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映画・演劇のレビュー

『サニー 永遠の仲間たち』

2013-02-25 21:20:27 | 映画
 2010年とその25年前、1985年。この2つの時間を繋いで見せる青春映画。というか、主人公たちはもう40代なんだけど。でも、青春。もちろん25年前は青春真っ盛り。これは先日見た『横道世之介』とよく似たパターンなのだが、これもまた、あの映画と同じようにとてもよく出来ている。

 高校生7人組のお話。あの頃と今をつなぎ、彼女たちがもう一度、絆を取り戻していく姿が描かれていく。平凡な主婦になり、毎日の単調な生活の中で、かつての夢とか、憧れとかを見失っていた主人公が、あのころを思い出しながら、今を取り戻していく。大切なことは、今にある。あの頃を懐かしむための映画ではない。そこがいい。今の自分たちに何が可能なのか。40代になり、いろんなことをあきらめていた。でも、人生はもう終わりではない。というか、まだ、自分たちは何もしていない。すべてはこれからだ、と思えられる。それってすばらしい。そのことをあの頃の仲間たちに教えられる。

 現実の中で押し潰されていた彼女たちが、ひとりではなく、みんな一緒だと、信じられたとき、あの頃の想いがよみがえる。高校生の頃、バカばっかりしていた。でも、みんな一生懸命だったことは確かだ。7人の友情物語というどこにでもありそうな話なのに、それがこんなにも胸に沁みたのは、ここにはありきたりの真実があるからだ。たわいもない話だから、大切なこと。それがちゃんと描かれてある。

 田舎からの転校生。ソウルは都会で、とても不安で、押し潰されそうだった。でも、仲間が出来た。彼女たちが助けてくれた。そして、いろんなことがあった。25年後、今の自分の娘の姿と重ね合わせながら、あの頃が立ち上がってくる。必ずしも夢の時間だったわけではない。25年後の自分と比べれば天国のように思える。でも、実際はそうではない。あの頃を特別には描かない。

 だから、映画は絵空事にはならない。奇麗事にはしないからだ。回想ではなく、あの頃そのものとして、見せていく。どちらかというと、今を描く部分のほうが絵空事のように思える。でも、それでいい。この映画は、夢なんてなくしたはずの「今」だって、見方を変えて、あの頃の仲間とともに見ると、輝き始める、という映画なのだ。甘い映画かもしれないが、そういう夢を映画が叶える。それこそが映画の使命だ。




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