ハーモニー・コリンが7年間の沈黙を破って放つ第3作。19歳でのシナリオデビュー『キッズ』の後、『ガンモ』で監督デビューして、2作目の『ジュリアン』を撮った後、ずっと音沙汰がなかった。
そのうち忘れてしまっていたのだが、彼が新作を撮った以上見なくてはならない。続々新しい映画、新しい監督が生まれてくる映画界で、一風変わった作品を作ったとしても、それが続くわけではない。彼のスタイルは刺激的だったが、その分忘れられるのも早い。残酷だがそんなものだろう。
物語というよりも、ドキュメンタリータッチ、美しい映像ではなく、即興的で、荒っぽい画像、斬新だが、心に何も残らない。若い作家のひとりよがりの実験映画の域を出ない作品。当時はそう思った。今回久々に彼の映画に触れても、その印象は変わらない。相変わらずの作り方をしている。
2つの話を並行して見せる。バランスは7.3くらいか。この2つは重なり合うことなく終わる。メーンの話はラブストーリーだ。マイケル・ジャクソンの物まねをして生きている男の子が、同じようにマリリン・モンローの物まねをして生きている女性と出会い恋をする。彼女に導かれてスコットランドにある物まね芸人たちの暮らすコミューンへと行く。そこで、自分と同じ性癖を持つ仲間と出会い、生まれて初めて心に平安を抱く。だが、モンローには、チャップリンの物まねをしている夫はシャーリー・テンプルの娘がいる。彼は自分の思いを心に秘めたままここで暮らすことになる。
もうひとつのお話はアフリカか、中南米あたりの村の修道院の尼さんたちが、パラシュートもつけずにスカイ・ダイビングをする話だ。彼女たちの奇跡を描くことと、その無残なラストに象徴させたものは、居心地悪く、メーンのお話と、取敢えずはリンクはする。(ような、しないような・・・)
サイド・ストーリーはひとつの象徴的な事例でしかない。というか、メーンの話も実に象徴的な話であり、リアルではない。でも、メルヘンタッチとは程遠く、ドキュメンタリータッチの映像は、今までの彼の映画と変わらない。
主人公はマイケル・ジャクソンであることを脱して、本来の自分を取り戻すことになる。だが、彼の主治医はそんな彼に対して懐疑的だ。危険だからやめたほうがいい、と言う。病気の人間は病気のまま生きたほうがよい。敢えて健常者のように振舞う必要はない。後で傷つくことになる、とでも言うのか。
映画の冒頭近くで、養老院に慰問に行く場面がある。「永遠に生きるんだ」ともうほとんど意識もない老人たちの前で歌う場面がすばらしい。あのイメージを超えるような展開があれば、これは傑作になっていたかもしれない。マリリンの自殺の場面も含めて、詰めが甘い。
そのうち忘れてしまっていたのだが、彼が新作を撮った以上見なくてはならない。続々新しい映画、新しい監督が生まれてくる映画界で、一風変わった作品を作ったとしても、それが続くわけではない。彼のスタイルは刺激的だったが、その分忘れられるのも早い。残酷だがそんなものだろう。
物語というよりも、ドキュメンタリータッチ、美しい映像ではなく、即興的で、荒っぽい画像、斬新だが、心に何も残らない。若い作家のひとりよがりの実験映画の域を出ない作品。当時はそう思った。今回久々に彼の映画に触れても、その印象は変わらない。相変わらずの作り方をしている。
2つの話を並行して見せる。バランスは7.3くらいか。この2つは重なり合うことなく終わる。メーンの話はラブストーリーだ。マイケル・ジャクソンの物まねをして生きている男の子が、同じようにマリリン・モンローの物まねをして生きている女性と出会い恋をする。彼女に導かれてスコットランドにある物まね芸人たちの暮らすコミューンへと行く。そこで、自分と同じ性癖を持つ仲間と出会い、生まれて初めて心に平安を抱く。だが、モンローには、チャップリンの物まねをしている夫はシャーリー・テンプルの娘がいる。彼は自分の思いを心に秘めたままここで暮らすことになる。
もうひとつのお話はアフリカか、中南米あたりの村の修道院の尼さんたちが、パラシュートもつけずにスカイ・ダイビングをする話だ。彼女たちの奇跡を描くことと、その無残なラストに象徴させたものは、居心地悪く、メーンのお話と、取敢えずはリンクはする。(ような、しないような・・・)
サイド・ストーリーはひとつの象徴的な事例でしかない。というか、メーンの話も実に象徴的な話であり、リアルではない。でも、メルヘンタッチとは程遠く、ドキュメンタリータッチの映像は、今までの彼の映画と変わらない。
主人公はマイケル・ジャクソンであることを脱して、本来の自分を取り戻すことになる。だが、彼の主治医はそんな彼に対して懐疑的だ。危険だからやめたほうがいい、と言う。病気の人間は病気のまま生きたほうがよい。敢えて健常者のように振舞う必要はない。後で傷つくことになる、とでも言うのか。
映画の冒頭近くで、養老院に慰問に行く場面がある。「永遠に生きるんだ」ともうほとんど意識もない老人たちの前で歌う場面がすばらしい。あのイメージを超えるような展開があれば、これは傑作になっていたかもしれない。マリリンの自殺の場面も含めて、詰めが甘い。