あの『幸福なラザロ』を撮ったアリーチェ・ロルヴァケル監督最新作。この不思議なタイトルにも心惹かれる。一見なんでもないタイトルだが、「墓泥棒」と「失われた女神」というカップリングはどんな取り合わせか、と気になる。
そして映画自体も、確かにこのふたつが組み合わせてあるけど、やはりかなり不思議なカップリングであり理解に苦しむ展開。それが平然としたタッチで描かれていく。何が起きているのか、よくはわからない。さらりとそんな不思議な話が続く。
映画は男がこの村に帰ってくるところから始まる。みんなは彼を歓迎するけど、彼はなんだか面倒くさいみたいだ。なんだ、それってと思う。もちろんそれは彼の持つ不思議のせいだ。彼の力は、土の下に埋もれたお宝を探し出すというもの。だから歓迎されるのだが、それがそこからお話をどこに向けて進むのかは、よくわからない。あちらこちらに迷走する。遺跡を掘り起こして売り捌く。凄い女神像を見つけることで大騒ぎ。オークションにかけられて、
しかも細部が説明不足でわかりにくい。ただ失われた女神(遺跡の像と、彼の昔の恋人)を探し出すし、墓泥棒もするからタイトル通りなのだが。
現実と空想がセットになっている。フィルムとデジタルも、さらにはサイズも。さまざまなものが自由に交錯していく幻想的な物語。