■ 日本国債の保有を大きく減らしたメガバンク ■
昨日のロイターの三井住友FGの宮田社長のインタビューは必読です。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE9BN07L20131224
1) 日本国債の保有を減らしている
2) 長期債を売り、残存も圧縮している
3) 短期のコール市場の担保分の国債として国債保有はゼロには出来ない
4) 株にシフトしているが、ポジションはロング
5) 資金需要がある所に積極的に投資してゆく。国内外は問わない。
6) 通貨スワップ的な手法で海外投資も増やして行きたい
7) 日銀の当座預金に資金が積み上がっているのは過渡的状況。
メガバンク各社が国債一辺倒から積極的なポジションと取り始めた様です。
一方で、生保、地方銀行、信金、奥的年金部門は、国債の保有額を増やしています。
そして一番国債を買い入れているのが日銀。
外国人保有は4%程度に下がっています。
■ 海外投資を加速させる日本の金融機関 ■
注目すべきは、海外投資に積極的な事。
FRBがテーパリングを開始したので、今後円安が進行すれば、内外の実質金利差はさらに拡大します。
日銀の当座預金に摘み上がった資金が、海外に流出する機運が高まっています。海外とは多分アメリカの事では。東南アジアへの直接投資は、メリハリを付けると言っています。
■ 株価はさらに上がるのか? ■
ゴールデンウィークまでの株価上昇局面で、日本のメガバンクは売り方に回っていました。塩漬け株を処理していたのです。しかし、今後は積極的に株式市場にも資金を投入する様です。理由は「インフレ」でしょう。国債金利がインフレ率に達し得ないとメガバンクは見ている様です。
日本国内の資金が株式市場に流入し始めれば、株価は当面底堅い推移をするはずです。国内勢が買い、海外勢が利確売りをする。この局面で何度か円高が演出されるのでは無いでしょうか。
■ 名目成長率にリンクする株価 ■
昨日の池田信夫氏のブログで、「株価は名目成長率にリンクしており、1980年を基準に名目成長率と株価を比較すると、現在の日本株の水準は適正なのかも知れない・・」と書かれていました。グラフもそれを裏付けている様でした。
名目成長率からズレルのは、多分為替の影響でしょう。
日本株市場の7割が外国人プレーヤーですから、円相場によってドル建ての日本株の価値は変化します。多分、1ドル100円の現在の為替水準がニュートラルで、円高になれば日本株は値下がりし、円安になれば値上がりする。ドル建てでは、多分それ程変化はないのだと思います。
ですから、日本株の今後の価格水準は為替相場の影響を受けるでしょう。
アメリカのテーパリングが順調に進めば、円キャリートレードも復活して円安に拍車が掛かるので、株価は現在よりも上昇するでしょう。
■ NY株の動きに注目すべき ■
メガバンクの資金が日本株市場に流入した結果、日本株は底堅い動きをするでしょう。
ただ、日経平均とダウは連動していますから、今後はダウの動きに注目です。
テーパリング後の混乱が少なかったので、ダウは強気に推移しています。
米経済指標も住宅着工件数などが好調の様なので、しばらく市場はリスクオンです。
■ 米国債金利がズルズルと上昇している ■
市場がリスクオンに傾くと、米国債金利が上昇し始めます。
10年債が3%、30年債が4%を伺い始めました。
テーパリングは長期金利の上昇要因ですから、米国長期債の金利の動向によっては、FRBが思わぬ発表をするかも知れません。ただ、それもテーパリング速度を緩める程度でしょうから、株式市場はそれも好材料と判断するでしょう。
■ 一見、全てが上手く回っている様に見えるが・・・ ■
FRBのテーパリングでパニックが起きなかった事で、一見、全てが上手く回り始めた様に見えます。これで、アメリカの住宅市場に火が付けば、米内需も回復し始め、日本の輸出産業も売上を伸ばす事になります。
世界的に株高になる要因が増えて来ますが・・・ここで気になるのが市場に溢れ返る資金です。FRBも金利を上げるまでには未だしばらく掛かると見ている様ですから、市場はバブルを生成し易い状態だと言えます。
2014年初頭が景気回復の節目となるならば、バブルは2年程度で生成される事になります。はたして、FRBはこのバブルの芽を上手く摘む事が出来るでしょうか?あるいは又放置するのか?
■ 新興国市場の動向が鍵 ■
米国内金利が上昇すると、気になるのは新興国市場。
資金の米国回帰が始まると、中国なブラジルやインドなどでバブルが弾ける可能性も。
特に、中国の国内が不安定になると、中国は日本に矛先を向けるだけに、尖閣問題が再び煽られる可能性があります。
アメリカが自信を回復すると、中国に挑発的な態度を取る事も考えられるだけに、東アジア情勢は微妙な空気に包まれます。
■ 危機は去ったのか? ■
先日のFRBのテーパリングの開始で、リーマンショックの危機は去ったかの錯覚を人々は覚え始めています。
しかし、経済や財政の現状を鑑みると、状況はリーマンショック時と大して変わってはいません。むしろ、アメリカも日本も、雇用の質が大きく低下しています
日本もバブル崩壊以降、何度か景気回復局面を迎えましたが、プチバブル的な回復で、その芽は日銀が丁寧に摘み取っていた様に感じます。金利上昇を何よりも恐れていた様に感じます。
アメリカも財政赤字が膨大に膨らんでいるので、金利上昇は財政を圧迫します。結局、危機は民間の市場から、国債市場に移動した様に感じます。
さて、米国債金利はどこまで上昇するのか・・・?
そして、イエレン体制は国債金利を上手く抑制する事が出来るのか?_
2014年はアメリカから目が離せません。
・・・な~んて、妄想記事を又書いてしまいました。
最近は悲感は好まれない様です。空気が変われば楽観を選好するのが市場。