塚本晋也監督の最新作が大岡昇平原作『野火』だなんて、本気か、と最初は驚いた。こういう文芸映画に彼が挑むのはなぜだ、と。これは明らか今までの作品とは一線を画する、ように思えた。しかし、実際に映画を見ればそうじゃないことは明白だ。これはやはり、正真正銘塚本映画だ。残酷で、怖い。戦争がそういうものであることなんて、わかりきったことではないか、と思う。なのに、そうは思いもせずに、この映画を「文芸映画」な . . . 本文を読む
昨年の僕のベストワン映画『光にふれる』の監督チャン・ロンジーの新作である。今回彼は高校生たちの青春映画に挑んだ。しかし、日本のマンガ原作による安直な映画化作品のようなものとは一線を(なんなら二線も)踏み超える作品だ。『あの頃君を追いかけた』のようなパステルカラーの青春映画でもない。どちらかというと、エドワード・ヤン(・ドウチャン)の『クーリンチェ少年殺人事件』に近い。これは重くて暗い映画になる資 . . . 本文を読む
あと2本、HPF作品を見ることが叶った。これで今年は6本となった。例年並くらいの作品を見ることができてよかったと思う。いくらなんでも4本というのは寂しすぎる。昔はずっとほぼ全作品を見ていたのにシステムが変わって、講評委員は見れるだけでよい(以前は3人ですべて見なければならない、だった)という形になってから、あまり無理して見なくなった。(同時間複数会場上演になったし)その結果、せっかくの、たくさん . . . 本文を読む