前作『Mr.インクレディブル』は意外な面白さで、こういうヒーローものなら歓迎だ、と当時は思った。その後だかその前後だか忘れたけど、どんどんこの手のヒーローもの映画が量産されるようになって、今ではもう出尽くした感すらある。そこになんと14年もの歳月を経て、この続編の登場なのである。何をいまさら、の感は拭えない。しかし、そんなことはわかったうえでこれが作られたのなら、その意図はどこにあるのか。気になる。勝算がないわけではないだろう。
監督のブラッド・バードはあの映画でトム・クルーズに認められて『ミッション・インポッシブル』の4作目、『ゴースト・プロトコル』を監督した。あれは実に面白い作品で、あの作品からシリーズの方向性が明確になったといっても過言ではない傑作だ。ブラッド・バードはこの2作品で、アニメでも実写でも大丈夫ということを証明した。そんな彼が何と14年ぶりに再びこの作品を手掛けたのである。それだけでもこれを見ないわけにはいかない。
冒頭のアクションシーンから手に汗握る。やはり、実写でもアニメでも変わることはない。彼の見せてくれるアクションシーンは素晴らしい。その後の家族の描写もありきたりな展開だがこの手のヒーローものとしては、あり得ない展開で笑える。ヒーローだって家族は大事。母親が仕事に出た間、父親が育児、家事を代行するのだが、なかなか上手くいかない、という展開で笑わせる。ファミリー映画であるという利点を生かしながら本格アクション映画を目指して、これでもか、これでもか、の怒濤の展開。期待通りの作品に仕上がっている。ヒーローたちが迫害される、という基本設定が面白い。(まぁ、それは前作からの基本コンセプトだが)お話は彼らの人権を守る、というところから始まる。
アニメのアクションなのに、実写に負けない臨場感。今の時代、アクションはCGで作るから実写もアニメも関係ないのだろう。繊細さと大胆さを合わせ持ち、スケールの大きなアクション映画を提示した。バランス感覚の優れた映画だ。今の映画としてちゃんと成立している。
余談だがオマケの短編映画『Bao』も凄くいいので、お見逃しなく。泣ける。