とてもいびつな恋愛を描いた小説を2冊続けて読んだ。この2つに『ジュノ』を加えると、偏った恋愛三部作の誕生だ。ジュノは、妊娠出産する16歳の少女の驚きの日々のスケッチというよりも、大好きな男の子に「好きです」と告白して、2人で初めてデートするまでを描いた初恋物語のように、僕には思える。
ジュノはポーリーにうまく気持ちを伝えきれないので、セックスを先にしてしまう。話も出来ない彼に対して、まずセックスをして、それだけで去っていく。それってシャイだから、というのかは微妙だが。
その結果、妊娠。責任を取ってよ!と詰め寄るわけではない。そのことをきっかけにして2人の距離が縮まったりもしない。反対にさらに、お互いにぎこちなくなり、距離を深めてしまう。男の子と女の子が、うまく付き合えないでいる。そんな姿が描かれていく。
東直子の『さようなら窓』の2人は優しい。きいちゃんはゆうの優しさに包まれて生活している。人と上手く付き合えないで、ずっと孤独だった彼女が彼と暮らすことでなんとか人並みに生活が出来るようになる。彼の保護下でなら生きていける。だから、もし彼が居なくなったり、自分の事を嫌いになったりしたなら、と思うとそれだけで生きていけないと思う。不安で不安でたまらない。この幸せがずっと続くか、なんてわからない。
そんな不安な日々が描かれていく。彼女がそこからひとりで生きていく決意をするまでが描かれる。これは恋愛ではないと、彼女は思う。依存しているだけで
それが辛い。お互いに必要としあうことが恋愛だ、というのなら彼もまた彼女がいるから生きていけると思っているのだから、本当は問題ないはずなのだ。なのにそうは思えない。彼女は自分に負い目を感じている。自分はただの居候。対等な関係ではないから、と思う。だけど、恋愛って対等でなくてはならないのか?よくわからない。
『乱暴と待機』はもっといびつだ。復讐のために同居する兄と妹。しかし、2人は血の繋がった兄妹ではない。隣同士の幼なじみでしかないのだ。ある事件のよってひとりぼっちになった彼と、その事件の原因になったらしい彼女との話だ。お互い素直になれないから、おどおどしたり、遠慮したりするところはこの3作品、よく似ている。しかし、これは本谷有希子なので、かなり過激だで、演劇的な作りとなっている。とてもリアルとは思えない設定だ。ただ、『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』と同じ手なので、新鮮味はない。この異常な設定の中でどれだけピュアな感情を突き詰められるかが、ポイントとなるのだが、これではただの変態でしかない。もう少し突き抜けるようなイメージの飛躍が欲しい。
3作品とも、あと少しのところで足踏みしている、という印象が残る。惜しい。
ジュノはポーリーにうまく気持ちを伝えきれないので、セックスを先にしてしまう。話も出来ない彼に対して、まずセックスをして、それだけで去っていく。それってシャイだから、というのかは微妙だが。
その結果、妊娠。責任を取ってよ!と詰め寄るわけではない。そのことをきっかけにして2人の距離が縮まったりもしない。反対にさらに、お互いにぎこちなくなり、距離を深めてしまう。男の子と女の子が、うまく付き合えないでいる。そんな姿が描かれていく。
東直子の『さようなら窓』の2人は優しい。きいちゃんはゆうの優しさに包まれて生活している。人と上手く付き合えないで、ずっと孤独だった彼女が彼と暮らすことでなんとか人並みに生活が出来るようになる。彼の保護下でなら生きていける。だから、もし彼が居なくなったり、自分の事を嫌いになったりしたなら、と思うとそれだけで生きていけないと思う。不安で不安でたまらない。この幸せがずっと続くか、なんてわからない。
そんな不安な日々が描かれていく。彼女がそこからひとりで生きていく決意をするまでが描かれる。これは恋愛ではないと、彼女は思う。依存しているだけで
それが辛い。お互いに必要としあうことが恋愛だ、というのなら彼もまた彼女がいるから生きていけると思っているのだから、本当は問題ないはずなのだ。なのにそうは思えない。彼女は自分に負い目を感じている。自分はただの居候。対等な関係ではないから、と思う。だけど、恋愛って対等でなくてはならないのか?よくわからない。
『乱暴と待機』はもっといびつだ。復讐のために同居する兄と妹。しかし、2人は血の繋がった兄妹ではない。隣同士の幼なじみでしかないのだ。ある事件のよってひとりぼっちになった彼と、その事件の原因になったらしい彼女との話だ。お互い素直になれないから、おどおどしたり、遠慮したりするところはこの3作品、よく似ている。しかし、これは本谷有希子なので、かなり過激だで、演劇的な作りとなっている。とてもリアルとは思えない設定だ。ただ、『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』と同じ手なので、新鮮味はない。この異常な設定の中でどれだけピュアな感情を突き詰められるかが、ポイントとなるのだが、これではただの変態でしかない。もう少し突き抜けるようなイメージの飛躍が欲しい。
3作品とも、あと少しのところで足踏みしている、という印象が残る。惜しい。