人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

暴動が拡大するアメリカ・・・行き過ぎた資本主義は内部崩壊する

2014-11-27 10:41:00 | 時事/金融危機
 










今年8月に起きたアメリカ、ミズリー州ファーガソンでの警官による黒人少年の射殺事件。その大陪審判決が無罪だった結果を受け、またもやファーガソンでは黒人達の抗議行動が暴動に発展しています。全米のその他の地域にも抗議行動が拡大し、オバマ大統領は「アメリカは法治国家だ・・・」とメッセージを発し、国民に落ち着く様に求めました。

"Ferguson Riot"で検索すれば、現地の映像が見られるはずです。

とかく人種対立に原因が求められるアメリカの暴動ですが、低所得者層の不満が噴出したものとも言えます。

過度の資本主義の進行は、所得格差を拡大して社会を内側から崩壊させると言ったのはマルクスですが、「景気回復」が宣伝される裏側で、アメリカ社会のストレスは確実に高まっています。

再度の金融危機が発生した場合、連邦政府が速やかに弱者救済の為の財政支出に踏み出さなければ、全米でこの様な暴動が発生する可能性も有ります。福祉重視の黒人大統領のオバマだからこそ我慢していたマイノリティーの人達が、はたして共和党の白人大統領になるであろ時期大統領に対してどれだけの期待が持てるのか・・・・。

アメリカの貧困層とて、自分達の国家や社会を壊す事を良しとはしません。できれば平和に暮らしたいと誰もが思っています。しかし、我慢にも限度があります。アメリカはオバマが不法移民に国籍を与える大統領令を出そうとしていますが、一国の中に超先進国と途上国が同居するアメリカ社会は、どこかでバランスを崩す事になるのでは無いか・・・。

国内のストレスが高まる時、国家は国外の敵を求めます。

「戦争など過去の話」だと数年前までは日本人のほとんどが考えていました。しかし、だんだんと「戦争」のリアリティーが増している様にも思えます。


衆議院選挙の結果、改憲賛成派が衆参で2/3を占めれば、憲法改憲の発議が現実化します。「日本が普通の国になる」という事は「普通に戦争が出来る国になる」という事と同義かも知れません。これは世界の標準なので改憲自体に問題は無いのですが、為政者が戦争を選択した場合、私達はリアルな戦争へと巻き込まれて行きます。

国会が正常に機能していれば問題有りませんが、「大政翼賛会」的な状況になっていれば、私達国民に出来る事は、それこそ「暴動」くらいしか無いのかも知れません。





限りなく文学に近い漫画・・・サメマチオの『わっちゃんはふうりん』

2014-11-27 07:34:00 | マンガ
 



■ 近代文学と「意識の流れ」 ■

人間の意識や思考はどの様に形成されるのかは、心理学の研究テーマの一つですが、その仮設の一つに「意識の流れ」という考え方が有ります。

「人間の意識は静的な部分の配列によって成り立つものではなく、動的なイメージや観念が流れるように連なったものである(wikipedia)」といった考え方です。

これを文学に応用したのがジェームス・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』や『ユリシーズ』、そしてヴァージニア・ウルフの『灯台へ』などの作品です。これらの作品は、心の表層に浮かび上がる様々な思考の断片が、何の脈絡無く羅列されている様な表現手法を取るので、現代の明晰な文学に慣れた私達が読むと「グダグダ」な感じがして、とても楽しみながら読める代物ではありません。

その対局にあるのがレーモンド・チャンドラーを始めとするアメリカン・ハードボイルドかも知れません。物語は事物の客観的描写と、主人公のモノローグによって進行します。このモノローグは絶えず誰かに語りかけるかの様に論理的で明晰です。逆に意図的に語り手の感情の揺らぎを排除する事で、むしろ言外に潜む心理を読者に推測させます。

日本のライトノベルの多くも一人称で語られる作品が多く、『涼宮ハルヒの憂鬱』では語り手のキョンはハルヒの事を大迷惑だと語りながらも、読者は言葉と裏腹なキョンの心理を想像して楽しみます。

