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映画・演劇のレビュー

『ハーバー・クライシス<湾岸危機> Black & White Episode 1』

2012-09-22 17:17:04 | 映画
台湾で爆発的大ヒットとなったTVシリーズの劇場版らしい。それを日本ではTVシリーズと連動することなく公開する。おかげでまるで知名度は低く、当然、劇場には人は来ない。せっかくうまくすればいい商売になりそうな映画を買ってきたのに、東映はもったいない売り方をする。まともな宣伝もなく東映系の番線に乗せ、安易に上映しても誰からも見向き去れないのは分かりきっていたことだろう。

 TVシリーズ『ブラック&ホワイト』を派手にしてスケールの大きな刑事ものに仕立てた。だが、B級映画のパターンから一歩も出ない。『モンガに散る』のマーク・チャオを主演に迎え、(というか、オリジナルのドラマの主演が彼なのだが)型破りの刑事が体を張って事件を解決する。彼の行くところトラブルが絶えることない。犯人グループのチンピラと手錠でつながれ、巨大な陰謀に挑む。本来なら敵対するはずの2人のバディームービーとなる。先日の『デンジャラスラン』と同じパターンだ。だが、こちらはノーテンキなただの娯楽活劇。『Episode 1』とあるが、TVシリーズの前日譚だったりする。

実はこの映画を10日以上前に見ているのだが、ここに書くのを忘れていた。これはそんな程度の映画なのだ。だが、こういう娯楽映画が台湾で作られ、大ヒットしているという現実は悪い話ではない。さまざまな映画が作られていい。台湾映画界にそれだけ余裕が出てきたことの証拠だろう。自国の映画が観客に支持され、興行的にも成功するというのは健全な話だ。ハリウッド映画一辺倒の時代は終わったことは、韓国映画や日本映画が先に実証している。それが中国や台湾にも及んできている。もちろんそれは作品自体がハリウッドと比較しても遜色ないものになってきていることが、必須条件だ。自国の観客のニーズに応えながらも、スケールの大きい娯楽大作をちゃんとそれなりのレベルで作りえる。それって、なんだかよくないか。今、日本では『踊る大捜査線』がヒットしている。あれが台湾で大ヒットするはずもない。だが、日本ではちゃんとヒットする。それと同じようにこの映画は台湾で大ヒットする。それでいい。

 でも、もう少し、東映もこの映画を大事にしてもよかった。まぁ、映画自身も、もう少し内容があってもいいとも思うが。


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