食を巡る小文集なのだが、これは川本さんの亡き妻への追想文集でもある。彼女のことを綴った『いまも、君を想う』の続編であり姉妹編にもなっている。「食を語ることで、そこにひそかに亡き妻を、昔のことを、記憶にとどめたい」というようなことが帯に書かれてあった。
奥さんを亡くして、ひとりぼっちになった川本さんが、食をテーマにして、日々の生活の中で感じたことを書きとめながら、そこにどうしても妻の思い出を重 . . . 本文を読む
5つのキスを巡る短編集なのだが、ほんの一瞬の心の動き(キス)にむけて、研ぎ澄まされた筆致で、彼女たちの心情が描きこまれていく。一見すると、たわいもない話なのに、読んでいてかなりドキドキさせられる。そしてそれがとても大切なことだと気付かされる。
恋愛小説を読んで心動かされるのは、彼なり、彼女なりの心情がとてもリアルに迫ってきて、そのシチュエーションでどうするのか、と身を乗り出してしまうような瞬 . . . 本文を読む
この小さな映画は、とてもかわいい。75分という上映時間も凄い。劇場用映画としては破格だろう。最近の台湾映画はこういう映画が人気なのか。小さければ小さいほどいい。ささやかであれば、ささやかであるほど、いい。そんな映画だ。2010年9月に台湾で公開されたリン・シャオチュン監督のデビュー作。
パステルカラーの青春映画。おとなしい女の子が、友だちと2人で、捨て猫を見つけるシーンから始まる。その猫を飼 . . . 本文を読む
小林政広監督がこんな恋愛映画を撮るなんて、どういう心境の変化なのか。頼まれたから仕方なく撮ったのか。しかも、低予算でとても安易に作られてある。ロベール・ブレッソンの同名傑作映画を視野に入れているのは、当然の話だろうが、ここまで素人映画のように下手に作ったのはなぜか。
しかも、それでおもしろければそれだけでいいのだが、まるでつまらないから、どうしたらいいか、と思う。途中で見るのをやめようか、と . . . 本文を読む