あたかも「意識の流れ」を否定するかの様なハードボイルドの表現手法ですが、実は読者自身は進行する物語の後ろで「ざわめく意識」を絶えずすくいあげながら読む事を強いられる事から、ハードボイルドは「意識の流れの進化した姿なのかも知れません。

ジョイスらの作品が意識を押し付けて来るのに対して、チャンドラーは意識の押し売りをしません。読者の自由な裁量に任せているのです。

■ マンガは「意識の流れ」の表現に非常に秀でている ■

人間は言動と思考がかみ合わない事が有ります。「顔で笑って心で泣く」などという状況が思い浮かびますが、文章でその様な状況を表現するのは意外に難しい。

一郎は少し俯いた後、顔をくしゃくしゃにして笑ってみせた・・・。

多分、こんなベタな表現をする事が多いかと思います。
ところが、ここに動きと異なる心の葛藤が重なると、表現が混乱して来ます。

一郎は少し俯いた後、顔をくしゃくしゃにして笑って見せた・・・イヤだ・・・口の端がわずかに引きつっている・・・イヤだ・・・・。

ライトノベル的な書き方をするとこんな感じでしょうか。並走する思考を文章で表現する事は意外に難しいものです。

一郎は少し俯いた後、顔をくしゃくしゃにして笑って見せた・・・。
周囲の音が水底で響くように遠くおぼろげになり、彼女の言葉が泡のようにフツフツと消えて行く。頭の中の血管の音だけが、ドクンドクンと世界を圧迫する。


下手くそですが、文学的な表現を試みてみました。(中二病的文章だ・・・)

「一郎は無理して笑顔を作ったが、心の中は戸惑いと怒りに溢れていた」という直接的表現を避けると、文章は意外に回りくどくで不明確なものになります。


ところがマンガでは、主人公がクシャクシャに顔を歪めながら笑うカットを描いて、そして「イヤだ!!」という思考の「吹き出し」を付ければ解決します。さらに見上げた青空のカットを次に挿入したりすれば、さらに主人公の心の中が暗示されたりします。

■ サメマチオの『わっちゃんはふうりん』に見る意識の流れ ■



昨日本屋で何故か衝動買いした サメマチオ『わっちゃんはふうりん』

作者の名前すら知らず、表紙の絵柄は好みでは無いのに、スーと手が伸びて気付けばレジに並んでいました。

大正時代、薬屋の家業を継いだのは妾腹の義兄。ビジネスに秀でた彼は輸入業者の娘と結婚して事業を拡大しています。本来、家業を継ぐはずだった本妻の息子の弟はボンボンに育った上に事故で片足を失い、今では厄介ものの扱いです。

弟の住む家は兄の持ち物ですが、兄はそこに妾を囲っています。母屋に妾が住み、離れに弟が住んでいます。今度の妾は、芸者上がりにしては出来が悪く、とても兄が身見受けする様な女ではありません。一方で普通の女性の様に大らかに笑い、しっかりとした生活感を持っています。

「兄の女」の存在を煩わしく思いながらも、女性の存在に心が乱れる弟は、なるべく彼女から距離を取ります。自分の妾を片足の無い弟の身近に置く事自体、妾腹の子である義兄のイヤガラセだと考えるからです。

こんな複雑な状況で日常を送る二人ですが、お互い相手を思いやり、気遣っています。そんな二人の生活も長くは続きません・・・・。

ありきたりな設定ではありますが、その描写方法には息を呑みます。兄と弟の複雑ですれ違う思いや、二人を取り巻く周囲の気遣いや我慢、そして一人の女性に対する二人の切ない思いが絡み合いながらも、話は淡々と進行します。

http://sokuyomi.jp/product/wacchanhaf_001/CO/1

上で試し読み出来ます。


シンプルなた絵に、言葉とモノローグが重なります。行動と言葉と心の中がバラバラと目に入って来ます。吹き出しの位置が不規則なので、時系列が分かりにくく、逆にそれぞれが同時に進行する様に感じられます。

まさにジョイスの「意識の流れ」の様なフワフワとした感じを受けるのですが、意識の海に溺れそうになる文学表現とは違い、最少の線で描かれた絵と、最少の言葉と、最少の心の声で形作られる世界は、省略の美学に満ちています。

