こんな中国映画があるのだ。ほとんどが町の風景を描いた静止画。もちろんお話は、ある。だけどお話を見せたいわけではない。荒涼とした町の風景がストーリーよりも際立つ。
ある男が犯罪組織のボスから奪い取った100万元を巡る一夜の物語だ。さまざまな人たちが入れ代わり立ち代わり現れてそのお金を奪い合う姿を描くアクションなのに、こんなにも静か。うらぶれた中国南部のどこかの町の建物の光景ばかりが捉えられる。海を延々と見せるシーンがあるけど、そこまで見せる意味はない。
2017年製作、リュウ・ジエン監督作品。2017年・第30回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映されたアニメーション映画だ。大胆な構成は作り手の独りよがりだけど、リュウ・ジエンは動じない。やりたいことをやる。さすがにあまりに単調すぎて眠くなる。(少しウトウトしてしまった)でも納得の映画だった。これはありだ。