これは相変わらずの森見ワールド。そこに共鳴した3人が共同作業に加わった。こんなフェイク小説をでっち上げる。志賀直哉先生の作品も同時に収録して欲しかったけど、さすがにそれは無理か？
もちろんこれは志賀直哉へのオマージュだが、4人が同名タイトルで書いた4篇。もちろん『城崎にて』。大胆な挑戦であり、お遊び。森見登美彦作品は志賀直哉の亡霊が出てきて喝を入れたりする。
円居挽、あをにまる、草香去来という3人のことはまるで知らなかったから、最初は森見登美彦がでっちあげた架空の作家だと思った。最初の作品があまりに森見登美彦っぽい気がしたからだ。だけどネットで調べたら実在する。お話は『注文の多い料理店』のパロディ。続く作品（大学の文芸部、次期部長の選考戦）もなんだかふざけた話で、まるで森見登美彦だ。3つ目は、着ぐるみパンダのいる動物園の話。
そして最後は森見登美彦本人。最初に書いたけど、志賀直哉先生が登場して大暴れ。なんともバカバカしい短篇集だ。志賀先輩は「ふざけるな！」とお怒りのことだろう。とはいえ、こんな作品を作ってしまった4人に乾杯。