その行動、その言葉が発せられるまでにどれだけこの男は逡巡したのだろう。心に浮かび上がる言葉すらも、思考の抑圧の網目をすり抜けて来たに違いない・・・・。

「意識の流れ」の手法を取ながらも、その表現手法はレイモンド・チャンドラーの様なある種のストイックさを感じずには居られません。


1冊で完結の作品なので、是非手に入れて読んで頂きたい。
森鴎外の『雁』の様な、抑制された美しさを堪能出来る作品です。



しかし、日本のマンガ文化というのは恐ろしいですね。探せばこんな作品がゴロゴロしているのですから・・・。

<再録> バブルとは意図的に作られて、そして潰されるもの・・・金融緩和の行く末

2014-11-27 02:43:00 | 時事/金融危機
 


昨今の日本株の相場やダウがバブルかと言えば、日本のかつの大バブルの様な迫力は有りませんので「プチバブル」と言う方が正しいのかも知れません。ただ、リーマンショック前のレバレッジをバリバリに効かせたヘッジファンドの投資などは明らかにバブルでした。

現在の金融緩和に支えられた金融市場がバブルかどうかは意見の分かれる所ですが、低利の大量の資金投入が断たれれば存続出来ないという意味においては、継続性には疑問を持たざるを得ません。

多くの投資家の方が現在の相場のピークはアメリカの利上げまでと予測しており、ここでダウは大きな調整が入ると予測しています。外国人株主がメインプレーヤーである日本株も当然影響は避けられません。


「日銀や官製相場に逆らうな」というのは投資の鉄則ですから、現在は相場の流れに乗る事が正解ですが、ある意味誰もが儲かる相場はいずれ終了します。投資をなさっている方はそれを承知でスリルを楽しんでいらっしゃるので問題は有りませんが、年金基金の積立金の運用までも投入して支えられた市場が正常化どうかは疑問が有ります。

相場が上昇している時には年金運用も利益が出ます。特に、PKOで底値買いした当時の株はアベノミクスで利益を出しているはずです。一方で昨今の高値買いの株は株価下落時には損失を発生します。長い目で見れば、日銀の異次元緩和の行く末はインフレによって精算されるので、インフレに強い株は年金運用においては国債よりも有利と言えますが・・・・。

コメント欄にも有る様に、ヘッジファンドなどは先に下落時にショートのポジションを積み上げて日本株下落に賭けていた所も多かったので、追加緩和の発表でファンドが解散した所も多い様です。日本株ファンドから大量の資金が流出しています。

海外の投資家達などは、「日本株市場は官製相場で魅力を失っている」と発言していますが、これは裏を返せば「自分達が自由に価格をコントロール出来ない市場では利益を出すのが難しい」と言っているのに等しく、自由過ぎる市場が必ずしも投資家の為になるとも思えません。この点においては、日銀やGPIFの存在は市場の安定に貢献しているとも言えますが、一方で市場のブレーキ機能を失わせる事で、相場が崩れた時の影響を拡大しているとも言えます。

この点においては、リーマンショック後の各国中央銀行の金融緩和や量的緩和も同様に、市場の調整機能を狂わせている点において、現在の相場が崩れた時の影響を深刻な物とするでしょう。


青天井の相場は存在しませんから、「いつかは暴落する」というのは「いつかは富士山が噴火する」と言うに等しい発言です。ですから私は「FRBの利上げ」で現在の相場が調整を迎える可能性が高いと常識的な事を書いて誤魔化します。

ただ、誰もがそう考えている状況で、誰かが先に売り抜けるのは世の常です。「年内に手仕舞い」と考えている方も多いのではないでしょうか?あるいは「衆議院選挙の直前で一度利確しよう」というのも安全策です。

私自身は投資をしていないので短期の相場の動きなどはあまり興味が有りません。むしろ、「ドイツが米国からの金準備の回収を断念した」とか、「スイスが国民投票え米国に預けている中央銀行の金を回収するか是非を問う」といったニュースの方に大いに興味を引かれます。

