ようやく最後まで見た。ラスト二回は怒濤の展開、ではない。あくまでもマイペースを最後まで貫く。これはそんな強い意志のもと、作られた映画なのだ。(Netflixのオリジナルドラマだけど、ちゃんと映画仕様になっている)
監督はクレジットでは西浦正記と中田秀夫の共同監督作品となっているが実質は西浦作品である。見る前は4話ずつの分担だと思っていたのに中田は5話のみしか手掛けていなかった。全編西浦カラーの信念で貫かれている。これは福島第1原発からあの日の現実をドキュメントする記録映画だ。だから不必要なドラマチックな展開はしない。あくまでもラストまで(ラストから先も含めて)冷静に「事実に基づく」映画作りを貫く。
ラストはお話の終わりではなく、始まりとなる。これから先の廃炉作業、原発との向き合い方、対応。未来のための課題は山積している。この未曾有の出来事(事故ではなく)を通して我々は何を学んだのか、そのための問題提起だ。
これが先行する同じ原作から生まれた映画である『hukusima50』とはまるで違う作品になったのは当然のことだろう。アプローチが違う。だからここでは意味のない比較はしない。どちらも誠実な映画だと思う。だが、後発のこれが配信映画なのにこんなにも抑えた作品に作られたのは凄い。さすがNetflixだ。西浦監督は『コード・ブルー』を撮った人だ。あの映画(TVドラマ)を改めて思い返してみると納得する。