習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『蛇にピアス』ほか

2012-05-09 22:38:26 | 映画
この映画の原作が出た時、すぐに読んだのだが(芥川賞受賞作品だ!)あまり好きにはなれなかった。だからこれを蜷川幸雄が映画化すると聞いても、まるで食指をそそられなかった。大体、蜷川映画はつまらない。(『魔性の夏』は好きだったけど)彼は、芝居と映画とではまるで別人になる。演劇では出来ないことを映画に求めるのかもしれないが、普通の人なら、映画はスケールの大きなものを求めるものなのに、スケールの大きな演劇ばかりを作っているからその反動かもしれないが、彼の映画はとてもミニマムなものばかりだ。そのくせ、繊細ではない。

 題材をまるで生かせない場合が多い。今回だってこの小説を通して何を描きたかったのやら、まるで見えてこないのだ。主人公の3人がまるで魅力的ではない。吉高由里子なんて、ばんばん裸で頑張るのだが、意味がない。主人公である彼女の中にある破滅願望のようなものって何なのか。それって原作を読んだ時も、よくわからなかったが、これみよがしのこの映画は、もっとわけがわからない。スプリットタンとか、タトゥーとか、ピアスとか、体を傷つける行為に何を感じたのか。そこが描けないのなら、こんなのはつまらないエロ映画でしかない。

 我が家が「ひかりTV」を導入したので、3000本の映画が見放題になった。リストを貰ってチェックすると、結構いろんなものがあり、うれしかったが、1週間で飽きた。(GW中、家に帰ってから、毎日1本ずつ見た!)だいたい3000本のうち、めぼしいものはもう既に全部見ているから、見てない映画から選ぶと、どれもつまらないものばかりになる。結局ツタヤで新作を借りるほうがいい、ということとなる。意味がなかった。

 いつでも家で映画が見れるというのは、別に魅力的な話ではないことがわかる。もちろんこの『蛇にピアス』もそんなふうにして見た1本だ。ずっと見たくて見れていなかった『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』も初めて見たが、キャラクター造形が面白いだけで、映画としてはどうってことはない。三池崇史の幻の作品『フルメタル極道』も、12年前ならいざ知らず、今さら見ても、くだらないだけ。同じく三池の『ウルトラマン・マックス』の作品も見たけど、なるほど、って感じ。(金子修介の作品も見た)

 これまで見なかった映画は、結局それだけのものでしかないということなのか。他にも何本か見ているのだが、もうここでは取り上げない。


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