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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

トランプってAIじゃないの・・・AIやBOTに支配される民主主義

2018-04-13 06:54:00 | 時事/金融危機
 

■ トランプってAIなんじゃねぇ? ■

アホみたいなTwitterをタレ流すトランプ大統領ですが、思いつきの様なその「つぶやき」に世界が翻弄されています。「シリアを攻撃しちゃうかもね・・・でもマダ決めてないよーー」みたおな事をTwitterで発表する大統領って・・・バカじゃね?

そうバカにしていたトランプ大統領の発信ですが、何となくこれってAIの思考パターンに似ている気がしてきました。

1)何か事件が起こる
2)ネットでは無責任で極端な賛成、反対、様々な意見が乱立
3)AIでネットの声を分析し、「国民の声」に集約する
4)「国民の声」に迎合する形でTwitterで発信する
5)Twitterの発信の反応を集計して、若干軌道修正した発信をする

民主主義は「国民の意見の集約を政策に反映させるシステム」と思い込まれていますが、歴史的に見れば「アジテーターが国民の意思を作り出すシステム」である事は明確です。

ヒットラーが良い例ですが、ドイツ国民は民主的な選挙によってナチス党を支持しますが、その原因はヒットラーの演説が民衆の心を捉えたから。日本の戦前の大政翼賛体制も、朝日を始めとする新聞の論調によって扇動された国民の望んだものでした。

この様に「民主主義=民衆の扇動」と捉えるならば、Twitterは現代尤も有用な扇動手段であり、「イイネ!」はリアルタイムで扇動の効果を集約する装置です。

これにAIを組み合わせて、国民の意見を扇動するTwitterで発信させたらどうなるか。AIが学習を続ければ最適のフィードバックを作る事も可能かも知れません。

■ トランプ政権のスポンサーは数学者でありAI研究者のロバート・マーサー ■

トランプ大統領は選挙戦でフェイスブックの情報を利用して、ターゲットを分類し、それぞれの
対処に最適な政策を打ち出していた事が明らかになっています。

トランプを大統領に担ぎ出したロバート・マーサーはヘッジファンド「ルネッサンス・テクノロジーズ」の共同CEOですが、彼は数学者であり、初期のAIの研究者だった。「ルネッサンス・テクノロジーズ」はAIを用いた投資で巨額の利益を上げるヘッジファンドとして知られています。

ロバート・マーサーは多額の選挙資金をトランプに提供し、同時に彼のコンサル会社「ケンブリッジ・アナリティカ」が、フェースブックの情報を活用した選挙戦を展開しました。

この選挙手法を政権運営に活用しない手は有りません。一見、支離滅裂に見えるトランプ発言ですが、AIが国民の意見を自動集約して、それに最適な回答をしていると妄想すると、合点がゆきます。

トランプの発言のどの部分に国民が興味や共感を示すかを分析すれば、「国民の歓心」を利用して世論を誘導する事が可能です。

■ AIやBOTに侵食されているネットの政治空間 ■

ドイツの研究者が日本のネット言論にBOTの活動している痕跡を見つけています。主にネトウヨ言論を煽る為に利用されている様で、「民進党は在日の政党」の様なヘイト発信や、「さすが安倍ちゃん、玉木涙目ww」みたいなTwitterをコピーして自動で垂れ流している様です。この研究者の分析によれば、85%のツイートが自動的にコピーされ複製された物の可能性が有るそうです。

ただ、これだけで世論を動かす事は不可能で、やはり人海戦術でネット空間に安倍ヨイショの書き込みをする人達を雇っている事も明らかになっています。(求人が堂々と載っているらしい)

安倍政権は「悲惨な状況」に陥っていますが、支持率の低下が少ない原因の一つに、ネットを使った歪んだ形での世論捜査が有る事は確かです。

ネットアクセスの少ない高齢者はこの影響を受けにくく、ネットアクセスの多い若者達は多かれ、少なかれ「ネット言論の勢い」の影響を受け易い。

ただ、同じ手法を野党陣営も導入する事は不可能では無く、実際にネットでは右と左の口汚い罵り合いで溢れかえっています。

■ 長い文章を読まない世代がターゲット ■

これらの「幼稚な世論操作」は主にTwitterなどを用いて展開されており、これらの情報に踊らされ易いのは「3行以上の文章を読めない人達」です。書き込みの内容では無く、インパクトやウィットに無条件に反応している人達です。

ただ、この様な「チョロイ国民」はネットの普及で増殖しており、トランプを大統領に選出したアメリカを始めとして、世界中で「分かり易い政治家」を国民が選ぶ傾向が強まっています。民主主義の複雑性よりも、独裁的な単純性を人々が好む時代になっているのです。

