20世紀の終わりに書かれ上演された作品をせすん50周年記念作品として22年後の今、上演する意味って何なんだろう、と考える。(もちろん、僕なんかより劇団自身がそのことの意味を深く考えたうえで今回の公演に踏み切ったのだろうが)
この刺激的なタイトル(当然、オリジナルは『ニッポン二十一世紀五分前』だろう)と内容とも含めて、これを今、上演する覚悟のほどがしっかり伝わってくる気がして、こんなコメディタッチの一見軽い作品であるにもかかわらず、ちょっと襟を正して作品と向き合ってしまった。
『現在でも』に込められた想いは、十分に伝わる。3話からなるオムニバスの内容はいずれもこの日本社会がかかえる矛盾や問題点である。とてもストレートでわかりやすい。しかし、こういう現実をしっかりとみつめて、その先にある(あった)明るい未来(21世紀)を作り出さなくてはならないという切なる願いが、あきらめとともに、ここには込められてある。
3つのお話のキーワードは、ブラック企業、鉄道事故、長時間過密労働、ワーキングプア、サラ金、不当解雇、等々。もうこれだけで満腹になるでしょ。でも、それを軽やかに3本で70分の作品として仕立てる。
こういう生真面目な姿勢こそが「大阪職員演劇研究会」の矜持であろう。「劇団せすん」と改名してもこの集団の出自は「大阪職員演劇研究会」であることに変わりはない。50周年を迎えて、改めてそういうことを認識させられる作品であったことがうれしい。