14歳から20歳までの大切な時間、その想い出のひとつひとつがここにはしっかりつまっている。これは彼女の大切な想い出を描く小説だ。それがファンタジーの意匠を纏って描かれていく。想い出を預かる魔法使いとの物語だ。だが、彼女は預けない。魔法使いと少女の6年間の物語のひとつひとつは、大切な想い出となって彼女の心の中に残っていく。
誰だって忘れてしまいたいような嫌な想い出や、実際に忘れてしまうような想 . . . 本文を読む
この映画の原作が出た時、すぐに読んだのだが(芥川賞受賞作品だ!)あまり好きにはなれなかった。だからこれを蜷川幸雄が映画化すると聞いても、まるで食指をそそられなかった。大体、蜷川映画はつまらない。(『魔性の夏』は好きだったけど)彼は、芝居と映画とではまるで別人になる。演劇では出来ないことを映画に求めるのかもしれないが、普通の人なら、映画はスケールの大きなものを求めるものなのに、スケールの大きな演劇 . . . 本文を読む
19歳で作家デビューした雪村は、自分が、女であることに違和感を抱いている。性同一性障害ではない。女であることは受け入れるし、見た目は普通に女の子だ。でも、作家としての自分は男であることを望む。ただ、男のフリして書く、というのではない。男の部分をプロデユースする。自分の中に男がある、と思う。
普通に女性として生活してきた。特別違和感があったわけではない。自分が美人ではないことにコンプレックスを . . . 本文を読む