この傾向は日本では「ワン・ワード・ポリティクス」を活用した小泉政権から目立ち始めていますので、単純にネット社会の影響とだけは言えませんが、ネット社会がその傾向を助長している事は確かでしょう。

■ 知識層がネトウヨ的になる原因 ■

「いやいや、オレは3行以上の文章が読めるぞ」という安倍首相支持者は、今までの書き込みに納得しないでしょう。

確かに安倍政権は「メンドクサイ人達」にも人気が高い。その理由を挙げるならば次の様なものでしょう。

1) 安倍政権になってから景気は回復した
2) 異次元緩和は今の所、極端なインフレを起こす事も無く経済を下支えしている
3) 国会で安定多数を占める安倍政権の政策実行速度は速い
4) 憲法改正によって「普通の国」になる事に反対する左翼はバカだ

どれも否定は難しく、確かに安倍政権が支持される理由としては充分です。

■ 左巻き過ぎた世論の揺り戻し ■

一昔前には知識層は左翼的な思想を持つ人が多かった。社会や経済を合理的、或いは科学的に発展させると社会主義が最適で、人々に豊かさと平等をもたらすと信じていました。

ただ、旧共産圏の社会実験の失敗により、人々は社会主義の夢から目が覚めます。現在はその揺り戻しとして、日本の社会全体が保守化していますが、その空気にマッチしたのが安倍首相だったとも言えます。

これが積極的な支持かといえば、イマイチ違うでしょう。民主党を始めとする左派をバカにする事で安倍政権を持ち上げている様に見えます。

要は「安倍支持=個人の政治的優越感」なのです。

この「時代の空気」がネット空間で反復反射して増大している・・・それこそが「安倍政権支持
」という「時代の空気」なのでしょう。

この「空気」は厄介で、安倍政権が民主主義の根幹に関わる不正の数々を犯して国会で追及されてても、追及する野党をバカにする事に多くの人の意識が向かいます。

安倍首相の「適当にはぐらかす答弁」や、麻生財務大臣の「人をバカにした様な答弁」を「優位」と勘違いしてしまい、そちら側に自分達を置く事で安倍支持者達は政治的優越感を獲得します。

これらの「イカガワシイ答弁スタイル」は多分電通などのコンサル会社が研究の末に編み出したものと思われますが、優越意識の高いインテリには効果的に作用します。

私は今まで、知的レベルの比較的高い人達が安倍政権を支持する理由がイマイチ理解出来ませんでしたが、根底には韓国や中国をバカにして優越感に浸る気持ちと同種に優越感があると仮定すれば、むしろインテリ程、安倍政権を支持する現状も理解に難くない。

次世代のAIは、こういう人間臭い反応を抽出する様になり、国民はAIに簡単に騙される様になるでしょう。いえ、私達は現在において既にAIに「アナログハック」されているまも知れません。



注) 「アナログハック」・・人に似た形の者に人は騙され易い。広義には「人は見た目に左右される」事。長谷敏司著のSF小説『BEATLESS』に書かれている概念。

金利上昇の意味するもの・・・ソフトバンクを例に取れば

2018-04-12 03:06:00 | 時事/金融危機
 

■ ソフトバンクの社債の格付けはジャンク債 ■


ソフトバンクの昨年発行した個人向けの社債ですが、2025年償還予定で金利が2.03%。定期預金でもほとんど金利の付かない現在の日本では、とても魅力的です。

一方、ソフトバンクが海外で発行する社債の金利を見てみると、4%から6%の金利となります。これはソフトバンクの格付けが低いからです。S&Pの格付けはBB、Moody'sはBa1、これは共に「ジャンク債」の格付けです。

ソフトバンクの有利子負債は一説には15兆円にのぼるとも言われていますから、財務状況を見ればジャンク債の格付けは当然とも言えます。

しかし、日本では、個人向けのソフトバンクの社債が大人気で、発行すれば速攻で売り切れる。これ、劣後債ですから、仮にソフトバンクが経営破綻したら元金が戻って来ません。

■ 株高と低金利に支えられるソフトバンクの経営 ■

ソフトバンクの有利子負債が巨大でも、投資家達がソフトバンクに投資する理由に、ソフトバンクの資産が大きい事が挙げられます。特に、アリババ株の公開はソフトバンクに当時8兆円の恩恵をもたらしました。現在の世界的な株高は、「投資会社としてのソフトバンク」にとって有利な条件となっています。

一方で「ジャンク債を発行するソフトバンク」としては、世界的な低金利の影響で、ジャンク債市場の金利が低く抑えられておる状況は好都合です。

「株高と低金利」は世界的な金融緩和バブルの生み出した一種のバブルですから、この好環境はいつかは崩れます。その時にソフトバンクの財務状態がどうなるのか?

