
■ 空港での出来事 ■
NYに住む家内の友人のクリスマスメールが大変興味深い物でした。NYの寒さを避け、テキサスで感謝祭を過ごしたその友人は、NYに戻る空港で「新兵」達の集団に出会ったそうです。彼らは家族や友人らと別れを惜しんでおり。家族らは"Come back alive"と言って彼らを送り出していたそうです。その友人も目の合った新兵さんに"
Good luck!"と声を掛けたそうです。
搭乗した飛行機では、機内放送で機長が、「本日は新兵の方々が搭乗しています。皆さん彼らにエールを送って下さい。」と放送し、乗客は拍手を送ったとの事です。
映画にでもありそうなこのシーンがアメリカの日常です。アメリカはイラクで、アフガニスタンで戦争を遂行中であり、世界各地に軍隊を駐留させています。日本に居ては全く想像すら出来ませんが、アメリカは今も戦争の真っ只中であり、日本の戦中にも似た別れのシーンが各地で繰り広げられています。
■ 命を掛けて闘う理由 ■
経済が低迷する中、新兵達が軍隊に志願した理由は概ね生活の為でしょう。若者の就職が困難な状況で、軍隊は大きな雇用対策になっています。しかし、日本の自衛隊の様に殆ど命の危険とは無縁な軍隊とは違い、米軍は世界各地で若者の血を流し続けています。
アメリカ国内にも反戦論者も居ます。又、911以前はアメリカ国民は「テロとの戦い」に消極的でした。第二次世界大戦の時もそうですが、アメリカは巨大な島国ですから本土に直接危険が迫る事はありません。当然国民にとって戦争とは遠い世界の話であり、彼らの子供達が戦地で血を流す必要を感じません。
アメリカ国民が戦争に賛成する為には「命を掛けて闘う理由」が必要なのです。第二次世界大戦では真珠湾攻撃がその理由となり、テロとの戦いでは911がアメリカ人を戦争へと駆り立てました。
■ アルカイダの航空機テロ ■
911が自作自演では無いかという疑いは以前から取りざたされていますが、真相は闇の中で明らかにされる事は無いでしょう。その911もグラウンドゼロの開発がスタートし、月日が経つうちに忌まわしい記憶も薄れつつあります。(と言ってもアメリカ国民が911を忘却する事など決してありませんが・・。)
アフガンの増派が決定し、又無辜の若い命が戦場に散ろうとしている今、アメリカが必要としているのは「敵の確かな存在感」です。アフガンのタリバーンはアメリカ国民に恐怖と闘志を喚起できません。そんな折、アルカイダの若者が航空機に発火剤テロを仕掛けました。あたかもアルカイダの存在をアピールするかの如く・・・。
発火剤で自分が火傷する程度がテロと言えるのか、はだはだ疑問です。ただ、アメリカ国民にアルカイダの存在を再認識させ、彼らが今のテロの恐怖の中で生活している事を思い出させるには充分な演出です。
今回のテロが自作自演かどうかなどは、決して明らかになる事はありません。そもそもアルカイダが実在するかどうかも、実証すら難しいでしょう。しかし、アメリカは今日も戦争の当事者であり、新兵達が戦場に送られて行きます。