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消費税10%・・・税金の行き先

2010-06-26 18:48:00 | 時事/金融危機



■ カイワレ大根は辛い ■

日本の首相は良く代わります。
子供達が首相のフルネームを覚える前に変わってしまします。

子供達が「管首相って誰?」って聞くので、「カイワレ大根を食べた人」と家内も私も答えてしまいました。

その昔、O157が流行った時、管氏の発言で打撃を受けたカイワレ業界を救うために、管氏は山盛りのカイワレ大根を報道陣の前で食べて見せました。ご存知の様に、カイワレ大根は大変辛い食べ物です。あの山盛りのカイワレ大根は大層辛かったと思いますが、国民に与えたインパクトは絶大でした。

その後、狂牛病が流行った時も牛肉を食べるパフォーマンスをする大臣(武部さん?)も表れましたが、バラエティー番組の罰ゲームさながらの面白さは、カイワレ大根に勝るものはありませんでした。

しかし、管氏はカイワレパフォーマンスの後、やはりO157の発生源は大阪のカイワレ業者である可能性が高いという様な発言をしていた様で、国民向けの顔と真意は別という一面も垣間見せています。

■ 参議院選挙を前の「増税」発言 ■

管氏は首相になって直ぐ、消費税10%という方針を切り出しました。小泉氏ですら「私の任期中は消費税の増税はありません」と言っていた、「魔の増税」をさらりと言ってのけました。参議院選挙を前にして、普通は言いません・・そんな事。

不思議な事に、新聞も世論も、驚く程冷静に「消費税10%」を受け入れた感があります。

消費税10%発言の一般的解釈は以下の通りでしょう。

1) マニフェストに沿ったバラマキ型財政が不可能である事が国民に周知された。
2) ソブリンリスクを回避する為に財政再建路線を印象付ける
3) 小沢ー鳩山のドリーマーコンビが頓挫して、国内が現実を見出している
4) 日本の財政赤字は既に限界に達しようとしている

本来ですと国民は「増税」を嫌います。しかしギリシャ危機が他人事でない事を国民は強く感じています。消費税10%発言は、「日本の未来に責任を持とうとしている」という姿として国民には写っているのかも知れません。


■ 税金は今使われる ■

人間は時間のトリックに騙されやすい生き物です。

「今、財政を再建しなければ、将来的に日本の財政は破綻する」
「今、財政を再建しなければ、将来的に年金制度は崩壊する」

こう言われれば、「ご尤もです」としか言い様がありません。

しかし、今年集められた税金は、今まで発行された国債の利払いや、満期を迎えた国債の償還、そして不況下の財政出動に消えて行き、決して将来的な福祉には使われません。

さらに、以前発行された国債の中には、「円高対策」として日本国政府がドル買いを実施する際に発行した国債の利払いや償還も多く含まれています。政府が買い込んだドルは「運用」という目的で、アメリカ国債に姿を変えています。

我々は増税を未来への布石と捕らえていますが、増税は過去の返済として消えて行きます。

■ 何故日本はこんなにも財政赤字を膨らめたのか? ■

GDPの200%に迫る日本国債発行残高は、米国債の購入と平行して膨らみ続けた事を指摘する人も居ます。

1) アメリカは輸入超過で経常赤字が膨らむ
2) 米国内の雇用対策(戦争)の為に、アメリカの財政赤字が増大する
3) ドル安が誘発される
4) ドル安防止の為の介入で、特別国債を日本政府が発行し、
   日銀が円を刷ってドルル買い介入を行う。 
5) ドルで米国債を購入する。

日本は対米輸出によって生じる国家間の経常利益に不均衡を、米国債購入により是正し、その原資として特別国債が発行されていたのです。

■ 「今のお金」を生み出す「国債」と「税金」 ■

「国債発行」にしても、「税金徴収」にしても、政府や日銀の手元に「お金」が生じる事には変わりありません。その「お金」は目下の緊急の事態に優先して使用されます。

それでは「今のお金」の行き先は何処でしょう。

1) 米国債購入
2) 国内銀行や生保への、日本国債の利払い
3) 日本国債の償還
4) JALなどのゾンビ企業の救済

■ 銀行に集まるお金はアメリカに上納される ■

日本の銀行は企業融資に消極的で、日本国債で預金を運用しています。国債の利息は国民の税金によって賄われていますから、私たちは自分の足を食べるタコの様に、自分の税金を利子として受け取っているに過ぎません。

さらに税金や年金は、現役世代から老人世代への所得配分を引き起こします。現役世帯の預金は老人世帯の預金の1/7程度しかありません老人達の資産は最終的には米国債の購入資金に化けて行きます。

1)現役世代の税金・年金→老人の年金
2)老人の資金→銀行預金→日本国債で運用
3)日本国債→円高対策→米国ドル購入→米国債購入



■ 貿易黒字国は、相手国にお金を還流しなければいけない ■

国際社会の基本は、ギブ&テイクです。Win-Winの関係が一番安定しています。

日本はアメリカに輸出して、国内も潤う一方で、アメリカ国債を購入して、アメリカの購買力を維持しなければならない。

これは自明の理であり、これを全否定する程、私は狭量ではありません。

■ 税金を払わないアメリカ国民 ■

アメリカ国民は、投資のキャピタルゲイン課税を免れていたり、住宅購入代金が所得控除の対象になっていたりします。そこで生まれたキャッシュフローをアメリカ人や消費や、投資につぎ込んでいました。

アメリカ国民の税金に不足分を、日本人の税金が補填しているのに、アメリカ人は浮いたお金を運用し、デリバティブ市場で大儲けしていたのです。

■ 鳩山元首相こそが管首相を実現させた ■

管首相は鳩山内閣の過ちを是正し、増税による財政再建に舵を切りました。

「小沢ー鳩山の挫折」の様にマスコミは取り上げますが、鳩山政権の迷走があったからこそ、管首相の消費税10%発言も、国民は「仕方ない」と受け取っています。

「消費税10%」が日米の裏の目論見であるならば、鳩山政権は大きな役割を演じて舞台から去った事になります。