないが、最も挑戦者が批判されたのが、ニューオリンズの惨事への見解を求められ強張ってしまって答えなかった事である。
さてここでは御用の無い、緑の党のヨシュカ・フィッシャー外務大臣がインタヴューに答えて、「マルクスよりもボブ・デュラン」と語っている。「クイーンのフレディー・マーキュリーをアンジー(メルケル女史)のテーマソングにしたキリスト教民主同盟は1970年代では考えられなかった」とする。そして、「アンジーナンバーがどんなに上手くいかなくても、ローリング・ストーンズについては何も言うまい。」と結ぶ。更に自らは、母乳にカトリックのお香を呑んだと言うフィッシャー氏は、メルケル女史の大蔵大臣候補キルヒホッフ氏の税制案は、「キリスト教社会に反する」として、既にCSU内で問題となっているその姿勢を非難する。こうして右へ左へと、ジョブを忘れない。
現在の連立内閣は党内の不一致がありながら、元々この様な思想で推移しており、春からのSPD左派の資本主義再考論なども、全てこの枠内で花火を打ち上げていた事が分かる。ラフォンテーヌとギジーの極左翼勢力がニ桁パーセントへの躍進を予想される中で、このような路線の選定は批判も強かったが、非常に巧妙であり知識人をも納得させるだろう。
郵送投票も多いだろうが、それ以外の女性票などが突出する労働者意識の無い新興中流層に、SPDが今後どのような印象を与えて上昇機運に乗るのか、それとも息切れするのかで、ドイツ初の女性首相の誕生の可能性が決まるだろう。やはり、フェミニズムの話題が問題となるか。
参照:
御奉仕が座右の銘の女 [女] / 2005-07-26
政治的東西の壁の浸透圧 [歴史・時事] / 2005-07-12
正書法のフェデラリズム [歴史・時事] / 2005-07-20
追撃迫る自由競争市場 [歴史・時事] / 2005-08-11
予想以上に好印象を残したというメルケル女史だが、問題点が多く見付かる。政治家としての力量よりも、物理化学を学んだものとして「バイオを化学会社BASFの手に」授けるような発言は明らかにおかしい。「食料品への利用を否定」なども非常に俗受けする表面的な表現で、営利企業の研究者の判断に委ねるような態度は批判されるべきものである。同様に原子力発電も「ケースバイケース」で判断していくとなると危険この上ない。理学徒としての学識を疑う。こうなると、「連邦首相になるほどに、一人の女性として立派に遣って来た」というのが白々しく響く。
教育だけでは得られない知的判断力とその智恵に疑問を抱かせた挑戦者に対して、演説上手な首相は前回とは大きく違い、髪の色の染料も黒々しており大変若々しく頼もしい。嘗て無いほどの好印象を残した。特にトルコへの対応をイラクから中近東への世界的視野に置いて論じるところは、欧州社会主義グリーバリズムを信奉する一流の学者の雰囲気さえある。その論理性は、左派に配慮した印象である。
財政策やフェミニズムについては、改めて纏めないといけないが、最も挑戦者が批判されたのが、ニューオリンズの惨事への見解を求められ強張ってしまって答えなかった事である。
さてここでは御用の無い、緑の党のヨシュカ・フィッシャー外務大臣がインタヴューに答えて、「マルクスよりもボブ・デュラン」と語っている。「クイーンのフレディー・マーキュリーをアンジー(メルケル女史)のテーマソングにしたキリスト教民主同盟は1970年代では考えられなかった」とする。そして、「アンジーナンバーがどんなに上手くいかなくても、ローリング・ストーンズについては何も言うまい。」と結ぶ。更に自らは、母乳にカトリックのお香を呑んだと言うフィッシャー氏は、メルケル女史の大蔵大臣候補キルヒホッフ氏の税制案は、「キリスト教社会に反する」として、既にCSU内で問題となっているその姿勢を非難する。こうして右へ左へと、ジョブを忘れない。
現在の連立内閣は党内の不一致がありながら、元々この様な思想で推移しており、春からのSPD左派の資本主義再考論なども、全てこの枠内で花火を打ち上げていた事が分かる。ラフォンテーヌとギジーの極左翼勢力がニ桁パーセントへの躍進を予想される中で、このような路線の選定は批判も強かったが、非常に巧妙であり知識人をも納得させるだろう。
郵送投票も多いだろうが、それ以外の女性票などが突出する労働者意識の無い新興中流層に、SPDが今後どのような印象を与えて上昇機運に乗るのか、それとも息切れするのかで、ドイツ初の女性首相の誕生の可能性が決まるだろう。やはり、フェミニズムの話題が問題となるか。
参照:
御奉仕が座右の銘の女 [女] / 2005-07-26
政治的東西の壁の浸透圧 [歴史・時事] / 2005-07-12
正書法のフェデラリズム [歴史・時事] / 2005-07-20
追撃迫る自由競争市場 [歴史・時事] / 2005-08-11