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映画・演劇のレビュー

糾『月下夜話』

2011-03-24 23:38:50 | 演劇
 2年半振りの糾である。西岡由起子さん(今は黒田さんなのだが、どうしても、西岡さん!と書いてしまう)に到っては、なんと5年振りの役者復帰になるらしい。なんだかそれだけでも嬉しい。彼女たちが、当然今も芝居が大好きで、糾として地道に活動を続けていて、でも、なかなか公演を打てないけど、それでも、待っていたら、帰ってくる。それって素敵なことだ。今回はまず、リハビリ公演ということらしい。3話からなる1時間ほどの短編集だ。その慎ましさもいい。無理はしないけど、無理してでも芝居は続ける。そんな姿勢がいい。

 第1話は大山まゆさんの一人芝居『ジュリちゃん』。大山さんが、なんだかとてもかわいい。こういう芝居を見せてもらえるなんて、思いもしなかった。バッタと一人暮らしの女性、なんていう組み合わせの妙。明るいタッチで、一見軽やかに重い問題を見せる。重い、と書いたが、これを重いと受け止めるかどうかは微妙だ。女の人がひとりで生きていくこと(別に男でも女でも同じだ、とは言わない)の特別さ。それがさらりと描かれる。第2話はもちろん黒田由起子さんのひとり芝居。灯台守の夫婦の話。(『光の輪』)と、言っても幸せな2人を描くのではなく、夫を失った妻の独白だ。幾分硬いいつもの黒田さんの口跡がいい。

 最後は、ヘルプで入った男優2名を交えた大山さんとの3人芝居。(『穴をのぞく』) これも全体のタッチは幾分軽めだ。愛し合う男2人と、彼らから生まれてきた女!によるドタバタを通して、新しい家族の形が語られる。こういうのもありなのか、と笑えた。ここでも大山さんの軽さが際立っている。

 今回の芳崎さんは、肩の力が抜けた作劇で、でもちゃんと自分たちの問題をしっかりみつめた深みのある芝居を作る。ここには、3人でまた、芝居を作れることの喜びが満ちあふれている。



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