これもまた、たまたま昨日読んだ。何の期待もなく。読みながらだんだん加速度がつく。ページをめくるスピードが心もち速くなる。でも、じっくりよみたい、という気持ちもあるからそれを微妙に抑えようとする。面白すぎる。
彼女の無骨な生き方が。カレーが好きだからといって、それだけで生きられるなんて、ふつうならあり得ない。でも、彼女はそれだけ。それだけの一直線。ひとりぼっちで18年間生きて生きた。もちろん、周囲の人たちには助けてもらったけど。18になり、施設から出なくてはならなくなり、一人暮らしをスタートし、調理専門学校に入る。でも、カレーしか見えない。そんな女の子のお話だ。簡単に「よくできたハートウォーミングだ」なんて、括ってしまうのは不可能だ。甘いお話だとも、思わない。
こんなふうに生きられたなら素晴らしい。これはカレーのお話だけど、それだけをこんなにも丁寧に書いていくことで全てに通じる作品になっている。大好きを極めるとどこに行きつくのか。
実はまだ、半分までしか読んでないので、この先どうなるのかは、わからないけど、ここまで読んで、もう最後まで責任を持って推薦できる。これは素晴らしい小説だ。