人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

アメリカ復活の切り札

2008-12-26 07:22:00 | 時事/金融危機
■GMACの銀行化■

「GMACの銀行持ち株会社化」。
GMにとっては、サンタクロースのビック・プレゼントですね。
これでGMACは公定歩合での資金調達が可能になります。
そのお金は当然GMの懐へ。
金融危機対策の資本注入も可能になりますから、
それもGMの懐へ。
これでGMの破綻は少し遠のいたのではないでしょうか。

■ドル安による輸入障壁■

とは言うものの、トラックの車台の大型SUVしか開発してこなかったGMに
日本車と競合して売る車があるのでしょうか・・・・。
一朝一夕には新車の開発は出来ませんから、
やはりGMの窮地には変わりありません。

しかし、今回、GMACを迂回してアメリカ国民の税金が投入される訳ですから、
アメリカ国民のGM救済の意識は高まるはずです。
その気持が、日本車排斥の気運に高まる恐れもあります。
自由貿易を推進する立場から、自動車関税を上げる訳にはいかないでしょうから、
やはり、ドル安誘導に輸入車排斥という流れになるのでしょうか。

ドル安になれば、生活用品初め様々な輸入品が値上がりして
国民の生活を圧迫しますが、
ドルと元が、事実上の固定相場であるので、
中国製品の値上がり小幅で済み、
生活用品の殆どを中国製に依存するアメリカ国民の痛みはそれ程大きくは無いのでしょう。
食料自給率は100%以上ですし、
原油価格もしばらくは低迷しています。

結局、ドル安で痛手を被るのは、日本車、日本製品という事になるのでしょうか?

■アメリカ国債への資金還流■

最近のアメリカ経済のダメダメぶりは信じ難いものがありますが、
アメリカ程の国が果たして、強欲資本主義によって崩壊するものなのでしょうか?
田中宇氏は、「隠れ多極主義者による意図的なアメリカの弱体化」と見ているようですが、
果たして、アメリカは世界の覇権を手放す気があるのでしょうか?

例えば一連の危機が意図的な物だとして、徳をするのは誰なのでしょう?
今、世界を徘徊するドルは行き場を失い、アメリカ国債に資金が向かっている様です。
ヨーロッパの資金もアメリカに還流しています。
この後に及んで「アメリカ国債」?とも思いますが、
金融市場が壊滅的状況で、資金がアメリカ国債に向かう事も道理です。

米国の企業や個人がアメリカ国債を所有すれば、
国際の投売りによる暴落リスクは低減します。

今回の金融危機は図らずも資金の国債への還流をもたらしました。

■アメリカの財政は大丈夫なの■

アメリカの財政赤字は6000兆円です。
6,000,000,000,000,000円。
コンピューター的言い回しをすれば、6千テラ円。
いくら日本のGDPの2倍を誇るアメリカ経済でも、
この金額を返済する事は大変な事です。


■デフォルトやデノミという危機演出■

アメリカは巨大な債務者ですが、
アメリカの破産は世界恐慌を誘発します。
ですから、日本や中国を初め、世界の国々はアメリカの突然死は望みません。

そこで、アメリカがちらつかせるカードは
国家破産(デフォルト)や、ドルの切り下げ(ブルーノードやアメロ)では?
「皆が助けてくれないと、破産しちゃうぞ!!」って、
「借りた金は返せないぞ!!」って、言外に匂わせるだけで日本政府はビビリます。
中国に対しては、「共産党政権を応援しちゃうよ。」って囁きが効果的です。

この2大債権国が、アメリカ国債の債権をいくらかでも放棄すれば、
アメリカの国債残高を減らす事が可能です。
損をするのは日本人と中国人。

日本人は従順ですから、多少の政治的混乱はあっても、暴動にはなりません。
中国人は、情報が秘匿されますから、いくら損したかも知らずに済みます。

後はドル安に誘導して、日本経済の競争力を削ぎながら、
国債負担を実質的に軽くする。
そして、国内産業の成長と復活を待つ内に、
紙くずと化していた債券や証券もいくらか価値を取り戻して、
アメリカ経済は不死鳥のごとく復活する・・・。

・・・てな訳ないか・・・。
とりあえず、オバマの一般教書演説が楽しみです。