■ トランプってAIなんじゃねぇ? ■
アホみたいなTwitterをタレ流すトランプ大統領ですが、思いつきの様なその「つぶやき」に世界が翻弄されています。「シリアを攻撃しちゃうかもね・・・でもマダ決めてないよーー」みたおな事をTwitterで発表する大統領って・・・バカじゃね?
そうバカにしていたトランプ大統領の発信ですが、何となくこれってAIの思考パターンに似ている気がしてきました。
1)何か事件が起こる
2)ネットでは無責任で極端な賛成、反対、様々な意見が乱立
3)AIでネットの声を分析し、「国民の声」に集約する
4)「国民の声」に迎合する形でTwitterで発信する
5)Twitterの発信の反応を集計して、若干軌道修正した発信をする
民主主義は「国民の意見の集約を政策に反映させるシステム」と思い込まれていますが、歴史的に見れば「アジテーターが国民の意思を作り出すシステム」である事は明確です。
ヒットラーが良い例ですが、ドイツ国民は民主的な選挙によってナチス党を支持しますが、その原因はヒットラーの演説が民衆の心を捉えたから。日本の戦前の大政翼賛体制も、朝日を始めとする新聞の論調によって扇動された国民の望んだものでした。
この様に「民主主義=民衆の扇動」と捉えるならば、Twitterは現代尤も有用な扇動手段であり、「イイネ!」はリアルタイムで扇動の効果を集約する装置です。
これにAIを組み合わせて、国民の意見を扇動するTwitterで発信させたらどうなるか。AIが学習を続ければ最適のフィードバックを作る事も可能かも知れません。
■ トランプ政権のスポンサーは数学者でありAI研究者のロバート・マーサー ■
トランプ大統領は選挙戦でフェイスブックの情報を利用して、ターゲットを分類し、それぞれの
対処に最適な政策を打ち出していた事が明らかになっています。
トランプを大統領に担ぎ出したロバート・マーサーはヘッジファンド「ルネッサンス・テクノロジーズ」の共同CEOですが、彼は数学者であり、初期のAIの研究者だった。「ルネッサンス・テクノロジーズ」はAIを用いた投資で巨額の利益を上げるヘッジファンドとして知られています。
ロバート・マーサーは多額の選挙資金をトランプに提供し、同時に彼のコンサル会社「ケンブリッジ・アナリティカ」が、フェースブックの情報を活用した選挙戦を展開しました。
この選挙手法を政権運営に活用しない手は有りません。一見、支離滅裂に見えるトランプ発言ですが、AIが国民の意見を自動集約して、それに最適な回答をしていると妄想すると、合点がゆきます。
トランプの発言のどの部分に国民が興味や共感を示すかを分析すれば、「国民の歓心」を利用して世論を誘導する事が可能です。
■ AIやBOTに侵食されているネットの政治空間 ■
ドイツの研究者が日本のネット言論にBOTの活動している痕跡を見つけています。主にネトウヨ言論を煽る為に利用されている様で、「民進党は在日の政党」の様なヘイト発信や、「さすが安倍ちゃん、玉木涙目ww」みたいなTwitterをコピーして自動で垂れ流している様です。この研究者の分析によれば、85%のツイートが自動的にコピーされ複製された物の可能性が有るそうです。
ただ、これだけで世論を動かす事は不可能で、やはり人海戦術でネット空間に安倍ヨイショの書き込みをする人達を雇っている事も明らかになっています。(求人が堂々と載っているらしい)
安倍政権は「悲惨な状況」に陥っていますが、支持率の低下が少ない原因の一つに、ネットを使った歪んだ形での世論捜査が有る事は確かです。
ネットアクセスの少ない高齢者はこの影響を受けにくく、ネットアクセスの多い若者達は多かれ、少なかれ「ネット言論の勢い」の影響を受け易い。
ただ、同じ手法を野党陣営も導入する事は不可能では無く、実際にネットでは右と左の口汚い罵り合いで溢れかえっています。
■ 長い文章を読まない世代がターゲット ■
これらの「幼稚な世論操作」は主にTwitterなどを用いて展開されており、これらの情報に踊らされ易いのは「3行以上の文章を読めない人達」です。書き込みの内容では無く、インパクトやウィットに無条件に反応している人達です。
ただ、この様な「チョロイ国民」はネットの普及で増殖しており、トランプを大統領に選出したアメリカを始めとして、世界中で「分かり易い政治家」を国民が選ぶ傾向が強まっています。民主主義の複雑性よりも、独裁的な単純性を人々が好む時代になっているのです。
この傾向は日本では「ワン・ワード・ポリティクス」を活用した小泉政権から目立ち始めていますので、単純にネット社会の影響とだけは言えませんが、ネット社会がその傾向を助長している事は確かでしょう。
■ 知識層がネトウヨ的になる原因 ■
「いやいや、オレは3行以上の文章が読めるぞ」という安倍首相支持者は、今までの書き込みに納得しないでしょう。
確かに安倍政権は「メンドクサイ人達」にも人気が高い。その理由を挙げるならば次の様なものでしょう。
1) 安倍政権になってから景気は回復した
2) 異次元緩和は今の所、極端なインフレを起こす事も無く経済を下支えしている
3) 国会で安定多数を占める安倍政権の政策実行速度は速い
4) 憲法改正によって「普通の国」になる事に反対する左翼はバカだ
どれも否定は難しく、確かに安倍政権が支持される理由としては充分です。
■ 左巻き過ぎた世論の揺り戻し ■
一昔前には知識層は左翼的な思想を持つ人が多かった。社会や経済を合理的、或いは科学的に発展させると社会主義が最適で、人々に豊かさと平等をもたらすと信じていました。
ただ、旧共産圏の社会実験の失敗により、人々は社会主義の夢から目が覚めます。現在はその揺り戻しとして、日本の社会全体が保守化していますが、その空気にマッチしたのが安倍首相だったとも言えます。
これが積極的な支持かといえば、イマイチ違うでしょう。民主党を始めとする左派をバカにする事で安倍政権を持ち上げている様に見えます。
要は「安倍支持=個人の政治的優越感」なのです。
この「時代の空気」がネット空間で反復反射して増大している・・・それこそが「安倍政権支持
」という「時代の空気」なのでしょう。
この「空気」は厄介で、安倍政権が民主主義の根幹に関わる不正の数々を犯して国会で追及されてても、追及する野党をバカにする事に多くの人の意識が向かいます。
安倍首相の「適当にはぐらかす答弁」や、麻生財務大臣の「人をバカにした様な答弁」を「優位」と勘違いしてしまい、そちら側に自分達を置く事で安倍支持者達は政治的優越感を獲得します。
これらの「イカガワシイ答弁スタイル」は多分電通などのコンサル会社が研究の末に編み出したものと思われますが、優越意識の高いインテリには効果的に作用します。
私は今まで、知的レベルの比較的高い人達が安倍政権を支持する理由がイマイチ理解出来ませんでしたが、根底には韓国や中国をバカにして優越感に浸る気持ちと同種に優越感があると仮定すれば、むしろインテリ程、安倍政権を支持する現状も理解に難くない。
次世代のAIは、こういう人間臭い反応を抽出する様になり、国民はAIに簡単に騙される様になるでしょう。いえ、私達は現在において既にAIに「アナログハック」されているまも知れません。
注) 「アナログハック」・・人に似た形の者に人は騙され易い。広義には「人は見た目に左右される」事。長谷敏司著のSF小説『BEATLESS』に書かれている概念。