習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『砂時計』

2008-04-21 22:31:42 | 映画
 こんなにも重い女の話をひたすら見せられたなら、さすがに疲れる。ちょっと人事ながら、彼がかわいそうに見えてくる。なのに、彼はそんな僕の心配をよそにして、彼女を愛し続けるのである。ご苦労なことだ。

 この映画は、なんだかとても強い意志のもと、この2人の男女の純愛をひたすら真直ぐ追いかけていく。久々の純愛映画である。『世界の中心で愛を叫ぶ』以上にど真ん中直球勝負の映画だ。ありえないし、つきあいきれない。でも本人たちはあまりに真直ぐなので、とてもじゃないがバカにはできない。「がんばってください」とか「応援してます」とか選挙に出ている候補者に声をかけるような気分になる。

 夏帆ちゃんが産卵中の鮭のような顔に見えてくるのは『うた魂』のせいだ。シリアスな映画なのに困った。

 中学時代からスタートして、14年間に渡る2人の恋物語だ。ただひたすらにそれだけを描いていく。人気になった昼メロの映画化らしい。今こういう映画が受け入れられるってなんなんだろう。原作と較べるととてもシンプルな話になっているらしい。それでも正直いって大概な話だと思う。呆れて笑うしかない。

 佐藤信介監督はとても真面目にこれと取り組んでいる。だいたい彼の劇場デビュー作『LOVE SONG』も大概な内容だったが、とてもいい映画だった。彼の誠実さが作品を救ってくれたのだ。今回もよく似たパターンだ。

 ひたむきさが、なんがか勘違いも含めて今この映画を形成している。

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