昨日のバレエ・アンサンブル・ド・リエコのレッスンは、お休みの生徒が多くて、サヨさん一人になってしまいました
彼女が『大人のバレエ』クラスでクラシック・バレエのレッスンを始めて2年とちょっと。
何が何だか分からないままに夢中でレッスンについていくだけで精一杯、な時期を過ぎて最近ではちゃんと出来たかどうか間違えなかったかどうか自分に問いかける余裕もちょっと出てきた。
そんな彼女にレッスンの度に私が注意し続けていることがある。
「お尻を出しちゃダメよ」
「骨盤が前傾してるわよ」
「お辞儀してるよ」
決定打はバットマン・フォンデュのときにトルソーが前後し続けるから、バーを持つ手が伸びたり縮んだりする。だから
「腕立て伏せだよ、それじゃぁ…」
「ひぇぇぇ~…」
彼女にしてみれば、出したくてお尻を出しているわけではないし、好きで骨盤を前傾させているわけでもないし、ましてお辞儀をしたいわけでもない。“ダメですよ”ってのは重々分かってはいるけれど、なぜ自分がそうなっちゃうのかは分からないし、どうしたらいいのかも分からない…、っていう状態なのね。
そんなときに、マン・トゥー・マンというのは絶好のチャンスである。
分からないなら分かるように、理解出来るように教えれば宜しいのである。
というわけで。
「サヨさん、今日はね、プリエのレッスンだけ。徹底的にプリエだけ練習しよう」
まず自分の一番大きなターン・アウトの状態で1番ポジシオン→ゆぅ~っくりドゥミ・プリエ。
カカトとカカトの真ん中に背骨がまっすぐに伸びているからね、その背骨の位置をズラさないように…。
何度も繰り返していくうちに骨盤がきちんと立つようになる。
グラン・プリエまでいってみよう、ゆっくり、ゆっくり。
そう、そこがあなたのグラン・プリエ、バーの手を離してごらん、重心の位置が正しければ倒れないはずよ。
「…ぅあぁ…、止まれた…」
「でしょ…」
そうやって1時間ほどは1番から5番までのプリエの練習だけ。
「あのね、足の先から頭の天辺に抜けるまで身体には力の道が通ってるの。その力の道をちゃんとイメージ出来ればね、きちんと身体を動かせるよ」
と≪力の道≫のイメージを紐を使って説明する。
「…ぁあぁ、そうですね、…だから肋骨が開かないんだ…。いつも胸骨を下して、鳩尾を閉じて、って言われるのはそういうことなんですね…」
んじゃ、1番ポジシオンでバットマン・タンジュね。
サヨさんの場合は、ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドに脚を伸ばすと、骨盤が脚についていってしまって重心がズレる。
「はい、さっきの≪力の道≫のイメージでね、軸脚の≪力の道≫と動かす脚の≪力の道≫、それぞれにどっちに向かって運動しているか…」
とゆぅっくりポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドに右脚を伸ばす。
「ほれ、5㎝脚を上げてごらん」
ひょい と脚が上がる。
「…上がる…上げられる…」
そうです。正しい位置に重心があれば、動作脚に体重がかかることはないので軽々と脚を上げることが出来るのです。
最後にバットマン・フォンデュをしてみた。
『大人のバレエ』クラスのときに、私が“腕立て伏せ”だといったバットマン・フォンデュ。
「……わ、揺れない……傾いてない……真っ直ぐのままだ……真っ直ぐだ……」
でしょ きちんと重心を支えてコントロール出来ている証拠です。
こんな風にサヨさんは、つい2日前のレッスンの時まで悪戦苦闘していた問題点を解消してしまったのでした
そしてね、昨日のレッスンを始めた時はただの“感じの好い細身の女性”に過ぎなかった彼女の立ち姿が、スッと上に伸びたいかにも“バレエをしている女性”らしく美しく変わっていた。本当にキレイ
こういう瞬間に立ち会えるから、教師になってよかったとつくづく幸せに思う。
自宅に帰ってからも、サヨさんの立ち姿を思い浮かべて
「…きゃほっ…」
