このエッセイ集を読みながら、最初はなんだかつまらないなぁ、と思った。小川さんの小説はあんなにおもしろいのに、彼女が書くエッセイもおもしろいのに、彼女が他の人が書いた小説について書いたこの本はつまらないのはなぜだ? しばらくして、読むのを辞めようか、とすら思った。でも、それは大きな間違いだ。気がつくと、だんだんこの本に書かれてある世界に自分自身が埋没していくことになる。小川さんと、彼女が愛した本との距離がなくなってくるのだ。僕は元来人見知りが激しい。初対面の人とうまく話せない。この本の小川さんと書物たちとの親密さに気後れして、最初はうまく溶け込めなかったのだろう。
途中から、これはすべてが小川洋子さん自身なんだ、と思い始めた。すると、ここに描かれる本たちに親しみを感じ始める。最初から嫌いではなかったのだ。第3者の僕がひとりで距離を取っていただけ。そのことに気づく。最後の『死の床に就いた時、枕元に置く七冊』なんて、やっぱりね、と予想できた。なんだかとても身近な物に感じていた。『アンネの日記』はともかく、『中国行きのスロウ・ボード』もちゃんと入っているし、最後の七冊目にはやっぱり武田百合子の『富士日記』が入っていたのを見て、笑ってしまった。
途中から、これはすべてが小川洋子さん自身なんだ、と思い始めた。すると、ここに描かれる本たちに親しみを感じ始める。最初から嫌いではなかったのだ。第3者の僕がひとりで距離を取っていただけ。そのことに気づく。最後の『死の床に就いた時、枕元に置く七冊』なんて、やっぱりね、と予想できた。なんだかとても身近な物に感じていた。『アンネの日記』はともかく、『中国行きのスロウ・ボード』もちゃんと入っているし、最後の七冊目にはやっぱり武田百合子の『富士日記』が入っていたのを見て、笑ってしまった。