現代において通貨はシステムとして機能していますが、そのシステムはどこまでも拡大可能なのか、それとも人々の共同幻想にはどこかで限界が訪れるのか・・・その答えに世界は今挑んでいます。「人力でGO」は、陰謀者の私が、世界の動きを陰謀論的に妄想する遊びのブログなので、多分投資をされている方には「ケシカラン」ブログだとは思いますが、そこら辺は可哀想な人をヌルク見守っていただけたらと考えています。




前置きが長くなりましたが、昨年2013年1月30日の記事を載せておきます。」

私は陰謀論者なので、バブルは中央銀行が意図的に作り出して、そして潰しているのではないかと妄想しています。バブルとその崩壊は世界の構造を変える道具では無いのか・・・そう、妄想しています。



<再録> 「バブルとは意図的に作られて、そして潰されるもの・・・金融緩和の行く末」





Wikipediaより 

■ アメリカのダウ平均株価の推移 ■

上のグラフはアメリカのダウ平均株価の長期的推移です。

1929年の世界恐慌の発端となったNY株式市場の暴落は有名ですが、
その当時と比べて、現在の株価がいかに拡大しているかが一目瞭然です。

特に1980年以降に急上昇しており、
これは、1972年にニクソンがドルの金兌換を停止した事と無関係ではありません。

金の鎖から開放されたドルは、大量に発行する事が可能になりました。
本来は、通貨を大量に発行すると通貨価値は下落するのですが、
ドルは基軸通貨として貿易決済の利用されていたので、
世界の経済の拡大に伴って、ドルの需要は増えて行きます。

大量に発行されたドルは、利益を求めて株式市場にも流れ込みます。
その結果、アメリカの株価は急激に上昇し始めます。

■ リーマンショックの影響は小さい? ■

日本はバブル崩壊で、株価が1/4程度に下落しました。
それに比べて、アメリカはリーマンショックの直後こそ株価が下落しましたが、
その後、金融緩和の影響もあって、株価はリーマンショック前の水準を突破しています。

バブルの崩壊で株価が暴落した日本と、
株価を維持しているアメリカの違いとはいったい何なのでしょうか?

一つには、平均株価の算出方法の違いが上げられます。

日経平均株価は、東証一部上場企業の内225銘柄の株価の平均
ダウ平均は、ダウジョンズが選定した30企業の株価の平均です。

ダウジョンズが選ぶ30企業は、アメリカの代表的なグローバル企業で、
各業界の世界的トップ企業が居並びます。

アメリカンエキスプレス、ボーイング、バンカメ、デユポン、ウォルトディズニー
GE、インテル、ヒュレットパッカード、マイクロソフト、IBM
コカコーラ、マクドナルド、ウォールマート、ベライゾン

ざっとピックアップしただけでも、錚々たる顔ぶれです。

これらの企業は、世界の業界トップに君臨すると言って過言では無く、
リーマンショック後も、アメリカ国内の経済状況の悪化を尻目に、
新興国市場の急拡大で売り上げを伸ばすことが可能な企業だとも言えます。

米国企業と言えども、それは本社が米国内にあるというだけで、
全世界に生産拠点と販売網を構築し、
安い労働力を駆使して、企業収益を拡大し続けています。

マスコミはアメリカの株価と言えば、真っ先にダウ平均を報道しますが、
ダウ平均はグローバルの巨人達の業績を繁栄しているのであって、
アメリカの景気を正確に反映している訳ではありません。

しかし、ダウ平均が上層すれば、つられて他の銘柄も買われますので、
アメリカの株価は、国内の実体経済の不調とは無関係に、
「ただ上昇するから」買われ続けています。

■ ダウ平均に連動する世界の株価 ■

日経平均が良い例ですが、世界の株価はダウ平均株価にやんわりと連動しています。
ダウが上昇すれば、世界中で株が買われ、ダウが下落すれば売られます。

これは一見するとダウが株式相場の指標となっている様に錯覚されますが、
株式市場のメインプレーヤーが誰かと考えるならば、
実は、同じ連中が、株式市場から資金を引き揚げて、
コモディテー市場に移動させたり、さらに債券市場に移動させているだけとも言えます。

