久しぶりに彗星マジックを見た。とても気持ちのいい作品だった。勝山さんはほんとうに上手い。それに主人公を演じていた村井友美さんがとても素敵で、彼女を見守るオール女性キャストによるアンサンブルもすばらしい。こういうエンタメは小劇場演劇のひとつの魅力なのだろう、と改めて思う。これを1stのような小さな空間で見ることのできる幸福。
お話自体は宮澤賢治の童話世界のようで、まぁ、そんな既視感は確信犯的行為なのだろう。だから、あまりそこは気にはならなかった。(これはファンタジーです、というのをことさらここまで強調しなくてもいい気もしたけど。) よくある少年のひと夏の成長物語。
千年王國の橋口幸絵さんの作品を自分なりにアレンジして彗星マジックのカラーに染め上げて上演した。オリジナルの魅力も(たぶん)生かしつつ、勝山カラーの仕立ていく。甘く優しく懐かしい。そんな作品になっている。マニアにとっては口当たりが良さ過ぎて物足りないかもしれないけど、ビギナーにはぴったりの作品で、「演劇エキスポ」での公演としてはベストの選択だったのではないか。
最近の彗星マジックの作品は知らないから、これがどういう位置づけになるのかは、よくわからないけど、80分間とても幸せな気分にさせられたのは事実で、ぜひ次回も見てみたいと思わせる作品だった。