■ 個人向け社債の償還の1年延期を打診するソフトバンク ■

ネットの情報を見ていると、ソフトバンクが個人向け社債の償還の1年延期を個人投資家に打診している様でえ。過半数の社債保有者が合意すれば、多少の金利の上乗せがあって償還が1年延びるという提案の様です。

普通に考えれば、償還延期などせずに社債を再発行して資金調達すれば良いと思うのですが、将来的な金利上昇を見越しているのかも知れません。

■ 利益が金利負担で消えるソフトバンク ■

ソフトバンクの国内の携帯電話事業は順調の利益を上げていますが、米国のスプリントネクステルの業績はなかなか改善しません。Tモバイルとの合併交渉は再び破談となったので、しばらく業績が改善する要素が有りません。

ソフトバンクの経営は、国内携帯事業で上げた利益を、利息返済に充てる状況になっており、このバランスが崩れると一気に経営に黄色信号が灯ります。

■ 次世代への投資が利益を生む方が先か、経営環境が悪化する方が先か? ■

ソフトバンクの債務の多くは、「次世代への投資」によって生み出されています。先日もイギリスのIC回路の設計会社を買収していますが、インドなどへも積極的な投資をしています。

これらの投資が将来的にソフトバンクに利益をもたらす事は確かですが、問題は、それより先に低金利や株高という現在の環境がガラリと変わる事態が起こるかどうかです。

株式市場は明らかにピークアウトしています。何かを切っ掛けに大幅な下落がいつ始まってもおかしく無い状況です。

■ 日銀とGPIFが支える日本株 ■

日本の株式市場も下落基調が続いています。これは外国人投資家が売りに転じている為で、3月だけで4兆416億円上回る売り越しとなっています。年初からは9兆円も売り越しています。

この穴を埋めているのが日銀で、連日、大量の注文を出して株価を支えています。日銀はETF(上場投資信託)を買っていますから、これに含まれる企業で軒並み日銀が20%を超える株を保有する様な状況が生まれています。

日本株の投資では、昨年の時点でGPIFが36兆円、ブラックロックが17.6兆円、日銀が17.1兆円でしたが、今年になってブラックロックは売りに転じているハズですから、日銀は国内第二位の投資家となっています。

日銀のGPIFが居なければ、日本株はもっと値下がりしているハズ。

この様にソフトバンクの財務状態を支える株高も、非常に怪しい状況になっています。

■ 多くのソフトバンクが存在する世界 ■

ここまでソフトバンクを例に取って来ましたが、世界に目を転ずれば無数のソフトバンクが存在します。特にアメリカのIT系企業は似たりよったり。テスラモーターズなどもソックリでは無いでしょうか。

アメリカでは、金融緩和の影響で社債が安く発行出来たので、社債を発行して、その資金で自社株買いをして、株価を上げると同時に、配当などの実質的な金利負担を減らすスキームが流行っていました。これが株価上昇に一役買っていた。社債市場の金利上昇は、この様な好循環を終わらせますから、株価にマイナス要因となります。

フェースブックが大統領問題で株価を下げていますが、元々、アメリカのIT系企業は過大評価去れ過ぎています。ITバブルの時と同様に「妙な期待」が株かを吊り上げていた。


金利上昇は、これらの「妙な期待」を「リアル」に徐々に引き戻しつつあります。そして、どこかの時点で人々は我に返る。


その時に、ソフトバンクや、それに似た多くの企業がどうなるのか・・・・。




「安倍政権否定」の民主主義的な正当性を考察する

2018-04-10 10:19:00 | 時事/金融危機
 

 ■ 安倍政権は何を達成したのか? ■

気が早いですが、安倍政権を総括してみます。

1)政権奪還後は大型補正予算で景気浮揚策を講じる
2)アベノミクスを打ち上げて、デフレ脱却の空気を醸成する
3)日銀に異次元緩和というリフレ政策(隠れ円安制作と隠れ財政ファイナンス)を実行させる

2012年12月に第二次安倍内閣が発足して以降、世界的な「リーマンショックからの回復」と「ドル高の揺り戻しと異次元緩和による円安」によって政権発足直後は景気が上向きます。株価や不動産価格が回復した事で、「景気回復」というイメージを作る事に成功しています。

