(承前)近代的な醸造法において、木樽においても温度管理を徹底しているのは、今更強調する必要はない。摂氏12度から14度の醸造や、摂氏9度の熟成など、冷却と過熱の双方から温度か保たれる。
そうした近代的な醸造法には、栽培技術における温暖化気候に都合の良い成長過程を示す葡萄のクローンの選定同様、最も効果的な酵母の選定などが含まれる。後者は、過去に遡り1920年代には11月中旬に摘み取りしていたようなクローンに比べて、現在では昨年にみるように8月終りから始まり9月中旬には多くの摘み取りが終える事の出来るクローンへと替えるれているなど、環境に適合したワイン栽培が図られていることを指す。前者では、一部モーゼル流域などで試みられている百年もの古樹などが特別な価値をもって栽培され醸造されていることにも関連するが、また其処で採用されているようにその葡萄の天然酵母をそのまま醸造に使う方法とは対照を成している。
なるほど培養酵母を使わないままで美味いワインが出来上がるかどうか?、また古樹が力を落として収穫量が落ちているのとグローセスゲヴァックスのように収穫量を落とすのが同じ効果を持つのか? ― これらは一つの「信仰の認識」なのである。
また、名門フォン・ブール醸造所は、2005年からバイオワインの道を歩んでいて、2008年度にはEUのバイオ農産物のサーティフィケーションを獲得する。機会があれば、2005年産から明らかに明確なコンセプトを以って栽培・醸造されている、そのワインの新旧の明確な差を誰もが各自実感出来ると思っている。要するに、それは「バイオ信仰」の徹底以上にISOにみられるような明晰な作業工程の追求が齎す品質改善と言い換えても良いだろう。
例えば、写真のグランクリュワインの樽には、発酵過程を終える二酸化硫黄水溶液を加えた日付が明示されており、各々一月四日、二月六日と二種類の過程が示されている。これが何を意味するかといえば、新月に迫る日時なのである。
奇しくもワインの熟成にどのような影響を与えるかの質問が飛んだが、化学的には返答の仕様がない。しかし、我々のバイオカレンダーはこうした影響を受けていることはなにも健康な女性だけでなくて皆がよく知っている。しかし、この醸造所の考え方は、その筆頭であるA・クリストマンやブリュックリン・ヴォルフとは異なり人智学に距離をおいているので、バイオ・ダイナミクスのような特別な団体には加入しないと言明している。
しかしながら、今や同じ傘下にあるフォン・バッサーマン醸造所との差異が、そのワインの味のみならずこうしたところにも表れる。当然ながらこうした「信仰」に、もともとの伝統である新旧教の世界観の差異が伺えるのである。(終わり)
参照:
Dr. ローゼン試飲会 (モーゼルだより)
技術信仰における逃げ場 [ 雑感 ] / 2007-11-06
飼料は遺伝子操作済み [ アウトドーア・環境 ] / 2007-07-25
現代オカルトのビオ思想 [ 文学・思想 ] / 2007-05-24
シュタイナーのエコ農業 [ アウトドーア・環境 ] / 2007-05-22
市井の声を聞いて改良 [ アウトドーア・環境 ] / 2006-11-06
そして白樺が終わる頃 [ アウトドーア・環境 ] / 2006-05-07
化け物葡萄の工業発酵 [ ワイン ] / 2005-12-23
政治的棲み分けの土壌 [ アウトドーア・環境 ] / 2005-09-22
市場でなく、自然に合わせろ [ ワイン ] / 2005-09-09
そうした近代的な醸造法には、栽培技術における温暖化気候に都合の良い成長過程を示す葡萄のクローンの選定同様、最も効果的な酵母の選定などが含まれる。後者は、過去に遡り1920年代には11月中旬に摘み取りしていたようなクローンに比べて、現在では昨年にみるように8月終りから始まり9月中旬には多くの摘み取りが終える事の出来るクローンへと替えるれているなど、環境に適合したワイン栽培が図られていることを指す。前者では、一部モーゼル流域などで試みられている百年もの古樹などが特別な価値をもって栽培され醸造されていることにも関連するが、また其処で採用されているようにその葡萄の天然酵母をそのまま醸造に使う方法とは対照を成している。
なるほど培養酵母を使わないままで美味いワインが出来上がるかどうか?、また古樹が力を落として収穫量が落ちているのとグローセスゲヴァックスのように収穫量を落とすのが同じ効果を持つのか? ― これらは一つの「信仰の認識」なのである。
また、名門フォン・ブール醸造所は、2005年からバイオワインの道を歩んでいて、2008年度にはEUのバイオ農産物のサーティフィケーションを獲得する。機会があれば、2005年産から明らかに明確なコンセプトを以って栽培・醸造されている、そのワインの新旧の明確な差を誰もが各自実感出来ると思っている。要するに、それは「バイオ信仰」の徹底以上にISOにみられるような明晰な作業工程の追求が齎す品質改善と言い換えても良いだろう。
例えば、写真のグランクリュワインの樽には、発酵過程を終える二酸化硫黄水溶液を加えた日付が明示されており、各々一月四日、二月六日と二種類の過程が示されている。これが何を意味するかといえば、新月に迫る日時なのである。
奇しくもワインの熟成にどのような影響を与えるかの質問が飛んだが、化学的には返答の仕様がない。しかし、我々のバイオカレンダーはこうした影響を受けていることはなにも健康な女性だけでなくて皆がよく知っている。しかし、この醸造所の考え方は、その筆頭であるA・クリストマンやブリュックリン・ヴォルフとは異なり人智学に距離をおいているので、バイオ・ダイナミクスのような特別な団体には加入しないと言明している。
しかしながら、今や同じ傘下にあるフォン・バッサーマン醸造所との差異が、そのワインの味のみならずこうしたところにも表れる。当然ながらこうした「信仰」に、もともとの伝統である新旧教の世界観の差異が伺えるのである。(終わり)
参照:
Dr. ローゼン試飲会 (モーゼルだより)
技術信仰における逃げ場 [ 雑感 ] / 2007-11-06
飼料は遺伝子操作済み [ アウトドーア・環境 ] / 2007-07-25
現代オカルトのビオ思想 [ 文学・思想 ] / 2007-05-24
シュタイナーのエコ農業 [ アウトドーア・環境 ] / 2007-05-22
市井の声を聞いて改良 [ アウトドーア・環境 ] / 2006-11-06
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