中原俊の久々の新作なのだが、この作品の後、彼の新作はまだ出てない(たぶん)。だから、少し軽そうだけど、これを見ることにした。90年代に活躍した作家が今、なかなか新作を撮れない状況にあるような気がする。池田敏春の死や、根岸吉太郎の沈黙。今、作家主義の監督の時代ではないことは重々分かっているけど、それにしても「いやな時代」になったものだ。商業主義の映画しか、作られない。しかも、安易な作品ばかりが量産される。それならいっそ何本かに1本でも損得なしで、重量級の映画を(低予算でいいから)作ってもいいじゃないか、と思う。そんなこんなで、中原俊の出番はない。2008年の作品だが、見逃していたので見ることにした。
確かに軽い内容で『魔女の宅急便』と『ハリーポッター』をくっつけたような内容。魔法士検定を受けて、魔法省の役人になるためのエリート研修に参加した4人の男女のお話。田舎から東京に出てきて見るもの聞くもの新鮮で、興奮するおのぼりさんの話。なんだかとてもゆるゆるしていて、「いいのか、これで」と思いつつも、山だしの子供たち(超エリートのはずなんだけどなぁ)が、頑張るお話として全体をまとめるのは問題ない、と思い、見続けた。
でも、後半になるとなぜか話が「難病もの」になってしまい、急速につまらなくなる。もっと明るい青春映画でいいはずなのに、どうしてこんな風にしたのだろうか。岡田将生がとても若いし、山下リオがかわいいし、全体的に少し安っぽい作り方は気にはなるけど、それなりに楽しめる映画なのだ。魔法が存在する世界というパッケージングの他は、特別変わった設定はない。でも、その一点だけで、そこから、その思いがけない世界観から興味深い物語を形作られるはずだったのだ。なのに、なぜ難病なのか。
先にも書いたが、落し所を、派手なアクション(イルカたちを海に戻す、というクライマックスは用意されるが)にはせずに、普通の青春映画として全体をまとめようとしているところはいいのだ。これは彼らの成長物語だけでいいはずなのだ。それだけに、このヒロインの病気という設定は邪魔以外の何ものでもない。お涙頂戴はこの映画にはいらない。もっとふつうの日常こそを丹念に描くべきだった。原作を無視できなかったのかもしれないけど、制約を逆手にとって、ここにある可能性を広げて欲しかった。
確かに軽い内容で『魔女の宅急便』と『ハリーポッター』をくっつけたような内容。魔法士検定を受けて、魔法省の役人になるためのエリート研修に参加した4人の男女のお話。田舎から東京に出てきて見るもの聞くもの新鮮で、興奮するおのぼりさんの話。なんだかとてもゆるゆるしていて、「いいのか、これで」と思いつつも、山だしの子供たち(超エリートのはずなんだけどなぁ)が、頑張るお話として全体をまとめるのは問題ない、と思い、見続けた。
でも、後半になるとなぜか話が「難病もの」になってしまい、急速につまらなくなる。もっと明るい青春映画でいいはずなのに、どうしてこんな風にしたのだろうか。岡田将生がとても若いし、山下リオがかわいいし、全体的に少し安っぽい作り方は気にはなるけど、それなりに楽しめる映画なのだ。魔法が存在する世界というパッケージングの他は、特別変わった設定はない。でも、その一点だけで、そこから、その思いがけない世界観から興味深い物語を形作られるはずだったのだ。なのに、なぜ難病なのか。
先にも書いたが、落し所を、派手なアクション(イルカたちを海に戻す、というクライマックスは用意されるが)にはせずに、普通の青春映画として全体をまとめようとしているところはいいのだ。これは彼らの成長物語だけでいいはずなのだ。それだけに、このヒロインの病気という設定は邪魔以外の何ものでもない。お涙頂戴はこの映画にはいらない。もっとふつうの日常こそを丹念に描くべきだった。原作を無視できなかったのかもしれないけど、制約を逆手にとって、ここにある可能性を広げて欲しかった。