相場は絶えず連動していなければ儲けが出ません。
そして、相場を動かす程の資金力を持った集団が、
自分達の都合で、資金を移動する事によって、
相場を自在に上下させ、逃げ遅れた投資家達の資金を巻き上げてゆくのです。

市場は経済指標や政府の発表する統計に連動して動いている様に見えます。
しかし、これらの統計のデータをいち早く知る事が出来れば、
市場の動きを先読みする事も可能です。
これはインサイダー取引に当たりますが、こういう疑念は拭えません。

こうして、リーマンショック後の世界の株価は、
潤沢に供給される緩和マネーを取り込んで、
順調に回復している様に見えています。

本当の危機が来るまで、株式市場は利益を生み続ける事が出来るのです。

■ 日経平均は出遅れたのでは無く、ドルベースでは連動していた ■

リーマンショック後、日経平均だけが回復が遅れました。

しかし、日経平均をドルベースで換算すれば、
対ドルで円が値上がりしていたので、日経平均も順調に値上がりしていたとも言えます。

東京為替市場のプレーヤーの半分は外国投資家と言われる勢力です。
これは、単純に言えば、世界のマーケットで資金を循環させている張本人達で、
彼らはドルベースで取引を判断しますから、
東京市場は円高によって充分利益の出るマーケットだったのです。

■ 株高では無く、円安の調整 ■

現在日本の多くの人達が、株価の上昇の恩恵を受けています。
個人投資家達も、長い冬篭りからようやく目覚めた様です。
株価上昇を目の当たりにして、新規に株式投資を始めた方も多いでしょう。

東京市場では30%を超える勢力が、個人投資家と言われています。
残り20%弱が、証券会社や銀行、そして年金などの資金です。

海外勢力は、円安では同じドル資金で、より多くの日本株を買う事が出来ます。
ですから、円安時には、株価は上昇し易くなります。

この円安調整の株高に、個人投資家達が乗って来るので、
日経平均には上昇バイアスが掛かります。

■ バブルの定義は簡単だ ■

私達は「バブル」と言うと、1990年頃の「大バブル」を想像しがちです。
しかし、経済の実態を無視した株価や不動産価格の上昇もバブルとも言えます。
私はこれを「プチバブル」と呼ぶ事にしています。

経済の状況が「バブル」なのか「好景気」なのかは、
バブルが弾けて初めて分かると言われます。

しかし、私はこれは全くのデタラメだと思っています。

バブルをバブルたらしめるのは、潤沢な低利の資金供給がされているという状況です。
この低利の資金供給が絶たれた時に、成長が縮小に急反転するのがバブルです。

個人が企業が自分の投資状況を鑑みた時、
低利の資金供給が絶たれたら、現在のポジションを解消しようと思えるのなら、
それは既にバブルが発生していると考えて良いのでしょう。

逆に、多少金利が上昇したとしても、経済成長による需要拡大が見込めるから、
このままの投資ポジションを維持しようと思える状況が、好景気です。

■ 時間軸というトリック ■

現在、世界の中央銀行はほぼゼロ金利の資金を無尽蔵に放出しています。
しかし、ゼロ金利という事は、いつかは金利が上昇します。

ですから、投資を行う人達は、現在の金利がいつまで維持されるかが気になります。
中央銀行が金利を上げるという予測下では、資金は中央銀行にブタ積みになります。

そこで、中央銀行は「失業率が6.5%になるまで緩和を続ける」とか、
「インフレ率が2%になるまで緩和を続ける」という表現で人々の不安を払拭します。

所謂「時間軸」と呼ばれるテクニックです。

中央銀行が潤沢に低利の資金を供給し続ける間は、
投資家達は安心して、マネーゲームを繰り広げる事が出来るのです。

■ 金利は延々に上昇しないのか? ■

ここで問題なのが、金利が永遠に上昇しない事は有りえないという事実です。

一般的には景気が回復して、実体経済で資金が回転し出すと、
市場に潤沢に供給されっていたマネタリーベースの何倍ものマネーストックが発生します。
これは、人々や企業が、借金をして消費や投資を始める事によって発生します。

