■ トランプに期待するネトウヨ ■
アメリカの大統領選挙、「バイデン大統領(仮)」と報道されていますが、これを信じないのは陰謀論者とネトウヨ。
陰謀論者は頭のネジが緩んでいるので問題外(私か・・・)ですが、ネトウヨ論客も意外にトランプ信者が多い。ただ、陰謀論者とネトウヨでトランプに期待する事は大きく異なります。
陰謀論者は、「世界は裏の勢力に支配されており、トランプはそれと戦う正義の味方」と妄想しています。
一方、ネトウヨがトランプを支持する理由は「中国に対して強気」だから。これ安倍政権を支持した理由と同じ。要はネトウヨ諸氏の思考の原点は「嫌中、嫌韓、嫌北朝鮮」なんですよね。彼らは「日本よりも中韓が発展する事」が許せない。だから、中国の成長を止められるならば、トランプにだってスガル。彼らは、どんなに言葉を弄しようとも「レイシスト」である事に変わりはありません。
■ 陰謀を利用して資金集めに余念が無いトランプ ■
トランプは「選挙が盗まれた」と主張して、訴訟を多発していますが、根拠を示せない状況では訴訟に勝つ事は出来ません。ペンシルベニアなど僅差の州では、票の数え直しが実施されていますが、これは不正を暴く為というよも、票の数え間違いが選挙結果に影響を与える事を避ける為のもの。この数え直し作業で、トランプの票が大幅に伸び、バイデンの票が大幅に減らない限り、「選挙が盗まれた」と国民を説得するのは難しい。
トランプは選挙用のサイトで訴訟費用のカンパを募っていますが、少額のカンパはトランプ陣営や共和党の懐に入るらしい。ある一定額以上の寄付だけが訴訟費用になる。そうサイトに書いてあるそうです。(確認していませんが)
南部のレッドネックのオッサンが、5ドルをサイトでポチっとなしても、それは誰かのポケットに入ってしまう・・・。
敗北宣言を暫く先延ばしにして、選挙資金を回収している・・・そう考える事も可能です。これはバイデン陣営も同じかも知れません。
■ 盲目的に「正義」を求める人達 ■
トランプはトリックスターです。アメリカではオバマが大統領になった時に、彼こそ「正義」を実行してくれると期待が高まった。
「正しい事を言い、正しい行いをする」=「正義」だと信じた。
ところがオバマは「言葉だけ」の人で何らアメリカ社会は変わらなかった。いや、むしろ貧富の差はリーマンショック以降拡大した。
そこに登場したのがトランプで、彼は「既存の正義」を踏みつける事で「新な正義」の希望を人々に抱かせた。トランプは「巨悪と戦う」という陰謀論のステロタイプを利用して、ネットで陰謀論に親しんでいる、頭のネジの緩い人達を魅了してしまった。
オバマとトランプは180度キャラクターが異なりますが、二人を支持したアメリカ国民が求めたものは同じ「正義」なのです。
■ 最初からトランプの背後でキッシンジャーが見え隠れしていたよね ■
「トランプはアメリカの奥の院(ディープステイト)と戦っている」と多くの陰謀論者やネトウヨが妄信していますが、それでは、政権発足直前にトランプの背後でキッシンジャーがウロチョロしていたのは何か・・・。
キッシンジャーこそ陰謀論者が嫌う「奥の院」の頭脳的な人物なのに、陰謀論者の多くが何故かそこを無視しています。まあ、ロックフェラーの衰退を止める為にキッシンジャーがトランプに乗ったとも考えられますが・・・。
■ イスラエルと蜜月のトランプ ■
トランプはユダヤ教徒が被る黒い帽子を被り、嘆きの壁に訪問するなど、イスラエルとの関係は浅からぬ物があります。
陰謀論者の多くは、多くの陰謀の背後にイスラエルやユダヤ教徒が居ると妄想していますが、それらと良好な関係を結ぶトランプは「自分達の味方」だと信じて疑いません。彼らの中で、この問題がどう処理されているのか、私には不思議で仕方ありません。
■ トランプもバイデンもどっちもどっち ■
私にとってはトランプもバイデンも、目くそ鼻くそ、どっちもどっとの存在です。役者としての大統領の演じ方が違うだけ。両方とも等しく老人。
確かに政権交代で「利権」は大きく変わるので、影響を受ける人達は選挙に必死になりますが、もっと上のレベルでは、大きな軌道修正は無いハズです。ただ、政権交代が起きる方が、民主主義にリアリティーを付け加える事が出来ます。これは「民主主義の幻想」を保つ為に重要な事です。
■ 先ずは「民主主義」や「正義」から疑おうよ ■
大統領選という民主主義の根幹を成す行事に、アメリカでは「疑い」を持つ国民が増えていますが、彼らは民主主義自体を疑う事はしません。民主主義は「絶対正義」として彼らの中で揺らぐ事は無い。
しかし、対立する陣営が裏で手を結んでいたら、例えばアメリカの共和党と民主党が裏ではズブズブの関係だったら、民主主義は成立するのでようか?
日本でも55年体制は自民党と社会党のコラボレーションでした。社会党は自民党に敵対する様に見えながら、国民のガス抜きの役割を果たしていたというのは今では常識です。二大政党制のアメリカでは、もっと簡単にこの様なコラボレーションが実現します。(実際に外交評議会は共和党、民主党の議員の両方が参加し、アメリカ外交の骨子を決めています。)
「民主主義」や「正義」に人々は信頼を置いていますが、人々を支配しようとすれば、これらを利用するのが一番です。
■ 先ずは「疑う」事から始めよう ■
「新型コロナ」に限らず、新聞の一面に本当の事は貝てありません。人々に信じ込ませたい事が書いてあるだけ。
ネット情報も同じ様な仕掛けが有るハズです。陰謀論などはその最たるもの。ネットを鵜呑みにする人達は、「新聞には書かれていない事を知る事で優越感を得ます」。だから、彼らの信じたい情報を与えてあげれば、その真偽によらず、彼らはその情報を信じてしまう。
だから、正しいスタンスは「全てを疑う」という「ニヒリズム」です。
但し、「ニヒリズムと自分の距離」を常に自覚していないと、「どうせ選挙に行っても何も変わらない」「世界の経営者には逆らえない」という無力感に囚われる危険性が高い。
だから私は「熱いニヒリズム」、「行動するニヒリズム」を目指します。「期待しない事でニュートラルを保ちながらも、もう少し良くならないものか」と常に考える様に心掛けています。
「トランプは正義か」という問いに私は答えを保留します。だって「正義」という概念が胡散臭いから・・・。私的には「トランプは面白い」というスタンスで充分だと考えています。