こういうファンタジーは苦手だ。せめてここにもう少し毒でもあるとまだ見ていられるのだが、あまりに素直でストレート。なんのひねりもない展開で、障害もなくふたりの恋が叶うのはこの手のお話としては意外。まぁ、どうでもいいような障害ならないほうがいい。ただ、それが作品の力になるのならいいのだが、それすら物足りなさにしかならないというのはどうか。
作品世界をどういうふうに設定し造形していくのかが、この手の作品の要になるはず。狼人間という設定、彼女を好きになる王子さま、という定番の展開。森で出逢った2人の禁断の恋はどうなるのか、せめて彼らのそれぞれの想いがちゃんとぶつかり合い、どんな化学変化を引き起こすのか、そんな恋のプロセスくらいはドキドキさせるように描いてもらいたかった。
ある種のパターンをどう逸脱するかが作者の腕の見せ所のはずだが、お話にまるで奥行きがない。今回のHPF初日に見た関大一高と同じパターンだ。こういうタイプが見ていて一番つらい。みんな一生懸命やっているのはわかるのだが、それだけにもう少し「何か」が欲しい。