これにより安倍政権は国民の信頼を獲得し、「やり難い政策」を実行に移して行きます

4) TPPの交渉に積極的に参加する
5) 安保法案の成立
6) 集団的自衛権の閣議決定

これらの法案の可決の為に、自公の国会での安定多数を必要としたので、選挙のエサにも抜かりありません。

7) 消費税増税延期
8) 高等教育無償化案


「現在の日本は、民主党政権の時よりも景気が良い」というのが、安倍政権を支持する人達の本音ですが、ただ、リーマンショックと東日本大震災というダブルパンチを受けた民主党政権時代と比較する事は無意味です。


■ 安倍政権と民主党政権の違いは官僚機構の使い方 ■

私は安倍政権と民主党政権の大きな違いは「官僚機構の使い方」にあると思っています。

安倍政権同様に民主党政権は「政治主導」を目標に掲げ、事務次官会議を廃するなど、官僚機構を政治的に支配しようと試みます。しかし、内閣に権限を集中させたは良いが人材が不足し、一方官僚達が協力的で無かった為に民主党政権は機能不全に陥ってしまった。


これに対して安倍政権は内閣人事局を設置して、主要官僚600人の人事権を掌握する事で、官僚達への暗黙の圧力を強化する一方で、内閣に協力的な官僚を取り立てるというアメとムチの作戦を選んだ。官僚組織は上昇志向の強い人間の集まりですから、彼らはこの作戦に見事に乗せられてしまった。

官邸の意向に逆らえば出世出来ないが、上手く官邸と付き合えば出世も出来るし、省益も拡大する・・・これが安倍政権が官僚を掌握し手法です。


■ 官僚主導のオートパイロットが効力を失う時代 ■

従来、官僚機構は保守的で「前例踏襲」を好みました。事務次官など先輩官僚が実行した政策を否定しない人が出世し、意欲的な政策を提言する官僚は居場所を失い辞めるケースが多かった。官僚は各省庁の伝統と省益に仕えていたとも言えます。

これは高度成長期には問題が有りませんでしたが、成長力が停滞する時代には、「変革」の芽を摘んでしまうので、日本の成長をさらに鈍化させる一因になった。

一方、政治主導か有効に機能すれば、官僚機構は政治的決断の実行に能力を集中する事が出来るので、政策の決定と実行速度が高まる事が期待出来ます。


■ 諮問会議といいう無責任システム ■

安倍政権では官僚に政策立案の基本を委ねない代わりに「諮問会議」などが政治家にアドバイスするという「形」を利用します。


諮問会議は「民間議員」などと呼ばれる「業界の利権者」や、政権やアメリカに都合の良い事を主張する委員で構成される事が多く、国民の利益を公平に反映しているとは言えない会議です。

さらに委員は政治責任を問われる事も、政策実行責任を負う事も無い、実に無責任なシステムに政策立案の重要な部分を丸投げしてしまった。

その「無責任」な決定を元に、官僚が具体的な法案を作り、数の力で強引に国会で可決させる。スピーディーではあるけれど、極めて「ロビイスト」に有利なシステムが確立されたのです。

■ 政策立案能力では無く、実行能力が重視される官僚 ■

1) 政策立案の青写真を官邸内の一部の秘書官らが作る
2) それに適した人材で諮問会議を構成する
3) 諮問会議の答申に従って、官僚が法案を作成する
4) 自公の数の力で国会で法案を可決させる

このプロセスにおいて従来官僚が握っていた政策立案能力の必要性は薄れ、いかに政府の意向に沿った法案を作成するかが官僚の評価ポイントとなります。

■ 議会制民主主義の歪 ■

従来の日本の行政の実行者である官僚が法案を作成する事(官僚主導)は民主主義としては少しお変だだった。しかし、政治主導と言えども行政府である内閣が法案作成を行う事にも問題が有ります。

議会制民主主義の理想としては、国民の代表者たる議員が法案を提出して、国会でそれを議論し採決するという方法が正しい。議員は自分の支持者たちの利益を代弁して法案を作成しますが、議会の議席が拮抗していれば、反対意見も反映した形で法律は作成されます。

アメリカなどでも議員が有力なスタッフを揃え、議員立法の形で提出された法案を議会は審議します。

ところが、アメリカでは議会の議席が伯仲しているので、なかなか法案が通らない事が多い。すると、何故か大統領令が発令されて、行政が自ら法律紛いの物を作ってそれを遂行してしまいます。

アメリカでは三権分立が一応は機能しているので、司法が大統領令の停止を決めたりもしますが、オバマ政権も、トランプ政権の、大統領令を大量に発令して、行政を動かしていました。民主主義の国と思われるアメリカですら、実は民衆主義は有名無実化していますが、国民の選挙によって選ばれた大統領だから、国民はこれを強くは否定しません。