とちょっと跳ねたりしてみた…。
だってホントに嬉しかったんだもぉん
彼女が『大人のバレエ』クラスでクラシック・バレエのレッスンを始めて2年とちょっと。
何が何だか分からないままに夢中でレッスンについていくだけで精一杯、な時期を過ぎて最近ではちゃんと出来たかどうか間違えなかったかどうか自分に問いかける余裕もちょっと出てきた。
そんな彼女にレッスンの度に私が注意し続けていることがある。
「お尻を出しちゃダメよ」
「骨盤が前傾してるわよ」
「お辞儀してるよ」
決定打はバットマン・フォンデュのときにトルソーが前後し続けるから、バーを持つ手が伸びたり縮んだりする。だから
「腕立て伏せだよ、それじゃぁ…」
「ひぇぇぇ~…」
彼女にしてみれば、出したくてお尻を出しているわけではないし、好きで骨盤を前傾させているわけでもないし、ましてお辞儀をしたいわけでもない。“ダメですよ”ってのは重々分かってはいるけれど、なぜ自分がそうなっちゃうのかは分からないし、どうしたらいいのかも分からない…、っていう状態なのね。
そんなときに、マン・トゥー・マンというのは絶好のチャンスである。
分からないなら分かるように、理解出来るように教えれば宜しいのである。
というわけで。
「サヨさん、今日はね、プリエのレッスンだけ。徹底的にプリエだけ練習しよう」
まず自分の一番大きなターン・アウトの状態で1番ポジシオン→ゆぅ~っくりドゥミ・プリエ。
カカトとカカトの真ん中に背骨がまっすぐに伸びているからね、その背骨の位置をズラさないように…。
何度も繰り返していくうちに骨盤がきちんと立つようになる。
グラン・プリエまでいってみよう、ゆっくり、ゆっくり。
そう、そこがあなたのグラン・プリエ、バーの手を離してごらん、重心の位置が正しければ倒れないはずよ。
「…ぅあぁ…、止まれた…」
「でしょ…」
そうやって1時間ほどは1番から5番までのプリエの練習だけ。
「あのね、足の先から頭の天辺に抜けるまで身体には力の道が通ってるの。その力の道をちゃんとイメージ出来ればね、きちんと身体を動かせるよ」
と≪力の道≫のイメージを紐を使って説明する。
「…ぁあぁ、そうですね、…だから肋骨が開かないんだ…。いつも胸骨を下して、鳩尾を閉じて、って言われるのはそういうことなんですね…」
んじゃ、1番ポジシオンでバットマン・タンジュね。
サヨさんの場合は、ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドに脚を伸ばすと、骨盤が脚についていってしまって重心がズレる。
「はい、さっきの≪力の道≫のイメージでね、軸脚の≪力の道≫と動かす脚の≪力の道≫、それぞれにどっちに向かって運動しているか…」
とゆぅっくりポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドに右脚を伸ばす。
「ほれ、5㎝脚を上げてごらん」
ひょい と脚が上がる。
「…上がる…上げられる…」
そうです。正しい位置に重心があれば、動作脚に体重がかかることはないので軽々と脚を上げることが出来るのです。
最後にバットマン・フォンデュをしてみた。
『大人のバレエ』クラスのときに、私が“腕立て伏せ”だといったバットマン・フォンデュ。
「……わ、揺れない……傾いてない……真っ直ぐのままだ……真っ直ぐだ……」
でしょ きちんと重心を支えてコントロール出来ている証拠です。
こんな風にサヨさんは、つい2日前のレッスンの時まで悪戦苦闘していた問題点を解消してしまったのでした
そしてね、昨日のレッスンを始めた時はただの“感じの好い細身の女性”に過ぎなかった彼女の立ち姿が、スッと上に伸びたいかにも“バレエをしている女性”らしく美しく変わっていた。本当にキレイ
こういう瞬間に立ち会えるから、教師になってよかったとつくづく幸せに思う。
自宅に帰ってからも、サヨさんの立ち姿を思い浮かべて
「…きゃほっ…」
とちょっと跳ねたりしてみた…。
だってホントに嬉しかったんだもぉん