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映画・演劇のレビュー

濱野京子『白い月の丘で』 

2012-10-22 22:02:35 | その他
 シリーズの第2弾。前作の続編ではなく、約10年後の近隣の国のお話になる。3部作はいずれも別々の主人公による独立したお話だ。今回は2人の王子から好かれた貧しい靴職人の娘が主人公。いかにも、なラブストーリーで、前作ほどにはおもしろいと思えなかった。この世界観は悪くないし、そこで展開する壮大なロマンに身を任せ、その世界を満喫できればそれでいいのだが、今回は話自体が思ったほどには広がらないからだ。

大国に攻め滅ぼされた小さな国。その国の王子が生きていて、失われた国の再興を目指す。よくあるパターンなのだが、濱野京子はもちろんそんなパターンから想像されるようなストーリーを踏まない。前作と同じように、ちゃんとした世界観を持ち、政治的なドラマにもなっている。

 だが、どうすれば大国の支配から脱することが、可能なのかをもっと緻密に描いて欲しい。前作と比較すると歴然としている。受け身のヒロインも前作ほどには魅力的ではない。しかも、敵国の王子が、後半、ちゃんと描かれないし。(彼の出番がなくなる)あれでは三角関係のラブストーリーとしても不完全燃焼ではないか。終盤の怒濤の展開のはずが、話を一気に収束させただけにしか見えない。

 明日から読む次の第3部に期待。

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