内藤裕敬の作、演出。チラシがまるで出回っていないので、ほんとうにこの公演はあるのか、と心配したけど大丈夫だった。ウイングで話を聞くと敢えてチラシを作らない(配布しない)という方針らしい。納得する。
事前情報はまるでなく、大旅軍団という劇団のことも知らないで、内藤裕敬が作、演出をするということだけで見たのだが、内藤さんらしい作品で楽しめた。作りが緩くて役者たちの裁量に委ねられる芝居は『青木さん家の奥さん』に似ている。
朝目覚めると酷い二日酔いで自分がどこにいるのか、昨夜は何をしていたのかすらわからない。炬燵で寝ていた部屋には恐るべき量の缶ビールの空き缶が溢れている。これは何ごとか、と思う。部屋には友人たちが寝てた。こいつらと記憶を無くすまで呑んでいたのか? ここは誰の部屋なのか?
ひとり、またひとりとここにいる人が増えていく。みんな仲間である。だけど誰もここが誰の家なのかは知らない。
いかにも内藤さんが好きそうな話。役者たちは生き生きとこの世界を楽しんでいる。理屈なんかいらない。酔っ払いの妄想。次から次へと狭い部屋に酔っ払った翌朝の仲間たちがやって来て、出入りする。大騒ぎ。誕生日会、引越し祝い? 果てしない物語がダラダラと続く。
宴会の翌朝のさらなるバカ騒ぎ。この情けないヤツらがなんだか愛しい。