一方、日本は行政の長である内閣が法案を作成して国会がこれを審議する事が多い。これも一種の大統領令と考える事が出来ますが、国会の議席が伯仲していれば政府の暴走は防ぐ事が出来ます。

しかし現在の様に国会の議席で与党が安定多数を占めると、政府にブレーキを掛ける事は難しい。これは一種の「独裁」なのですが、アメリカ人も日本人もこれに気付かず、自分達の国の民主主義が機能していると根拠無く信じています。


■ 政権の長期化で安倍一極体制は「独裁化」した ■

この様に「政治主導」は、ある「種の独裁体制」を作り出しますが、日本においても、アメリカにおいても政権政党内の力の均衡がこれを防いでいました。

アメリカの共和党議員の中には「反トランプ」が沢山居ますから、トランプ政権の法案に議会で反対を投じる共和党議員も居ます。これが独走しがちなトランプ政権のブレーキになっている。

一方、日本は小選挙区制によって自民党議員は自民党執行部の方針に逆らえなくなっています。安倍政権が提出した法案に反対して議場を去て反対の姿勢を示したのは、村上誠一郎議員ぐらいでは無いか?

この様に安部政権は国民の高い支持率を背景に、党内の影響力も極めて高いので、「安倍一極」、あるいは「安倍独裁」という体制を作り出してしまった。

■ 長期政権に従う事が官僚の合理的決断となる ■

今回の森友事件、加計事件は、「政治が誰かの利益を代弁するもの」である限り、珍しい事件ではありません。国有地を巡る不可解な取引は安倍政権に始まった事ではありません。

問題は政権が長期化すると、歪が拡大して国家に不利益が生ずる可能性がある点にあります。

例えば安倍総裁の3選が確実になれば、官僚達の上層部は安倍派一色になります。いえ、実際にそうなっているのでしょう。すると政権に不利益になる情報は官邸に上がって来なくなりますし、役人達は忖度の度合いを深めて出世しようと必死になります。


こうして起こるべくして起きたのが、森友問題であり、加計問題であり、スーパーコンピューター問題であり、財務省の決済書類改竄問題であり、自衛隊の日報隠し問題なのです。


■ 一番の問題は自衛隊の日報隠し問題 ■

実は様々な問題の中で最も重大なのは自衛隊の日報隠し問題です。

他の問題は、チンケな政治家が利権漁りに精を出した結果や、首相の威光を借りた詐欺師たちの小遣い稼ぎに過ぎません。バレたら国民が政治家を支持率によって罰すれば良い。

しかし、自衛隊の日報隠しは日本の将来に影響を与えかねない。

何故自衛隊が日報を隠す必要があったのか・・・。それは「安全地帯」でPKO活動をするはずの自衛隊が「戦闘地域」で活動していた事がバレたら拙いから。

実際に自衛隊のサマワの駐屯地には迫撃砲が撃ち込まれていますし、南スーダンのPKO部隊は十分に戦闘に巻き込まれる可能性があった。この時に自衛隊が応戦すれば、自衛隊員にも死者が出るでしょうし、敵にも死者が出る可能性があった。

一部では、日報を隠したのは、自衛隊員の戦闘による死者を事故死や自殺と偽っていたからだという憶測まで出ていますが、日報を隠すという行為は、この様な憶測を生んでも仕方の無い行為です。


仮に、イラクやサマワで日本人の自衛官に戦死者が出ていたならば、憲法改正の議論や集団的自衛権の議論に大きなマイナス要因になります。


ネトウヨや「日本がまともな国家になる為に憲法改正あが必要」と考える保守の一部の方は、「隠蔽してでも憲法改正を実現すべし」と考えるかも知れませんが、これでは「まともな国家」の前に「まともな民主主義国家」である事が出来なくなってしまいます。

■ 民主主義という宗教を守る為には・・・ ■

民主主義は一種の宗教ですから、教義の綻びは許されないと考える人は多い。

憲法という特殊な教義を頑なに守る事で自分の信仰を貫こうというのお花畑左翼ならば、教義に不都合な真実は隠しても理想を実現すべきと考えるのがネトウヨなのでしょう。どちらも狂信的で狂っています。

まともな人は・・・民主主義も政治家も憲法も世界も信用しない・・・。ただ、事実を知る事を求めるるのみ。その上で、民主主義の構成員の一員として一票を投じる。だから、「隠蔽」に対しては徹底的に厳しくあらねばならないのだと私は考えます。



尤も、宗教が生きる苦痛を誤魔化す為に存在する様に、民主主義も経済的奴隷制度を誤魔化す為に存在します。まあ、「民主主義の正義」の確保など、救われるのなら正しく救われたいという気分の問題に過ぎないのかも知れませんが・・・

さらば、安倍政権・・・総辞職は時間の問題?

