すかんぽ長屋を舞台にした人情劇シリーズの第3作。定番のストーリーをなぞっていく。でも、そこで安心して見ていると、あれっ、と驚かされるようなちょっとした仕掛けも用意してあり、悠々たるタッチで70分ほどの芝居は展開されていく。お決まりのストーリー、善玉悪玉がここでぶつかり合い、大団円を迎える。派手な立ち回りもちゃんとあり、笑わせて、ほっこりさせる。神原節全開だ。
前回「90分くらいのボリュームが欲しい」と、確か書いたけど、今回の作品を見ながら、これは70分くらいのほうがいいのかもしれないな、と思い直した。必要以上の枝葉はいらない。
お客さんの望む通りに、お決まりのストーリーをなぞって、お客さんが思ったように終わる。そして、今回も楽しかったな、と思わせる。そういう芝居があってもいい。神原さんのいろんな引き出しの中にはこういうものもある、ということだ。定番だから面白い、そんなものを目指す芝居に、お話が単純すぎるとか、そんな文句を言っても仕方ないし、それはヤボなことだ。