中央銀行の通常の金利政策では、好景気でマネーストックが拡大した時点で、
金利を引き上げ、市場から資金を吸い上げて、インフレを抑制します。

ところが、現在の様に、世界のあらゆる国々で、
低金利を前提に投資が行なわれている場合、
金利上昇は、資金の大逆転を引き起こします。

日本の「大バブルの崩壊」は日銀の金利引き上げが発端となって発生します。
そして、不動産投資の総量規制がこれに拍車をかけました。
資金供給を断たれた途端に、借金で不動産投資をしていた企業や個人が破綻したのです。

■ リーマンショックも同じ理由で発生した ■

リーマンショックも同じ構造で発生します。

FRBはITバブルから米経済を脱出させる為に低利の資金を大量に放出しました。
この資金が住宅市場に流れ込み、住宅価格は右肩上がりに上昇します。

住宅を買えば値段が確実に上昇し、
新たに生まれた担保価値が、新たな借金を可能にする為に
アメリカ人は借金をして住宅を買い、さらに借金をして車を買いました。

そして、アメリカ人の住宅債務は、MBSという証券に加工され、
世界中に売りまくられたのです。

FRBのグリーンスパン議長は、「これは住宅バブルでは無い」と言って、
金利引き上げをせずに、資金を供給し続けました。

一方、日銀はバブル後の不況打開の為にゼロ金利の資金を潤沢に供給していました。
しかし、日米の金利差がポンプの役目を果たし、
日銀の供給するマネーは、円キャリートレードという形で
アメリカに低利の資金を供給する事になり、
住宅バブルは本来、住宅を購入すいる事の出来ないサブプライム層にまで拡大します。

この時点で、多くの人達が、「住宅バブル」の崩壊を指摘し始めます。
そして、日銀が金利を引き揚げた途端、資金の流れが逆転します。
アメリカで、金利が上昇した為に、サブプライム層はローンが払えなくなったのです。
こうして、アメリカの住宅バブルが崩壊し、
サブプライム危機は、MBSを介して金融危機に発展し、リーマンショックを迎えます。

■ 自在のバブルを発生させ、自在にバブルを崩壊させる事で儲ける人々 ■

中央銀行は「バブルの発生は予想できない」と言い訳します。

しかし、中央銀行が実体経済の実力以上に資金供給を続ければ
遅かれ早かれバブルが発生します。

日本の大バブルは、プラザ合意後の円高不況からの脱出の為に
日銀が金融緩和を実施した事で発生しました。

「内需拡大」の掛け声と、日銀が潤沢に供給する資金が
不動産市場と、株式市場に一気に流れ込みます。

円高によって輸出産業を初めとした設備投資は低調でしたから、
資金は手っ取り早い利益を得る為に、不動産と株に最初に流れ込んだのです。

これに目を付けたのが、外国人投資家達(国際マフィア)達です。

彼らは日本の株式市場を買上げ、株価を極限まで吊り上げました。
その後、ロスチャイルド銀行や、ソロモンブラザーズが中心になって、
日本の株が売り浴びせられました。

彼らは、日本株暴落で儲かるデリバティブ商品を予め海外の投資家達にばら撒き、
それらの投資家達は、日本の株価を吊り上げた後に、一斉に売り浴びせたのです。
これで、日本の株価はピークの4万円から大暴落します。

日本株が暴落した所で、外国人投資家達は底値で日本株を買い漁りました。

この時、不動産バブルが崩壊した穴埋めに、
日本の金融機関は、持株を安値で手放さざるを得ませんでした。
さらには、BISの基準が強化される事で、
銀行の貸し剥がしが行なわれ、企業は持ち合いしていた株を手放さざるを得なくなります。

こうして、株の持ち合い制度によって守られていた日本企業の株式の多くが、
海外の投資家達の手に渡ることになります。


それ以降の日本は、かつての輝きはありません。
リーマンショック以前は、円安も手伝って輸出企業は空前の収益を上げていました。

しかし、外国人に半分乗っ取られた輸出企業は、
利益の多くを株主に還元し、社員の給料は上がりませんでした。
それどころか、企業はリストラを進め、正社員を非正規雇用に切り替える事で、
利益をさらに拡大してゆきます。