2018-04-10 08:06:00 | 時事/金融危機
 

■ ゴールデンウィーク明けに内閣総辞職? ■

週刊実話の「ゴールデンウィーク明けに内閣総辞職?」という記事がネットに出回っています。全くの憶測記事ですが、額賀派(新竹下派)も、二階派も安倍政権という「ドロ舟」に見切りを付けるタイミングを計っている事は確か。

安倍政権の支持率は昨年衆議院を解散した時期と同等まで低下していますが、次々に明るみに出るア財務省や自衛隊の資料隠蔽の原因が安倍政権であると多くの国民が考えています。

自民党や安倍政権は責任を官僚に押し付けて逃げる作戦ですが、国民はこれを良しとしません。事件の真相が解明されなくとも、少なくとも安倍首相の辞任、或いは内閣総辞職で政治的責任を取るべきだと考える人は日増しに増えています。

経団連など安倍政権の政治力に期待していた人達も、そろそろ見切りを付け始めています。彼らにとって重要な働き方改革などの法案がこのままで廃案になる可能性が高いからです。

自民党各派閥もバカではありませんから、参議院選挙や統一地方選挙で大敗するよりは安倍内閣総辞職を迫るでしょう。問題は安倍後に自分の派閥の影響力をどれだけ残せるかという点に移っています。

目下の所、二階派と額賀派(新竹下派)の悩みは、次期総裁として岸田氏を担ぐのか、或いは石破氏を担ぐかの点に絞られているでしょう。岸田氏を擁立した方が影響力を発揮出来ますが、岸田氏の人気は党内も国民にも高くは無い。「政権禅譲」を前提に安倍氏と微妙な距離を保っていいた岸田氏では国民は納得しない。

一方、石破氏は安倍政権と距離を取っていましたから、自民党が「出直す意思」を国民に示すには石破氏の方が適任ですが、岸田氏程は言うなりにはならない。

そうなると、麻生氏がどちらに着くのかを見極めて「勝ち馬に乗る」というのが二階派と額賀派の唯一の消極的な選択肢となるはずです。

麻生氏は財務省の文書改竄問題で矢面に立たされて相当にストレスが溜まっているハズです。「昭恵の問題で何故自分が攻められるのか?」と怒り心頭なハズ。ここで安倍首相が麻生氏に財務大臣辞任を促したら、麻生氏は一気に反安倍に動き出します。沈み行く内閣と運命を共にする理由が無くなりますから。

国会での野党に追及具合と、マスコミのリーク合戦の状況にも依りますが、ゴールデンウィーク前には安倍政権は身動き出来なくなり、連休明けに総辞職・・・という憶測が飛び交うのも納得できる状況です。



2018冬アニメ・ベスト(夫編)

2018-04-09 05:14:00 | アニメ
 
月曜日の朝にこのブログをチェックする方の85%が「ゲ!又アニメかよ」と思わず呟くでしょうが、もう一回お付き合い下さい。

昨日は「家内」のベストをお送りしましたが、本日は「私」のベスト。

それでは、ベストの発表です。


第一位 『宇宙よりも遠い場所』



『宇宙よりも遠い場所』より

昨年の『月がきれい』と並ぶ名作だと確信しています。もう今期の他の作品は足元にも及ばない。淡々としたペースで始まった1話のラスト、上のシーンで物語が大きく動き出しますが、とにかく演出の緩急が素晴らしい。

「いしづかあつこ」監督のセンスと力量なのですが、風景の説得力が並みで無い。その彼女本来の「絵作りの上手さ」が南極の風景にベストマッチだった。人物の描写に関しては、脚本の花田氏を褒めるべきでしょう。とにかくキャラクターに一貫性が有ってブレ無い。細かなギャグも秀逸でした、この二人の相性って結構良いみたいですね。

何だか最近のアニメーションは「異世界物」ばかりになってしまい、いしづか+花田コンビも前作は『ノーゲーム・ノーライフ』と異世界物でしたが、いしづか監督の才能の多くは異世界の構築に振られていた感じがします。ただ、ハッっとするシーンは1話目の異世界への降下シーンしか無かった。

無限の想像力によって生み出される異世界よりも、現実の南極の風景の方がインパクトと広がりを持っていた・・・。それを見事に証明した作品では無いでしょうか。実写で南極ロケは予算や安全の関係で困難を極めますが、アニメでもここまで出来る。いえ、むしろロケの期間の制約が無いから、一番素晴らしい風景や瞬間を詰め込む事が出来る。さらには、設定さえしっかりしていれば女子高生を南極の大地に立たせる事だって出来る。そういったアニメの優位性を最大限に活用した作品だったと思います。

このアニメを観て恐怖しない実写畑の方は二流でしょう。

ちなみにgoogle earth で昭和基地を探検出来ました。皆さんも是非!!


