『ホビット 竜に奪われた王国』

　前作を見たから、ついつい２作目にも手を出してしまった。ピーター・ジャクソンだし、膨大な制作費を投じたファンタジー大作だし、なんてね。でも、見る前から分かっていた。面白いはずはない、と。前作のあまりのとろくささにはうんざりさせられた。まるでお話が先に進まないのだ。３時間もかけてこんな程度のお話ですか、と呆れてしまう。もともと、分量的には３時間で描けるような話を３部作９時間の作品にしようとしたからこんなことになるのだ。

　これはただの趣味の映画だ。『ロード・オブ・ザ・リング』３部作を作ったご褒美に「もう一度あの映画の夢を再び」と、あの世界観を映像として見せたかっただけ。そんな気にさせられる。自分の見た夢は自分にとっては凄い体験かもしれないけど、赤の他人にとってはつまらない、というあの感じ。この映画を見ながら楽しいのはピーター・ジャクソンだけではないか、と思わせられる。途中居眠りしていてもかまわない。お話は進みません。２時間４１分の大作を見て、疲労しか残らなかった。いくら壮大なスケールのすばらしい特撮だろうとも、お話にドキドキさせられない以上、その映画には意味がない。これはそういうタイプの一作。

　すごい大作で目を見張らされるすばらしい映像の連続だ。娯楽大作として申し分がない。そう思う人は、この映画を楽しめばよい。僕も、退屈しながら少し居眠りもして、最後まで見ることができた。でも、映画としては同じファンタジーでも『魔女の宅急便』のほうがずっと好きだ。まぁ、それってただの好き嫌いの問題でしかないのだけど。