世界恐慌でアメリカの土着の企業の株は、
ロスチャイルド傘下の銀行家達に買占められてしまいます。
独立国家アメリカは、この期を境に、金融資本家達の支配する国家となったのです。

同様に日本も、第二次大戦とバブルの崩壊という二回の敗戦によって、
国際金融資本家達に乗っ取られたと言えます。


バブルの生成と崩壊が巧みに仕組まれた結果です。

■ 日銀は誰の味方か? ■

世界のバブルの歴史を遡ると、
その裏に金融資本家達の影が見え隠れします。

フランス革命の原因となったのは、フラン王朝の財政難でしたが、
それの発端となったのは、ミシシッピ会社を利用したジュン・ローの暗躍があります。
彼は王立銀行と造幣局まで手に入れて、バブルを拡大し、そしてそれは見事に破裂します。
ジョンローの後ろに誰が居たのか、だいたいの想像は付くはずです。

この様に世界の歴史の変換点は、バブルの崩壊から始まると言っても過言ではありません。
第二次世界大戦の原因は、ニューヨークの株式バブルの崩壊です。


そして、バブルの生成と崩壊に必ず関係しているのが中央銀行です。


たたして、日銀は誰の味方なのか・・・・。
中央銀行の独立性は、誰の為に保障されているのか・・・・。

確かに政府が通貨発行権を握れば、政治的な人気取りの為に通貨を増刷して、
結局は通貨の価値を損ないます。

中央銀行は通貨の番人として、通貨価値が安易に損なわれない様に見張っています。
しかし、それは国民の為と言うよりは、中央銀行制度事態が、
国際金融マフィア達の利益の源泉であり、
彼らは金利を巧みにあやつって、資金移動を促したり、
バブルを作り出して、そして崩壊させる事で、社会の姿すらも変える事が出来るのです。


ウィーン学派や、リバタリアン達はその問題に自覚的ですが、
彼らの意見に耳を傾ける人達は少数派です。


まさか、中央銀行に自分達が支配されているなどとは夢にも思いませんし、
教科書どころか、経済学の本にも書かれていません。


■ アベノミクスというプロレス ■

安倍政権は日銀に金融緩和を迫っています。
その理由は、「デフレを脱却する為」と説明されています。

多くの人達が、安倍首相が、日本を不景気に陥れている日銀と戦っていると思い込んでいます。

一方、この時期に「イヤイヤ」を装いながらも日銀が緩和を拡大する理由を邪推するのが陰謀論です。

世界は現在、返済出来ない借金を抱えています。
中央銀行の狂った様な資金供給無しには、世界経済は簡単に崩壊します。

そして、各国の政治システムを不安にさらすのは人々の力です。
それは、失業による不満を切欠に拡大し、燃え上がります。

ですから、リーマンショック後世界の国々は通貨安戦争に突入し、
輸出の振興によって、質量率の上昇を食い止める振りをしています。
しかし、その実体は、相手国よりも大胆な金融緩和によって、
大量の資金を市場に供給しうる事であり、
さらには、自国国債の直接、間接的な買上げでしかありません。

通貨安戦争とは、結果であって原因では無いのです。

そして、そんな事はいつまでもは続きません。
いつかは大崩壊を引き起こします。


その時、国債金融マフィア達が焼け野原からかき集めるのは、
中国やロシア、インドやブラジルの企業の株式、
あるいは、日本や韓国や台湾やタイの企業の株式では無いでしょうか?


世界の国々は生き残りの為のサバイバルをスタートさせています。
フランスやイギリスのアフリカ利権の争奪があからさまになっています。


はてさて、何処を見たら、アメリカ経済は復活するだのと、
明るい未来が予見できるのでしょうか?

アベノミクスは目下の所、良い結果を日本にもたらしている様に見えます。
しかし、その裏で世界で何が進行しているのかを冷静に見る必要があります。

「世界はバブルを膨らめている」・・・そしてその目的とは・・・・。

クルーグマンやステグリッツを信用すると痛い目に遭うのでは?