第二位 『キリングバイツ』


『キリングバイツ』より

永井豪で育った私としては燃えました!!いえ、石川賢の『魔獣戦線』の現代版と言った方が良いでしょか?

この作品の勝因は「ラーテル」というマイナーな動物を主人公に選んだ事でしょう。この、余り知られていない動物の習性を最大限に拡張する事で、この作品はとてつもない「驚き」を作り出しています。本来は「こんなのチートじゃん」という展開になるのに、「ラーテル、その背中の皮膚は極めて硬く厚く、ライオンの牙だとてこれを通す事は不可能!!」って感じのナレーションが入って、「ウワァー!!ラーテル、マジ最強!!」って納得させらてしまう。

この手法は『テラフォーマーズ』と同じですが、テラフォーマーズの登場動物の特殊技能は1つか2つだったのに対して、『キリングバイツ』は特殊技能では無く「生態」とか「特徴」を上手くバトルの中に取り込んでいたのが勝因では無いか。例えば怪我を負って負けそうになっても「ラーテル、その闘争心は極めて強く、内蔵が飛び出していても死ぬまで敵に向かってゆく」とやられると、「ラーテルさん、マジ、パナイっす!!」と感心してしまう。

この作品の素晴らしい点は30分間の密度。アバンでさらりと先週の復習を終えたら、「チャラ・チャン・チャン・チャチャ・・・」とOPが入って、気分がアゲアゲになり、テンポ良く話が進んで、「アー今週も面白かったな」と思う頃に、なんと前半終了のジングルが「ジャーン・ジャン・ジャン、チャラララン」って入る。「えーーー未だ半分なの!!」とビックリして後半に突入し、パーフェクトな引きでEDに突入。女性キャラ達のボンテージファッションを堪能しながら「ケダモノだーもーのーーー」と一緒に歌い終わると、「導け、オシエちゃん」という本編?が始まる。そしてお約束の「だが、オシエちゃんは獣人でも何でも無い!!」のナレーションで終わる。

「もう30分でどんだけ楽しませるんだよ!!」と思わずツッコミを入れたくなる「お得感」が最高の作品。もう、エンタメ作品の極み。『ブレードランナ2049』はこの作品を観て出直すしかない。


第三位 『BEATLESS』


『BEATLESS』より

はきり言ってアニメの出来は極めて悪い。実は原作も読んでいる最中ですが、ほとんど原作通りストーリーと会話でアニメも進行しているのに全く別の作品に感じられます。

これ、SF作品がいかに細か描写に依存しているかという点が良く分かる例だと言えます。100年後の未来の街並みや、社会や人々の持つ雰囲気を、いかに現代と違って描写するか・・・ここを上手くやらないとSF的世界観の構築に失敗し、その中で展開するストーリーに説得力を持たせる事が難しくなります。

ただ、普通のアニメ制作会社が掛けられるコストでは、『インフィニット・ストラトス』程度の中途半端な未来描写になってしまい、真面目な作品だとチープさばかりが目立ってしまいます。そこでディオメディアは100年後の風景を現代と余り替えない事で、100年後の世界が現代延長線上にあるという選択をしました。これ自体は間違えでは有りませんが、やはりSF的小道具が揃っていないと、レイシア級の様な「超科学」が作品の中で浮いてしまいます。

キャラクターのデザインにしても原作小説のredjuiceの硬質なイラストが、アニメになると『アイカツ』みたいなチープな絵柄になってしまい、緊張感を生み出す事が不可能になっています。せめて『イヴの時間』程度の作画クオチティーが確保出来ていれば、この作品は、久々のハードSFの傑作として、若者達の指示を集めたと思うと勿体ない。


但し、今の時代に小さな事務所がSF作品に正面から挑み、それも2期連続という枠にチャレンジする心意気にはスタンディング・オペレーションを贈りたい。

「アナログハック」という面白い概念を提唱した原作の存在を知らしめただけでも、この作品には価値が有るかと思います。絵柄のチープさと演出のチープな部分を無視して鑑賞すれば、この作品はかなり面白いのですが・・・これにはアニメに長年親しんだ「無視する」という上級スキルが要求されますから、今時の作画厨の様な若造がこの作品を認める事には無理があるでしょう。


