9つの短編。ことばをテーマにしたお話には最初にカラー見開き2ページのイラストがある。それぞれ別々のイラストレーターが参加している。とても贅沢な作りになっている。お話の途中にもモノクロのイラストが何点か挿入される。これは以前単行本で出版された時に既に読んでいた。だけど今回新しく文庫版で出版され、エピソードも1話分追加された新装版。一瞬で読めるのだからもう一度読むことにした。
ここにあるのは子どもたちのたわいないやりとり。だけどそれは彼らにとっては切実な想い。そんな想いをさまざまな角度から描く。森絵都は子どもたちだけでなく、大人たちも視野に入れてこの童話を作った。ことばのすれ違いと、ほんのちょっとしたことばの伝わり方。素敵なイラストを介した絵本スタイルの小さな本は文庫サイズになって改めてその魅力は倍増した。