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映画・演劇のレビュー

『ミッション・インポッシブル フォ-ルアウト』

2018-08-07 21:02:10 | 映画

この夏最大の映画が公開された。シリーズ第6作になる。今回のミッションは奪われた(イーサンの甘さが招いたピンチ!)3つのプルトニウムを取り戻し、同時核爆発の危機を回避できるか、ということ。単純な話のハズなのに、なんだか複雑でストーリーがわからないまま、どんどん話は展開していくから置いてけぼりにされるけど、大丈夫。アクションシーンでどんどん繋いでいくからストーリーの細かいところなんか気にしなくても見ていられる。ハラハラ・ドキドキで2時間半の長尺映画なのに、あっという間にラストまで連れて行かれる。こういうタイプの娯楽映画が見たかったのだ。今の時代、このシリーズと『007』シリーズくらいしかこんなに興奮させてくれる映画はない。どちらもシリーズなのに毎回新機軸で驚かされる。ただ、お話が単発ではなくなっているのは少し、しんどい。前作から数年が経っているから忘れている。でも、実はそこも大丈夫。単発として見ても充分楽しめるように作られてあるからだ。さすが、である。

 

トム・クルーズは毎回限界に挑んでいて、もうこれはないよ、を連発する。そこまでさせるのは彼の映画愛なのだろう。ジャッキー・チェンがさすがに疲れてきた今、アクションスターのナンバーワンはトム・クルーズだ、というのって、なんだか不思議な感じ。彼は必ずしもアクション専科ではないからだ。というか、彼がアクションにここまでこだわりを見せるってなんなのか、って感じだ。でも、彼はいつの間にか、完全にこのシリーズに嵌まってしまった。特にここ3本はドンドン過激さを増している。始まりはジョン・ウーだったのだろう。シリーズ第2作の監督にジョン・ウーを持って来たときからこのシリーズの方向性が定まった。そして、4作目の『ゴースト・プロトコル』だ。あれで確定してしまった。どんどん信じられないスタントに挑むことになる。

 

今回は冒頭の部分で度キモを抜かない。そこは敢えて少し地味目の展開でお話の発端を印象付ける。そこからどんどんエスカレートするのだが、前半戦のパリの町中でのスタントは凄すぎる。派手さを追求するのではなく、精巧さ、細部のディテールの懲り具合が凄すぎ。ハリウッドの大味な大作アクション映画とは一線を画する。パリの町中でよくもまぁ、あれだけのことをしてくれたものだ。そして、終盤のへリを使った大がかりなスタントへと、つなげる。タイトル通り今回は(というか、今回も!)落下するアクションが根幹を成す。パリにやってくるところから、このクライマックスまで。とことんやる。その迫力たるや。

 

そんなこんなの見たらわかるようなことをつらつら書いていても仕方がないから、やめるけど、もう怒濤の展開。しかも、複雑な話なのに、有無を言わさない展開で見せきる。もたもたしている場合ではないからだ。次から次へと押し寄せる不可能なミッションの連続。それをイーサンがどんどんクリアしていく快感。娯楽映画の王道を行く。インド映画の大ヒット作『バーフバリ』二部作を見た時、こんなのが娯楽の王様のはずがない、と思った。あれでは、少なくとも僕は手に汗握らない。だけど、トムのこのシリーズには毎回手に汗握らされる。ハリウッド映画の良心とでも呼ぶべきか。観客を嘗めたようなCGアクション映画ではなく手作りの超大作映画をトムは僕たちにプレゼントしてくれる。

 


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