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「左巻き報道」という名のガス抜き・・・注目すべきは報道の実効性

2015-08-31 13:30:00 | 時事/金融危機
 
■ マスコミが報道しなければ「認識」されない不思議 ■

今回の安保法制ですが、集団的自衛権が憲法違反であると憲法学者達が騒ぎ出してから、マスコミも世間も安保法案に反対の姿勢を強めています。

しかし、昨年末の衆議院選挙の前には安倍内閣は「集団的自衛権は憲法解釈上認められる」との閣議決定をしており、自民党は安保法制の整備を選挙公約に掲げていました。

国民が集団的自衛権に対してジャッジすべきタイミングは、まさに閣議決定後の昨年の衆議院選挙だったはずです。

しかし、マスコミはこの問題が争点になる事を避けていましたし、野党も追求はしたもののいつもながらの抽象的な論争しかしていません。当然、国民は「集団的自衛権」が選挙の争点で有るとは考えていませんでした。マスコミがキャンペーンを張らない限り、選挙の争点を自分達で見つける事すら出来ないのです。

現在、多くの国民がマスコミを「マスゴミ」としてバカにしています。しかし、バカにしている自分達が、依然としてマスコミの報道にコントロールされている事に気付きません。

■ 山本太郎という分かり易いガス抜き ■

ネットでは山本太郎議員の国家での安倍首相との論戦が話題になっています。アメリカの戦争犯罪を列挙して、その様な国と軍事行動を共にする事が日本の法律上許されるのかを鋭く追及しています。

一見、スカット胸のつかえが取れる様な国会質疑ですが、問題は彼の質疑が安保法案の成立の行方を全く左右するものでは無いと言う事です。既に衆議院で3/2以上の安定多数を与党が獲得した時点で勝負は付いているのです。

尤も、従来の野党議員は「アメリカの戦争犯罪を国会で具体的に追求する様な事」を避けて来ました。彼らの常識が有りますから、自分の政治生命を秤に掛けるからです。

山本太郎議員にあの様な国会質疑をさせているのは日本の左翼勢力かと思われますが、山本議員は上手に与えられた役割を演じています。彼の暴露した内容は、ネットなどで情報収集すれば容易に調べられる事ですから、今更国家の場で暴露されても政府のアメリカも痛くもかゆくもありません。

一方で安保法案があまりにもスルスルと国会を通過してしまっては、「民主主義のリアリティー」が薄れる恐れが有ります。

ですから、国民のガス抜きと民主主義のリアリティーを担保する為に山本太郎という存在を必要とするのでしょう。

メディアもここに来て安保法制に反対する姿勢を見せ始めましたが、本当に彼らが反対のキャンペーンを張るならば、衆議院選挙に合わせたはずで、始めから反対する気など微塵も有りません。ただ、「社会の正義」というポーズを付けるアリバイ工作を今になってしているだけです。

■ リアリティーを欠いた議論に意味は無い ■

「戦争を根絶しよう」「原発を停止しよう」「アベノミクスで日本を復活させよう」

この様な意見は「理念」としては立派だと思います。一方で、往々にしてこの様に主張される方の話には「リアリティー」が欠如しています。

「どうしたら戦争は防げるのか?」「誰が現存する原発の廃炉費用を負担するのか」「異次元緩和にもかかわらずGDPがマイナスになるのか何故か」

この様な現実的な検討を放棄し「理念」や「理想」を負い続けた戦後の日本人の多くが、「現実的に考える能力」を失ってしまいました。

私達は中国共産党の機関紙の人民日報を「御用新聞」だと笑いますが、中国人は「人民日報」などはなから信用していません。騙された振りはしますが、本当に騙される事は有りません。その意味において中国人や韓国人のメディアリテラシーは日本人よりも進んでいます。

日本人もさすがにメディアを盲信する事は無くなりましたが、実は「左巻き」の誘導に簡単に騙される傾向が有ります。私達が注意すべきは実は「左巻き」の誘導で、これを上手にコントロールする事で朝日新聞を始めとするメディアは戦後日本人をコントロールしてきました。

日教組は「反核」や「反戦」を子供達に刷り込んで来ましたが、アメリカを始めとする欧米諸国が最も恐れるのは、日本の核軍備であり、軍拡によって日本が西側諸国に対抗する事です。

私も含め「日本はアメリカの殖民地だ」と主張する人は多く居ますが、実はそれを素直に認め、その現実の中で日本がどうあるべきかを真剣に考える事がこれからの日本には重要になるのでは無いでしょうか。そして、安倍首相を始めとする大物政治家や官僚達は、日々葛藤の中で日本の将来を掴みとろうと模索していると・・・信じたい。

存在するけど存在しない日本の「空母」

2015-08-31 09:21:00 | 時事/金融危機
 



■ 報道されなければ「存在」しないも同然 ■

コメント欄に「いずも型」ヘリコプター搭載護衛艦の2番艦「かが」の話題を頂いたのでちょっと取り上げたいと思います。

上の写真は日本のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも型」の写真ですが、誰がどう見ても空母(航空母艦)です。全長は248m有ります。これは戦艦大和の263mに迫る大きさで、第二次世界大戦当時の日本の空母「赤城」とほぼ同等の長さを持ちます。



