コロナ禍の日々を描く柴崎友香の最新刊。2020年3月から始まり22年の3月まで。2年間の時間が描かれる。あの狂乱の日々。あんなことが起きるなんて思いもしなかったけど、不安で終わりの見えない時間の中、過ごして時間。世代も住む場所ももちろん環境も違う3人の男女の日々が交互に描かれていく。だいたい2ヶ月刻みに時間は流れる。
全部で12章からなる。ふたつの震災と目の前のコロナ。その3つの出来事。続きと現在。先の見えない不安。95年の阪神淡路地震。11年の東日本大震災、そして2020年からのコロナ。(さらには今年2024年元旦の石川能登地震も含めて)僕らの前にはさまざまな災厄が横たわる。
3人のどこにでもいるような人たちをピックアップして彼らのあの日々を丁寧にドキュメントしていく。同時に読者である我々も自分が体験したあの日々を重ね合わせる。過去の出来事ではない。ましてや懐かしくなった思い出とは違う。今目の前にある現実をそこに見る。
だから最終章は2023年の2月。ロシアのウクライナ侵攻から1年経った日。主人公の3人が初めて出会う小さなイベント。小説の本来のラストから1年後。エピローグの役割を果たす。話は人生が終わらないようにまだまだ終わらない。引用されるシンボルスカの『終わりと始まり』同様にこの『続きと始まり』もまたこの先の未来に続く。今は2024年の2月。この小説を柴崎友香が書き終えて1年後。