片岡百萬両の芝居を見るのはほんとに久しぶりだ。片岡自動車工業になってからは今回が初めてになる。だから、とてもうれしい。以前は毎回見ていたけど、こんなにも間が開くなんて思いもしなかった。
今回見ることにしたのはチラシにある「おひねり公演」という驚きの企画を見たからだ。公演初日は無料で見せるというのである。(おひねり公演なので、公演後に各自が自由に料金を払うというシステム)凄い戦略だ。太っ腹で大胆。作品に対してそれだけの絶対の自信があるのだろう。興味津々で拝見。
単なるエンタメに終わらない。わけじゃない。単なるエンタメを徹底的に貫く。ここまでされると納得するしかない。エンタメを極めるというと、なんだか大袈裟かもしれないけど、やりたい放題,やれるだけやる心粋。
大人数のキャストが常にステージ上を駆け回る。群像劇というより、群衆劇。ひとりひとりは描かれない。あいつもこいつも、みんなが前面に出る。主人公のお局ちゃん(袋小路林檎)すらなかなかセンターを取れない始末。大騒ぎの1時間50分。楽しいからそれだけでいい。
そんな振り切った芝居を提示する片岡は自分らしいエンタメ芝居を邁進しているのだろう。純粋で、とても気持ちのいい芝居だった。