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映画・演劇のレビュー

『大統領の執事の涙』

2014-03-07 22:25:52 | 映画
 かなり期待したのだけど、少しがっかりな1作だった。大統領の執事という立場から、黒人問題をどんなふうに描くのか、ということが、この映画の課題だったようだが、「こういう感じで、今まで本当に大変だったけど、こんな歴史があって今の時代があるのだ」的なお勉強のような描き方は好きではない。

 主人公の彼が自分に与えられてた立場をどう感じ、そこからどうさまざまな問題と向き合うのか、もっと彼の内面に肉薄して見せて欲しかった。年代記として、さまざまな大統領の顔見世で、あんな時代もあったねと、描くのではつまらない。父と息子のドラマに集約するのも、なんだかとってつけたようで、つまらない。これではいろんな意味で当たり障りのない映画でしかない。

 この映画で描かれるケネディがただのお坊ちゃんで、あんな子供のような大統領で大丈夫なのか、と見ていて心配になるほどだったが、ホワイトハウスでの彼はあんなふうにくつろいでいたということなのか。そんな表と裏をちゃんと描き分け、黒人執事がどんなふうに大統領とともに過ごしたか。彼らが何を考え、変わらぬ態度でさまざまな大統領のオフの時間を(ここでのオンの時間も含めて)見守ったか、描き方ならいく通りもあったはずだ。だが、この映画が取ったパターンはあまりに、単純すぎた。残念だ。

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