河瀬直美監督の最新作。カンヌ映画祭で絶賛された作品らしい。だが、なんでこんな映画が持て囃されるのか、僕にはよくわからない。退屈なだけだった。彼女の映画は今まで嫌いではなかった。もちろん癖がありすぎて、鼻につく。ほとんどの人が嫌い、と思うはずだ。でも、ヨーロッパでは持て囃される。不思議だ。今回の作品はパッケージングだけ見るとなんだか普通の青春映画っぽい。だが、やはり普通じゃない。
別に普通であるか、否か、が大事なのではないことは、わかりきった話だが、あまりに観念的すぎて、ついていけないものを感じた。監督の頭の中の世界を映画として見せられただけ、という戸惑いがある。この映画のストーリーとしての弱さなんかが問題なのではない。描こうとしたスタイル、それだけではないのかもしれないのだが、なんとなくそこに傲慢さを感じてしまう。自然の美しさ、脅威、人間の儚さ、命が続くこと。描こうとすることはわかるのだ。やがて死んでいこうとする母親と向き合う少女。母親の中にある女の部分を汚らわしいと思う少年。そんなふたりの16歳を主人公にして、彼らが向き合う世界を描く。奄美大島を舞台にして、その自然の中を生きる2人とその周囲の人たちの紡ぐ物語。図式としては悪くない。それをいつものようにドキュメンタリータッチを駆使しながら、役者たちと、地元の住人によるコラボで見せていくというスタイルも悪くはないし、それはいつもの河瀬映画と同じアプローチだ。変わらない。命は受け継がれていくというテーマも悪くはない。だが、なんだかどこか空々しい映画なのだ。ふたりが結ばれるシーンや、ラストの生まれたままの姿で海で泳ぐシーンが取ってつけたものに思える。そこにストレートには感動できない。
別に普通であるか、否か、が大事なのではないことは、わかりきった話だが、あまりに観念的すぎて、ついていけないものを感じた。監督の頭の中の世界を映画として見せられただけ、という戸惑いがある。この映画のストーリーとしての弱さなんかが問題なのではない。描こうとしたスタイル、それだけではないのかもしれないのだが、なんとなくそこに傲慢さを感じてしまう。自然の美しさ、脅威、人間の儚さ、命が続くこと。描こうとすることはわかるのだ。やがて死んでいこうとする母親と向き合う少女。母親の中にある女の部分を汚らわしいと思う少年。そんなふたりの16歳を主人公にして、彼らが向き合う世界を描く。奄美大島を舞台にして、その自然の中を生きる2人とその周囲の人たちの紡ぐ物語。図式としては悪くない。それをいつものようにドキュメンタリータッチを駆使しながら、役者たちと、地元の住人によるコラボで見せていくというスタイルも悪くはないし、それはいつもの河瀬映画と同じアプローチだ。変わらない。命は受け継がれていくというテーマも悪くはない。だが、なんだかどこか空々しい映画なのだ。ふたりが結ばれるシーンや、ラストの生まれたままの姿で海で泳ぐシーンが取ってつけたものに思える。そこにストレートには感動できない。