アンサンブル・ド・ミューズ ニュースレター

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天気晴朗なれども…

2009-12-07 12:07:05 | Weblog
先週日曜日からNHKで『坂の上の雲』を放送してますね。司馬遼太郎の原作を若い頃に読んだのを思い出しながら観ています。
明治維新を経て近代化を図る日本という“国家の生き様”や“自分自身を模索”しながら国家のため、文学のために生きようとする若者たちの姿が描かれて、やがて日露戦争でのバルチック艦隊との海戦に至り、勝利し、そしてその後の日本は…という内容だったと記憶しています。
昨日の放送分では主人公の秋山好古、秋山真之、正岡子規の3人がそれぞれ我が行く道の緒に就くまでが描かれていました。
秋山好古中尉のちの陸軍大将こそ凛々しい軍服姿を見せてくれますが、秋山真之のちの海軍中将ものちの俳人正岡子規も大学予備門の書生で、煮しめたようなヨレヨレの袴と絣のきもの を着ています。でも、現代で流行りの“腰パン”で股下の短ぁ~~い若者よりも、この下駄履きの書生姿って格好いいなぁ
やがて、仲間とワイワイ暴れまわっていた秋山真之海軍を志し、大学予備門の同級生で同宿の正岡子規の横を離れる日がきます。子規の不在中に真之は手紙を残して姿を消します。
その手紙が実に簡潔明瞭で、格調高く
「好いなぁぁ~
やっぱりバルチック艦隊との衝突を目前にして、あれだけの電文をものした人は若い頃から違ったのね…って感じなのであります。
そして正岡子規
手紙を残して去った友との応酬を回想して即興で一首詠みます。
戦をも厭はぬ君の船路には風吹かば吹け波立たば立て
まあなんて素晴らしい寿ぎの言葉でしょうとちょっと感動してしまいました。
20歳そこそこの若者の言葉なんだなぁ、これが…。
それに引き換え現代の若者は
「コチラ、グラタンの“方”に“なります”」
(んじゃ、グラタンに“ならない”“方”は今“何”で、何に“なる”んだよっ
だもんねぇ。たった140年でこの堕落ぶり
まぁ、満足に漢字も読めないような大人が一国の首相になれちまうような世の中だから、そんな大人の品性の凋落が若者に反映してるのかも…
えぇ……っと…。で、
子規は若くして胸を病み、亡くなりますが
『墨汁一滴』『病床六尺』
などの句集を残しますね。
秋山好古中尉は日本陸軍騎馬隊の大成者として陸軍大将に昇りますが、官位に執着しない晩年を送られます。
そして秋山真之は日本海軍の将校となり、バルチック艦隊に勝利し、そしてやがて軍籍を離れて世俗からも離れられたのではなかったかしら。
天気晴朗なれども波高し
海戦の現場にいる軍人の参謀本部に宛てた報告文としてはあまりにも詩的で文学的ですよね…。
坂之上の雲、彼らが夢見、思い描き、希求し、一身を捧げようとした“雲”ってどんな日本、どんな未来、そして“何”だったのかな…とちょっと考えちゃいました。
若ぁ~い頃に読んだ記憶を辿ってみました。かなり真面目な話をしちゃいましたね…
それにしても、です。
明治初期当時の東京大学予備門(現東京大学)では、教科書も英文、試験問題も英文表記、答案も英文筆記だったそうです
日本語で出題されてんのに問題の内容すら理解出来ないアンポンタン が蔓延りつつある現代って…、いいのか これで…
いやいや、他人事ではないぞ。正しい日本語で正しい文章を書くように心掛けよう、書けるようになりたい、と反省もしたしだいであります


コメント
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