第四位 『ヴァイオレットエヴァーガーデン』


『ヴァイオレットエヴァーガーデン』

よたろうさんご指摘の通り、戦場でのエピソードが薄っぺらく作品から浮いてしまって残念。ここら辺がラノベを原作とする限界かと。

ドールになって以降のエピソードは毎話素晴らしく、特に昨日も書いた様に往復書簡の5話と、脚本家の口述筆記の7話、そして死にゆく母が娘に残した50年分の手紙の10話はの各話は極上の仕上がり。

京アニの作画力が如何無く発揮されているのは、上で画像を引用した7話のラスト、ヴァイオレットが傘をさして池を渡るシーン。アニメーションの絵が動く魅力が戦闘シーン以外で発揮される事は少ないのですが、ジブリとは別のアプローチでその可能性を拡大しています。

一方で山田尚子が絵コンテを切っている5話では、細かなモンタージュなど静的な描写の極致を見せており、やはり京アニの作画センスは素晴らしいものが有ります。

新作の製作発表があったので、楽しみです。


第五位 『刻刻』



『刻刻』原作 表紙



『刻刻』 ED



『刻刻』 第一話 エンドカード

時間の止まった世界「死界」での、ある家族と謎の教団を巡る戦いを描く作品。シンプルな発想を元に、ディテールの積み上げで物語はここまで面白くなるという典型。原作が素晴らしいのでしょうが、アニメも良く出来ていました。

原作の絵、アニメのキャラクター設定をした梅津氏の手になるEDの絵、そして第一話のエンドカードのオノ・ナツメの絵と並べてみましたが、それぞれ全く別のタッチのアニメ作品が出来上がりそうです。それだけアニメにおけるキャラクターの絵柄は重要な役割を担っているのでしょう。

実はこのアニメ、最重要人物は下の二人。




『刻刻』より

敵教団の雇われヤクザの迫、彼は単なるチンピラですが、小物故に状況を冷静に判断する能力に長けています。そして小物故に追い詰められた人の気持ちが理解できる。実はこの作品で一番追い詰められているのは家族の死界からの奪還を願う間島 翔子。彼女は教団の悪意をも利用して家族を救おうとしていますが、それが善では無い事も理解しています。佑河家の命の犠牲の上の自分の家族が救われるという究極の選択をしている彼女が最初から一番崖っぷちに居る。その彼女をそれとなく気遣う迫君は実ばナイーヴ。

そして、この作品の不可欠な存在は佑河家の父さん。この超利己的なキャラクターは、物語にギャグ要素をもたらすと同時に、人格的には佐川よりも狂っている。ところがその狂気に本人は無自覚で、普通の生活をしている分には周囲も気づく事はありません。「超自己中」という性格は実は現実の世界のモンスターとして増殖していると考えると背中が寒くなる。

この二人の存在が、『刻刻』という作品にある種の深みやリアリティーを与えています。サブキャラがしっかり描けている作品は素晴らしい。


第六位  『だがしかし 2』


『だがしかし 2』より

原作を褒めるべきなのでしょうが・・・「なんだんだろう、このハジメちゃんの白ワイシャツの破壊力は・・・」。

ホタルちゃん、サヤちゃんと女性キャラの魅力が際立っていた作品ですが、「スキの多いダメ美人」という、今までのマンガで出会った事の無い魅力を提唱しています。

とにかく基本スキルが高いのにダメ人間でスキだらけ・・・というハジメちゃんの魅力は、ホタルちゃんやサヤちゃんに全く引けを取っていません。

ホームページを立ち上げる回や、スーパーボールの回なんて、もう捧腹絶倒。

15分に短縮された二期ですが、時間の短さを意識させない魅力に溢れています。


第七位 『恋は雨上がりのように』


映画『恋は雨上がりのように』より

5位までの作品は、30分(15分)という時間の密度が素晴らしい作品ばかりですが、『恋雨』は密度のスカスカ感がハンパ無い作品。これはこれでアリなのでしょう。間延びした感じはしないのですが・・・スカスカ。

実写向けの作品だと思っていたら、実写映画が5月の公開ですね。「実写化するなら店長は大泉洋しか居ないよね」と家内と話していた通りになりました。

作中の店長も大泉洋も45歳だそうです。

主演の女優の選定が難しいだろうなと思っていたら『溺れるナイフ』の小松菜奈・・・これはグッドチョイスですね。キャンちゃんは清野菜名、カロリーメイトのコマーシャルの子ですよね。走るシーンが多いから身体能力の高さが決めてでしょうか。




以上、2018冬アニメの私的ベストをお送りしました。南極で始まり、南極で終わった・・・これに尽きます。