前作と同じようにタイトルは『僕等がいた』とだけ出る。後編という文字は一切出ない。そのこだわりは三木孝浩が、この作品を前後編とは、位置付けしていない、ということの証明となる。では2本で1本なのか、というと、それも違う。これは2つの『僕等がいた』という映画なのである。4時間の大作映画を2回に分けて公開する、という形を踏んではいるのだが、それは興行上の問題であって、作家である三木孝浩は、自分の美意識で . . . 本文を読む
大島真寿美の『かなしみの場所』『虹色天気雨』を読んだ。どちらもタイトルがとてもいいので読むことにした。というより先日、大島真寿美の新作『ピエタ』を読んで、今まで読んでいなかった彼女の旧作を遡ることにしたからだ。『虹色天気雨』はまるで柴崎友香の小説を読んでいるような気分。おしゃべりを中心にした日常生活のスケッチである。柴崎友香はいつもこんな感じでまるで話らしい話しもなくだらだら流れていくのだが、大 . . . 本文を読む
今年も唐十郎の新作が見られる。ただそれだけでうれしい。精華小学校から場所を大阪城公園、太陽の広場に移しても、当然のことだが、いつもながらの唐ワールドである。
2幕構成、途中に15分の休憩が入る。上演時間は休憩を入れても1時間40分ほどだ。この短さが今ではお約束になっている。最初の頃はこの尺になじめなかった。この長さでは、充分なお話なんか展開はできない。あまりに尺が短か過ぎるからだ。でも、今で . . . 本文を読む