6月の劇場公開時に本作の前編である『復讐者スカー』を見たのだが、あまりに残念過ぎる出来で、随分前の第1作の汚名を注ぐことはできなかった。だがそれでもう2本見たのだからそこで、完結編を見ないというわけにはいかない、とは思ったが、あの時はさすがに劇場に足を運ぶのは躊躇ってしまった。それでも曽利文彦監督なので、やはり見届けたい。この最後を見たいとは思っていたので、配信がスタートしたから早速見た。
期待はしてない。それはそうなのだが、あまりに想像した通りの失敗作だったのにはがっかりさせられた。ほんの少し大逆転があるかも、と思ったけど、修正は困難だったのだろう。というか、これはまさかの完結編で、もう言葉もない。だが、何が「まさか!」なのか、少しここに書いていこう。
原作を読んでないので、まるで展開の速さについていけなかった。こんなダイジェストのような編集でいいのか、と驚く。このスピードは半端じゃない。何が何だかさっぱりわからない。あっちこっち行き来してもそれにはどんな意味があるのか、伝わらないから唖然とするばかり。膨大なメインキャストが右往左往するばかりで、その行為にどんな意味があるかもわからないから、そこで展開することの凄さがわからない。膨大な原作エピソードを盛りだくさんなままぎゅぎゅっと詰め込んだのだろう。詰め込み過ぎて、壮大なお話のはずなのに、そこを駆け足でなぞると滑稽なさまに見える。せわしない空間移動の意味がわからないし、ホムンクルスと人間との関係が表層的にしか捉えられないから、お話に奥行きが出ない。2時間半近くの上映時間をしても、ダイジェストにしかならないのなら、もっと大胆な改変をすべきだったのではないか。でも、そんなことをしたら原作のファンが許さないか。これではよく出来た(ただの)コスプレショーの域を出ない。必死で作っていることは伝わるだけにあまりに残念だ。
ワーナー映画が挑んだ昨年の『ろろうに剣心』に続いての怒濤の2作品連続公開なのだが、今回は大失敗になったようだ。そして何よりもこんなにも頑張っているのに、なぜか全体的に安っぽいビジュアルにしかなっていないのがなんだかもの悲しい。まるで張りぼてのテーマパークのようだ。お話にもビジュアルにもまるでリアリティがない。それより何よりちゃんとした世界観の提示がまるで出来ていないのが一番のミスだろう。