吉田修一としてはかなりの大長編である。450ページほどある。でも、それくらいなら『悪人』も同じくらいあった気がする。問題はそんなことではない。内容なのだ。いくらなんでもこれはないだろ、と思った。これってただのエンタメ小説だ。しかもスパイものだったりするし、企業間の抗争とか、エネルギー資源の争奪戦とか、なんだかんだで、今までの吉田修一じゃぁない!
大体僕はこの手の小説は読まない人なのだ。なのに、吉田修一だというだけで、手にして、むさぼるように読んでいる。どこまで読んでも、ここにはいつもの彼はいない。これはただのウエルメイドなエンタメ作家の手に汗握る冒険アクションなのだ。どうした吉田! 転向したか。
おもしろければ、それだけで十分なのだが、それでも、こういうエンタメはただの時間つぶしでしかないから、わざわざ貴重な時間を割いてまで読むのは憚られる、というのが、今までの姿勢だった。読みながらやはりこれは吉田修一じゃなきゃ読まないな、と確信する。
では、何が彼をこんな小説に向かわせたのか? よくわからない。まぁいいけど。別に何も言うことはない。確かにおもしろかった。一瞬で最後まで読めた。(電車の往復、3日間くらいだ。ということは1日で150ページペースなのでかなり早い)スピード感があり、スケールが大きい。帯には「スパイ大作戦」とある。これは昔ながらの『ミッション・インポッシブル』なのだ。007とか、あんな感じ。それの現代版であり、日本版。
なんだかそういうと安っぽいのだが、そうとしか言いようがない。でも、それって、少しも悪口ではない。軽くもないし、重くもない。実に適当なバランスで描かれてある。人間描写がうすっぺら、と思う人もいるだろうが、これで重厚な人物描写なんかされたなら、そぐわない。ジェームス・ボンドの苦悩なんか誰が見たいものか。だから、この小説の主人公の鷹野は、こういう感じでよい。スーパーヒーローなんかじゃない。でも、人間臭くもない。エンタメの王道をいくバランス感覚なのだ。
確かに面白かった。もちろん。でもこれを『悪人』とは較べる必要はないし、無理。
大体僕はこの手の小説は読まない人なのだ。なのに、吉田修一だというだけで、手にして、むさぼるように読んでいる。どこまで読んでも、ここにはいつもの彼はいない。これはただのウエルメイドなエンタメ作家の手に汗握る冒険アクションなのだ。どうした吉田! 転向したか。
おもしろければ、それだけで十分なのだが、それでも、こういうエンタメはただの時間つぶしでしかないから、わざわざ貴重な時間を割いてまで読むのは憚られる、というのが、今までの姿勢だった。読みながらやはりこれは吉田修一じゃなきゃ読まないな、と確信する。
では、何が彼をこんな小説に向かわせたのか? よくわからない。まぁいいけど。別に何も言うことはない。確かにおもしろかった。一瞬で最後まで読めた。(電車の往復、3日間くらいだ。ということは1日で150ページペースなのでかなり早い)スピード感があり、スケールが大きい。帯には「スパイ大作戦」とある。これは昔ながらの『ミッション・インポッシブル』なのだ。007とか、あんな感じ。それの現代版であり、日本版。
なんだかそういうと安っぽいのだが、そうとしか言いようがない。でも、それって、少しも悪口ではない。軽くもないし、重くもない。実に適当なバランスで描かれてある。人間描写がうすっぺら、と思う人もいるだろうが、これで重厚な人物描写なんかされたなら、そぐわない。ジェームス・ボンドの苦悩なんか誰が見たいものか。だから、この小説の主人公の鷹野は、こういう感じでよい。スーパーヒーローなんかじゃない。でも、人間臭くもない。エンタメの王道をいくバランス感覚なのだ。
確かに面白かった。もちろん。でもこれを『悪人』とは較べる必要はないし、無理。