■ 着実にヘリコプター空母部隊を構築しつつ有る海上自衛隊 ■

自衛隊が本格的なリコプター搭載護衛艦を配備し始めたのは2004年の「ひゅうが」からですが、当時は災害時の物資輸送が目的などと説明されていました。

しかし、「ひゅうが型」よりもさらに大型の「いずも型」が二隻も建造された事から、日本が着実にヘリコプター搭載空母部隊を保有しつつ有る事は明らかです。防衛計画は中長期に策定されますから、既に10年以上も以前より、海上自衛隊は空母を要する実戦型の外洋艦隊に進化する事が予定されていたと言えます。

「いずも型」は巨大な艦なので運動性能など交戦時の能力は低く、自艦を守る最低限の火器しか搭載されていなことからも、複数艦での任務遂行が前提となると思われます。

搭載機はヘリコプターとされていますが、これにはオスプレーも含まれると思いますので、作戦半径はそれなりの広さを持つはずです。さらに、次期主力戦闘機となるであろうF35の艦載機バージョンならば、短距離離着陸が可能ですから将来的には戦闘機搭載空母としての運用も可能になります。

■ 対潜哨戒に特化する空母部隊? ■

現状ヘリコプター空母として運用されるであろう「いずも型」ですが、実戦となればその巨体が故に敵の恰好の標的となります。戦闘機を搭載していない事から、対空空防御がザル状態です。実戦で運用される場合は、イージス艦やミサイル巡洋艦などと艦隊を組む事が前提となります。

搭載されるヘリコプターの役割は、物資の輸送のみならず、対潜哨戒が主な役割となると思われます。現代の艦隊にとって最大の敵は潜水艦です。実際にアメリカと敵対する国家は米空母機動部隊に攻撃型潜水艦を張り付けています。

いざ有事となった場合、空母機動部隊に打撃を与える事は非常に重要です。現代の戦争は制空権を確保すれば決着が着くとも言えます。ですから湾岸戦争以降の戦争では、開戦と同時に艦船から発射されたトマホークなどの誘導ミサイルが敵のレーダー網や防空官制網を破壊し、続く艦載機爆撃で敵の対空装備などを潰して制空権を奪います。開戦と同時に敵のすぐ近くから巡航ミサイルや艦載機を発進させて一瞬でケリを付けるのです。

これに対抗する手段は、敵艦隊を破壊する事、あるいは航空母艦を艦載機の航続距離より遠くに後退させる事が有効です。

仮に中国とアメリカや日本が戦争を始めた場合、中国近海に中国軍の潜水艦がうようよ居たら、如何米海軍と言えども容易には中国本土には接近出来ません。ですから、対潜哨戒が非常に重要な任務になる訳ですが、自衛隊は米ソ冷戦の時代から対戦哨戒を得意として来ました。軍隊の規模に対して対潜装備の比率が非常に高いのです。

この様に、自衛隊は自前の戦闘機搭載の空母を持たないので攻撃力は高く有りません。しかし、イージス艦を始め対潜哨戒など防衛能力に長けた戦力を有するので、米軍との一体運用でその能力は最大に発揮されるとも言えます。米ソ冷戦の時代から、米軍と一体化した集団自衛は日本の防衛の大前提だったとも言えます。

■ 存在する空母が存在しない日本 ■

日本が空母を保有する事は厳然たる事実ですし、中韓は日本の空母保有にかつてから疑念を表明していました。

ところで、日本が空母を保有している事をどれだけの日本人が知っているでしょうか。「ひゅうが」などはテレビで取り上げられる事も有りましたが、その際は「ヘリコプター搭載護衛艦」と呼称され、災害救助を迅速に行う艦船だと説明されて来たと思います。

少し軍事に興味の有る人ならば、「ははーーん」と思う所ですが、一般の視聴者は「甲板が大きく、トラックなどを大量に輸送出来る船」という認識しか持たないはずです。

現在日本が保有するヘリコプター搭載護衛艦は、艦隊護衛という目的からは「護衛艦」と言う名称が妥当です。しかし、将来的にF35などを搭載すれば打撃力の高い空母としても運用が可能です。

我が国に現状空母打撃群は存在していません・・・。


<追記>

中距離弾道弾の精度が高まった現代において空母機動部隊は恰好の標的です。中国は対艦弾道ミサイルを実戦配備していると言われますが、衛星による精密誘導で、空母甲板にマッハ10の落下速度で精密着弾させる能力が有る様です。

これに対して空母機動部隊はイージス艦に搭載されているSM-3で対抗します、SM-3は高度160km以上で飛行速度マッハ3程度の弾道ミサイルに体当たりする迎撃ミサイルです。これまでに実験が重ねられ80%の迎撃率を有すると報道されています。特に、弾道ミサイルが正面から飛来する対艦防御は成功率が高くなるはずです。

ただ、模擬弾の発射を確実に探知出来る実験での命中率なので、これが実践でどの程度維持出来るかは不明です。実戦での迎撃率が50%ならば、4発の対艦弾道弾で空母の飛行甲板は使用不可能になるでしょう。(ただ、対艦弾道弾の命中精度も100%では無いので・・・)

この様な攻撃手段が確立した現代でも、運用に兆円単位のコストが掛る空母機動部隊が配備されている所が現代の不思議でも有ります。現代の戦争は既に「フィクション」なのかも知れません。


注1) 
落下速度マッハ20のICBMの迎撃実験は一度も成功していません。弾道弾はチャフ(電場攪乱材)などを装備したり、ダミーを含めた多弾化で迎撃を無効化しているはずですから、その迎撃は限りなく不可能に近いのです。