この勘違い振りには閉口した。元々こういうタイプのエンタメ志向の芝居は苦手だが、それでもきちんと見せることが出来ていたなら退屈はしない。しかし、残念だがそんな芝居は数えるくらいしかない。せめてキャラメルボックスなら見れないことはない。新感線くらいしてくれるのならOKである。まぁ、なかなかそこまでいけないのが現状だから、基本的にはこの手のものは避けることのしている。ただ、今回は春演参加作品だから、えいやぁ、と見て来た。(春演の審査委員を今年も引き受けてしまったからだ)
この劇団のフアンはこれから先は読まないように。不快になるだけだと思う。
作者は真面目にこの芝居と取り組んでいるはずだ。だが、こんないいかげんな設定は冗談でもしないほうがいい。人物設定のパターンは目を瞑る。しかし、いきなりキャラクターが変わったり、説明がくどかったり(劇鱗の項でもそのことには触れた)あまりにおざなりの偶然が重なったり、もう見てられない。それをなんと2時間20分もするのである。うんざりだ。ラストのくどさには呆れた。ここまで引っ張ってどうするのだ。感動は押し売りされても困るばかりだ。
神風特攻隊の2人が2008年の今にタイムスリップしてしまう。そこで彼らは子孫たちと悪の組織の陰謀を阻止する。『ウインズ・オブ・ゴット』じゃあるまいし。いや、あれの陳腐な焼き直しだ。オリジナリティーのかけらもない。ここまで見るという行為が拷問だと思うような芝居を見たのは久しぶりだ。突っ込みどころ満載だが、なんだかそんな元気もない。
悪者たちは改心したのなら、さっさと作動装置を解除しなさい。それから、亡霊の特攻隊員が銃で人を殺してはいけません。お父さんが最後の大団円に出てこないのはいけません。さっさと出てきてください。それがなんだか気になった。等々。