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映画・演劇のレビュー

Micro To Macro『ハネモノ/ブルー・ヘブン』

2011-08-21 17:07:43 | 演劇
 とても芝居らしい芝居で、安心してラストまで見ていられるのがいい。メリハリがあり、テンポもいい。バンドによる生演奏と歌がポイント、ポイントでこのドラマを盛り上げていくのも、いつものことだが、的を射ていていい。お約束をちゃんと守って定番のストーリーをきっちり見せきってくれるから、こんなにも心地よいのである。

 ストーリーは単純なのだが、複雑な構成をわざととる。なかなか先が見えないまま、いくつものドラマが絡み合い、バラバラなエピソードが最後で一つになるというパターンだ。もちろんそうなるのは、自明のことで、このストーリー展開からしてお約束なのだが、この先どうなるのだろうか、という興味で引っ張ってくれて、「なるほど!」と膝を打つ。物語の王道を行く作りだ。これはあざといくらいにわかりやすい芝居なのだ。

 作、演出、(出演、ボーカルも)を担当した石井テル子さんは、ハネモノとされた少年少女の想いを歌を通してひとつにつなげて見せる。ドラマとしてはもう少し奥行きがあってもよかった気がするが、これはこれで悪くはない。詰めの甘さが作品の弱さにはならない。それはこの芝居がある種の型を基本にするからだ。それは先にも書いたように、お約束をちゃんと守る、ということだ。

 だが、出来ることなら、片目の見えない少女(石井自身が演じる)が、心臓に欠陥のある息子を持つ母親(向田倫子)と出会うオープニングと、すべてが明らかになるラストをつなぐもうワンエピソードが欲しい。ひとつの曲を通してつながっていた少女と少年の母親が再会するエピソードは必要ないが、少年がこの歌の秘密を知ったとき、彼を通して2人が(というか、彼も含めた3人が)ずっとつながっていたのだ、と思えるような後ひと押しがあれば、これは今以上に感動的なステージとなったはずだ。そこは惜しいと思う。

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1 コメント

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Unknown (teru)
2011-08-23 01:40:58
観劇、誠にありがとうございます。

貴重なご意見も書いて頂き感謝いたします。

是非これからつくっていくものに生かしたいと思います。

ありがとうございます。
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